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読み返しました。レビューの皆さまも英田先生ご自身も、地味と言われることの多い作品ですが、恋する心情をメインと考えると、とてもドラマティックに感じました。
恋の病は心の内に内に入っていくものだと思うので。
ある意味外の世界を遮断する?
乗っ取られる感覚とでも言いましょうかw
この作品はBLなんですが、BLの域を超えたお話でもあると思います。
恋だと自覚するまで、棚橋が長く葛藤する。
相手が同性だから、長く葛藤しているという見方もありますが、
相手が男女間でも同じ。
どこからが恋なのか・・・わからないのが恋。それを象徴してる作品のように思えます。棚橋と水原の心情メインで進行し、余計な設定が少ないのでよりシンプルに葛藤が描かれていてよかったと思いました。
とくに。棚橋がショッピングセンターで水原に会い、車で送っていくシーン。水原の呟きにのって、勢いでそのまま海にいくことにした棚橋。
水原の口癖の「好きにしろよ」を聴いて、
「はい。好きにします」と答えた後の、
『僕は直進するつもりだった信号を右折した』
↑この文章におお!と感嘆。棚橋がまっすぐ進む予定だった人生を、右折しようとする衝動。複雑な心情がだんだん恋にシフトしていく気持ちを、巧く的確に含めていると読んで、萌えました☆英田先生の表現技巧に恍惚♪
こうゆう比喩的文章大好きです(><)
恋をすると、すべての景色が変わる。
映画の内容も、テレビの内容も、本の内容も、恋の浮き沈みによって左右されてしまう。
水原は教職者であり棚橋よりも年上なのに、時に弱く、幼く見える数々のシーンから、恋は年齢も性別も関係なくコントロールできない普遍的なものなんだと強く思いました。
相手を想うがゆえに、臆病になる気持ち。
相手を想うがゆえに、止められない衝動。
どちらも本当だと思うと、切なくて、痛かった。。。
想えば想うほど自分と対話して、内面が露呈されていき、自分の自己防衛なのか、相手への思いやりなのか、わからなくなる混沌。
一番ほしいものなのに、失くすくらいなら選びたくない。
甘い水に浸かれば、失くした後の残酷な日々が想像を絶する苦痛になるからと、どんどん頑なになっていく水原に、読んでいて暗くてやりきれない思いになりましたが、なぜか今回読み返して一番彼に共感しました。
でも。それは今の景色。
別の恋をしたら、今度は棚橋に共感するかもしれない。
みんな水原でもあり、棚橋でもある。そんなお話♪
じっくり恋のねっとりした感情に転がされたい方におすすめwww
英田先生の巧いタイトルにも神降臨!!
最近レビュが自己満足で長文傾向に。。。(汗)
お読みいただた方、お付き合いいただきありがとうございました!!
表題作と続編の中編二本立てです。
棚橋(攻め)の彼女と元彼女、水原(受け)の元彼氏が登場します。直接の描写はなくても、それぞれと肉体関係はあっただろうなという感じはありますので、苦手な方はご注意ください。
「いつか終わる恋のために」
棚橋の目線です。同窓会での再会を機に、元担任の水原の家を訪問する仲になります。棚橋は親しくするうちに、いつしか水原に惹かれてしまいます。しかし水原は、以前不倫で付き合っていた大竹と寄りを戻すと言い…。
「恋ひめやも」
水原の目線です。前作の続編になります。
好きだと言う棚橋に、水原は素直に俺もだと言えず、優しくされるのが辛くて泣いてしまい、棚橋の気持ちが迷惑だと言ってしまいます。それからしばらく棚橋の足は遠のき、久しぶりに家に来たかと思えば、女を抱いたと言い…。
もう、ひとつひとつがツボでした。セリフ、描写、イラスト、何もかもがです!携帯電話を額に押し当て、目を強く閉じた棚橋の姿が目に浮かび、涙腺が緩みました。棚橋に、何故大竹先生に抱かれたふりをしたのかと問われ、水原先生が返したセリフで「だって」が2回繰り返されているとか、可愛すぎます。
彼女がいるのに、同性である水原に惹かれていく棚橋の心情が自然でした。棚橋は結婚を前提に付き合っている彼女を、親に紹介する直前にフリます。私はあまりそういう展開は好きじゃないのですが、棚橋を酷い男だと思えませんでした。仕方がない、と思ってしまうほど、彼の心情に流されてしまいました。
水原は恋に臆病なうえ強情で素直になれず、偽りを口にしては容易に本心を見せません。そんな水原を慎重に観察し、今だと思えば機会を逃さずどっと攻めていく。棚橋は優しいけれど意外とハンターだなと思ったものです。両思いになってからのベッドシーンでは、「先生」呼びなのに、先にイッてしまった水原を「仕方がないなぁ」というのが微妙な力関係を表しているようで、とても萌えました。
恋はいつか終わる、永遠を約束してくれないというのが二人の認識で。
でも、恋が終わっても傍にいてくれる。そんな予感がする、というのが胸にきて泣けて仕方がなかったです。
元生徒の年下攻め、教師の年上受け、優しくて丁寧口調の攻め、素直じゃない受け、両思いになるまでの経過が好きな方に、絶賛お勧めです!
余談ですが、私はこの二人が好きで好きで好きで!
特典ペーパーとか、フェアの小冊子とかにSSが載っていないかと探したのですが見つからず。唯一発見したのが、2010年発売のドラマCDのブックレットに掲載されていた「恋ひ恋ひて」でした。今日現在は作者様のブログに掲載されておられます。「恋ひめやも」の後日談で、お正月の二人の幸せそうな様子に泣きました。最後まで泣かされた作品でした(笑)
ダブルバインドで知った作者様。
そのカラーを払拭させられた作品です。
素直にすごい・・と思いました。
こんなに心に沁み込むような、恋の話を書ける方とは思っても・・いや、失礼しました。
きっと、こっちが本命、いや得意な方なんじゃないかな、と思いました。
淡々とハードボイルドもいいけど、大人の不器用な恋愛模様も絶品です。
受けの先生は、頑なツンデレなので、本音を聞き出すためのやり取りにハラハラ・・、根負けしたような先生の捨て台詞には、読んでるこっちがテーブルに突っ伏しそうになりました。読み進めてく内、もう俄然攻めの元生徒を応援です。
勿論、読後感爽快・・v
文章力、表現力、共にBLの枠に収まりきらない作品です。
誰でも安心して最後まで読み切れる話だったんじゃないでしょうか。
ちょっとした衝撃でした!
英田先生の裏社会物ではない普通の?物語とのことで急に読みたくなって電子版で読んだのですが…
(最近電子版に手を出すようになってちょっとヤバいです。簡単に購入出来てすぐ読める。でもどんどん口座からなくなっていくものがw)
元担任教師でゲイの水原先生と婚約者がいる元教え子の棚橋の物語。
同窓会で再会してから、棚橋は水原先生と過ごす時間が少しずつ増えていきます。
先生の元カレ、棚橋の婚約者、それぞれ切り離せない人たちがいて、二人はそれぞれの中でブレーキをかけようとする。
それでも止められない気持ちを棚橋が告げますが…
それが物語の中盤、そこからワタシがダメでした(T_T)
なんかそのあたりからずっと泣き通しで。
切なすぎる。でも、二人の気持ちが凄くわかる。
これはもう男同士だからということも関係なく人としてどう誠実でいるべきかってことでもあるから。
少年時代のトラウマとか元カレとの関係とかいろんなことが絡まって、水原先生は棚橋を突き放してしまうんですよね。
棚橋は一大決心をするのですが、先生は受け入れられない。
でも棚橋はあきらめない。もう切ないっす。
「紫草のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに我恋ひめやも」
「長月の有明の月のありつつも君しきまさばわれ恋めやも」
本の貸し借りをしている二人が「風立ちぬ」の話から上記の句を引用して話すシーンがいいです。
先生の苦しい胸の内がわかります。
最後の最後、棚橋の想いが先生を溶かしてようやく素直になります。ちょっと強引に迫ったりもしてね。
もう良かったよー。また泣いたよ。
こんなに心をかき乱されてそして穏やかな気持ちにさせられて、あぁ「恋」って凄い!って思わされた素敵な小説でした。
地味なっていうか、普通の設定の話。
7年ぶりのクラス会であった元担任。
話してみるとなんだか落ち着く、それにちょっと可愛く見えたりして,どきっ?
自分には、結婚を考えている可愛い恋人がいて、
自分も先生も男で、
それなのに恋は!
小説家、究極の命題、
「恋に落ちたら」
そんな命題に、ヤクザだの麻薬だのって言う、派手な舞台なしで、
普通のサラリーマンと、さえなかった元担任という、地味な設定で真っ正面からぶつかったような、ストレートなお話。
「いつか終わる恋のために」だけだと、何か「普通BL」で、物足りないが
表題作の「恋ひめやも」で明かされる、先生の胸の内。
何で先生が、そこまで往生際悪く、天の邪鬼で依怙地なのか
そして棚橋は、の全てを、先生本人も気付かなかった痛みとして、受け止めて
こういう前向きなハッピーエンド
素敵です。
個人的にはとてもよかったです!
英田先生の作品として考えると、物騒な事件が何も起きないので地味と感じる方もいるかも。
元生徒×高校時代の教師
本気の恋をした事がなかった男が、感情を抑えられないほど人を好きになってしまう。
これは恋なのか、なんなのか。
恋人がいて結婚を考えていたのに、揺れる感情。
相手が異性だったら結婚をやめて気持ちに素直になるのに、惹かれているのは同性で脈なんてない相手。人生の決断。
女の子の立場になったら溜まったもんじゃ無いのですが、人間の感情の複雑な揺れ動きに引き込まれます。
絵が綺麗すぎて受けである先生があまり地味に見えなかったくらいで、後はほんとうに凄いの一言。
BL小説好きなら読んでおく一冊だと思いました。
棚橋は結婚も考えていたノンケだったのに、同窓会で水原先生に再開してから、水原先生にはまっていきます。
一方の水原先生は恋に臆病。
いつか終わる恋で自分が傷つくことも、自分が誰かを好きになることで相手やその周りの人を悲しませんることも耐えられません。
過去のトラウマから本当は好きなのに素直になれない先生の葛藤がせつなかったです。
最初は彼女と別れないまま「好きだ好きだ」と水原にせまる棚橋の強引さに共感できない部分がありましたが、自分から殻を破れない先生だったので最終的には良かったように思います。
いつか終わる恋かもしれないけど、水原先生には「恋してよかった」と思ってほしい!!
読み終えてからしばらく余韻に浸ってしまいました。そしてまた最初から読み返したくなりました。きっと、これから何度も読み返すと思います。
わりと身近にありそうなラブストーリーですが、言語化しづらいところの恋愛の本質が見事に描かれていました。英田先生の他の作品に比べたら、事件もイベントもなくて地味なのかもしれないんですが、この偉大なる地味!日常の細部にこそ見過ごせない真実があるのではないでしょうか…!(笑)
ままならない恋の緊張感を追体験してしまいました(引っ張るぅ~)。”いつか終わる恋のために”は攻(棚橋)の一人称・僕がとても新鮮です。前半の棚橋は一見いい人そうだけど、計算高くてまぁまぁ嫌な男だなと思いました。が、そんな社会的優等生が、元担任・水原を好きになり計算ができなくなって感情で動いてしまう。順風満帆に周囲が望むような人生を歩んでいた男が、”どうした俺?”とコントロール不能な恋の沼に落ちていく過程にワクワクしました。一緒にいるとしっくりくる心地よさというのは、まさに”相性”なんだろうなと。なんで好きになった?(5w1h)をきちんと説明できる客観性は恋に必要ありません。(なので棚橋は正解)恋敵・大竹の言葉でスイッチ入る棚橋の行動が怒濤すぎて萌えました。
タイトルの”恋ひめやも”は受視点。この一冊で攻受両視点って本当に佳き!水原ってそもそも恋愛体質なんですよね~(奪う体質で奪われたがりww)。大人になればなるほど、経験が行動の枷になるので、水原が若い恋人の出現に戸惑って動けなくなるのは、自分の両親の事情とあいまってとても自然なことなので、若い棚橋に誠意(と根気)と情熱があったということが、この2人にとっての僥倖だったし、運命だったんですよね。そして、(やっと)初めてのスケベでの水原の魂の叫びは、声に出して読みたいくらいいいんですよ!
恋はいつか終わるのかもしれないけれど、始めないまま終わる虚しさを抱えるよりは、終わった後の喪失感を抱えたほうがいいし、2人で見た景色や一瞬一瞬を積み重ねることで、また違う関係性に発展できるはず!(特に水原、頑張って…。)と気分が高揚するようなラストでした。
大御所の文章に魅せられた1冊です。
タイトル通り、また英田先生もあとがきに書かれていましたが、ヤクザもスパイも出てこない、普通の男たちのお話です。
それなのに引き込まれます。
一気に読み終えてしまいました。
先生と元教え子。
過去の傷により臆病で頑なになっている先生。
まんべんなく愛せるけど恋に狂ったことがない棚橋。
恋心を自覚するも、それぞれが1歩踏み出せない。
棚橋が踏み越えてからも先生の頑なさと言ったら…!じりじりしました。
が、ただの男たちの葛藤が丁寧に書かれていて
すごく良かったです。
小山田あみ先生の絵も言わずもがなの美しさ。
今さら、当たり前のことを書くようですが、英田先生、さすがです。
なんというか…正座して読みたいBL本。背筋が伸びるBL本とでも言ったらいいのか。
英田先生、いやBLの中でも一人称語りで始まる作品というのはそう多くないはず。
たしかに一人称語りは書き手としては入りやすいんですが、自爆しやすい。
視点や場面の切り替えが書けず、作品世界の広がりが作りにくい。
ゆえに独自の世界観を構築していくラノベやBLではあまり採用されないんでしょうね。
本作はきわめて私小説的な形式をとり、目の前に広がる世界ではなく、
主人公の「棚橋」という聡明でやさしい青年(25にしちゃデキすぎてる気もするがw)の
目を通して、内なる心の世界へ向かう点が新鮮でした。
相手の元・教師・水原はかなり冴えない年上男なのですが、
恋のきっかけなんてわからんものです。
たまたま同窓会めいたところで再会し、何かがひっかかっている。
同じようにパッとしない教師に恋する小説で、木原音瀬先生の「情熱の温度」
や「眠る兎」があったと思いますが、正直言ってこの二作、とくに「情熱の温度」は
自分的に最後まで「なにが楽しくてこんな冴えない男に恋するんじゃーー!」と
抵抗してましたが(笑)、なぜか英田先生のテにかかると「地味で弱い」から
惚れてしまうんだな、と妙に腑に落ちた。
ありふれたショッピングモールのベンチでさんざめく家族を見つめる「先生」に
正直ときめいて困った。
タイミングよすぎる偶然の対面がいちいち出てくるのにはまいったが、
圧巻は「先生」のアパートで「好きでいることを許してほしい」と告げる局面。
「好きです」でもなく「愛している」でもなく、どうにも止められない気持ちが
あふれていく様子をこうも激しく書けるとは…すげぇ。
そして、恋をしているのに、それと向き合えない「先生」
自らが全てを破壊しているのではないかという自責と、ほころびかけた心の間で
苦しむ「先生」、実はそういう先生の怖がりなやさしさが愛おしいんじゃないだろか?
閑話休題。
小学生で万葉集に惹かれた英田先生…をいw
小学生で万葉集だとぉー!?血の気が引いたw
わけわからんまま百人一首で家族内かるた取り大会やるのがせいぜいのオイラときたらw
さすがBL界で不動の地位を築くだけのことはある。栴檀は双葉より芳し、ってことか。