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「ロマンティスト・テイスト」の番外です。
スピンオフ作品や続編で、タイトルにもあらすじにもその表記がないので知らずに読んで、思わせぶりな場面が多々あってモヤモヤしてしまう作品もある中で(坂井先生の作品というわけではないです!)、「番外」と記してくれているこの作品は自分のような者にとっては有り難いのですが、それほど前作との関連がなかった気がします。私は既読でしたが、未読でも大丈夫ではと思いました。
1冊すべて表題作。
和真は奏の姉と結婚しますが、早産で亡くなります。その臨終に間に合わなかったこと、その原因は奏がつくった(と考えている)という二人にとって重い過去があります。それが足かせになりカラダだけの関係から先に進めないのですが…という話です。
主人公である奏(受け)の視点が多いですが、和真(攻め)視点もあります。そのため、二人が両想いなのにすれ違っているというのが分かりやすいですし、事情を知っている青山が策を弄するというのも理解できます。
ただ、前作では切れ者っぽかった青山にしては下手を打ったものだと思いますし、和真の視点が入っているにしては後半の言い訳がないのがイラつきました。
気持ちがないにしろ、恋人がいると告げてあったとしても、他の相手(事務所の客・芳賀)と同居するという展開が私は好きじゃないので、青山に言われたとはいえ承諾する和真に腹が立ちました。芳賀が誤解するのも当然の話です。無事に出産させてあげたいって…一体いつまで同居する気だったの?と呆れました。
和真が実は裏で色々と動いていて、実はあのときのはそうだったんだ!という展開もなく、単にくずぐずしているようでそれはもうイラつきました。
前半までは良かったのに…後半の和真にはため息でした。
前作では木槻の元妻がさっぱりとして好感の持てる女性として登場していたのですが、この作品での女性(芳賀)は自分勝手なお嬢様という感じです。苦手な方はご注意ください。
自分の中では、前作の好感が台無しになったというのが残念でならなかったです。もう少し和真の不器用さを私が汲み取れたら良かったのかもしれません。もしくは、奏オンリーの視点でしたら、優柔不断だけど仕方ないと愛でることができたかもと思いました。従兄弟の光里が良い男だったのもつい比較してしまったところです。
ただ、イラストは作品の雰囲気にあっていると思いましたし、奏の心情は切なくて良かったと思います。両片思いが好きな方にお勧めです。