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ある特定の分野に特別な才能を見せるサヴァン症候群、ギフテッドの少年と、ゲイのキュレーターの繋がりを、最後までハラハラ・ドキドキさせながら目が離せない展開に、引き込まれました。
最初は緒方瑛と名乗る青年が、私設美術館のキュレーターをしている史生の元を訪れる場面から始まります。
面会を迷惑がる素振りをする史生に、”α”とは何者かと詰め寄る瑛。
そこからが、史生の回想を織り交ぜた複雑な瑛との過去と、何も明かされない苛立ちをぶつける瑛とのやりとりが交錯して、進んでいきます。
ニューヨークでキュレーターとして活躍していた史生が偶然出会った画商から貰った絵が、素性が全く謎の画家”α”の絵でした。
周囲のプッシュに負けた史生が、”α”に合わせてくれと、画商に頼むと連れて行かれた場所は、知的障害者の介護施設だったのです。
”α”と紹介されたのは、緒方瑛でした。
彼は知能指数のとても高い少年だったのですが、事故による怪我の為、記憶を失くし、また知能も下がってしまい、史生が合った時には5歳程度の知能と運動能力の男子だったのです。
絵に惹かれた史生と同じに、瑛もまた史生と接することで本人も史生も知らないうちに、知能があがっていたようでした。
そして、絵を見せるために史生を追った先で、どうしていいかわからない性的興奮に乗じて、関係してしまう二人。
その後の二人の愛の育みについての詳しい場面記述がないので、残された史生を描いた瑛のスケッチと、冒頭の二人のラブシーンで、読者は想像するしかありません。
そこが、この愛がどのくらい深くて、史生に大きな傷をのこしたのかを説明するのにもう少し必要だったのに・・・とは思うのですが。
そして、突然記憶が戻ったことで訪れる二人の別れ。
記憶をなくしていた3年の記憶と絵画の才能も失われてしまったのです。
そして、冒頭の再会になるわけです。
いたいけな子供の性的興奮を利用して、自分の性欲も処理してしまったような初体験なのに、絵を描いていた、恋をしていた頃の記憶を全くなくしてしまった瑛なのに、どうして気持ちが揺らぐのでしょう。
瑛は、史生と一緒にいた短い期間を思い出したわけでもないのに、記憶の感覚だけでどうしてそんなに史生に執着するのでしょうか?
話の展開が読めない本作でしたので、読み終わった後で疑問は薄ぼんやりと。
しかし、最後まで気の抜けない作りの、多少未来を予感させるあいまいな終わりに、この作品の評価をしたいと思います。
しかし、木原氏の「コールドシリーズ」や「秘密」もそういった障害が出ていましたが、本当そういう設定は痛いです(でも快感!)