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「好きになれなんて言わない。だからあと少しだけ、今だけ、側にいたい」
題名と合っていないのがもったいないです。確かに雪(snow)が場面を彩ってはいますが、題名から全体的に受ける印象はなんだかコミカルほのぼのなのですが、内容はシリアス寄りで切ない、そして健気で愛しいです。
佐々井目線の「恋愛・教師~Color of Snow~」と、井瀬崎目線の「One Side, Narration」の中編2本立てです。表題作の方がちょっとだけ長いです。
「恋愛・教師~Color of Snow~」
佐々井は井瀬崎に片思いしている。だが、ゲイで恋人がいると知られていることが気まずいのか、井瀬崎は佐々井を避けている。新年会の後、恋人にフラれた井瀬崎に求められるまま、佐々井は身体をゆだねて…という話です。
「One Side, Narration」
恋人同士になり、同居をしていた二人だったが、佐々井が内地留学で一年間県外に行くことになる。離れたことで自分を見つめなおす時間を得た井瀬崎は、自分自身の不安に気づく。そんなとき、元恋人と再会して…という話です。
理科教師×数学教師ですが、理系っぽい話は、佐々井がちょこっと一言いうくらい。しかも井瀬崎は良く分からないと答えるほどの、理科・数学は出て来きません。学校であれこれエロすることもありません。生徒を優先して恋人をないがしろにするとか、生徒と誤解されるとかありません。
佐々井も井瀬崎も真面目で一筋な人間なのですが、だからこそ、悩むし辛いのが読んでいて切なかったです。作者様があとがきで、二人の愛情量が変わっていくのが面白かったと書かれていますが、愛情量が変化したのは井瀬崎だけで、佐々井はずーっと井瀬崎が好きですよ!と思いました。
佐々井は、相手が上司であっても自己主張をする男らしい性格で、恋愛に対する一途な健気さと対比されていて可愛かったです。遊んでいるふりや大人ぶってみようとするけれど、不器用だから失敗してバレてしまう。「俺がどれだけ好きか、察しろよっ」という叫びはワガママでなく…胸がぎゅっと絞られました。
井瀬崎はちょっとズルくあっても悪い男でないし、徐々に好意に傾いていく過程が感じられるので、好感が持てます。真面目だからこそ、元彼氏が忘れられない…それで佐々井を傷つけているとしても…切なかったです。
佐々井が別れを切り出す場面とか、ちょっと泣きました。シリアスよりですが、暗く重いストーリーではありません。私は好きな作品です。