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この話は短編が2つで構成されていて、それぞれ別カップルが出てきます。
それ故に、表題作がボリューム不足だった気がします。
篁さんの作品の中では珍しい年下攻めで、攻めの方が押せ押せ状態なのも新鮮でした。
『愚か者は愛に渇く』
極道の息子・海堂虎次郎(18~25)俺様攻め×国語教師・四宮章広(24~31)淫乱健気受け
問題を起こして放りこまれた高校で、四宮の美貌に一目惚れする。
四宮からも気のある素振りを感じるのだが、最後の最後でいつも拒絶されてしまう。
我慢がならなくてキレて学校に行かなくなって、会わないままに大晦日になってしまって。
自分の気持ちに素直になってからの急転直下が、激しかったです。
誰にも話せない秘密が四宮にはあって、その秘密が重たかったです。
宗教団体の宗主に子供の頃から性の玩具にされて、高校生になっても続いていて、その全てがビデオや写真に収められていた。
忘れようとしていたいまになって、脅迫の魔の手が。
折角、幸せになろうとした時に、辛い過去が迫ってきて切なくなります。
ただ、酷い事は酷いのですが、過去のエピソードが軽く語られているだけなので、説得力が薄かったです。
お気に入りだったはずなのに宗主の手から逃れられたのは何故なのか、どうして今の時期に脅迫に現れたのかと、数々の疑問が残ります。
四宮を脅迫していた男から、最後あっさりと逃れられたのにも拍子抜けしました。
こうも簡単だと、悩んだ7年は一体なんだったんだろうと思ってしまいます。
最悪の別れをしてから、七年後の再会。
まだ残しておいた互いの古い携帯が繋いだ絆とそれぞれの思い。
篁さん節全開で、怒涛なまでの再会劇がドラマティックで、切なかったです。
もっと過去の陰惨なエピソードが書き込まれていたら、全てに説得力が増した気がします。
『賢者も愛に渇く』
組の有力幹部・剛田武久 ヘタレ攻め×海堂組跡取り・海堂龍太郎(29)眼鏡おバカ受け
素質に恵まれている虎次郎が認めた兄で、『愚か者は愛に渇く』で弟をさとした理知的キャラだったので、冒頭では期待していたのですが最後まで読んだらがっかりな出来でした。
理知的な所は全くなく、恋愛にボケて、すっかり乙女キャラに。
攻めは攻めで思いが空まわってヘタレキャラになっていて、主従のすれ違いの切なさを味わう間もなかったです。
29歳の青年なはずの受けがHの時に話す言葉が幼すぎて、いままでのイメージが致命的に崩れました。
このカプを入れるのであれば、表題作カプをもっと深く書きこんで欲しかったです。
エロ:★3 経験有の受けなので感じやすい
総合:★3 表題作カプはボリューム不足で、兄のカップルは幼すぎて萌えなかったです。