憂える花嫁～天国に一番遠い恋～

題名に納得

アラブものですが、舞台は日本。
高校生のときに一度に両親を亡くし、双子の姉・薔子と２人暮らしの楓は、足を骨折した姉の身代わりでデートに行くと、現れたのはアラブの王族・イスハークでした。
無事デートをクリアした週明け、出社すると会社にイスハークが新社長として楓の前に現れるのです。そして、楓はイスハークの第三秘書に。
まるで縁のなかった２人なのに、なぜかどんどんと距離が近くなっていくんです。

薔子（実は楓ですが）とデートを重ねるうちに、控えめな態度とか気遣いとか、楓自身（といっても薔子だと思っています）に惹かれていくんです。
だから、薔子へのプレゼントを買うために楓を伴い、指輪を選ぼうとするのですが、楓が薔子に似合うと思うものと、イスハークが薔子（実は楓）に似合うだろうと思うものとには差があるんです。
イスハークは、ちゃんと楓の本質をわかっているんです。

また、楓もイスハークを好きになっていくけれど、神の教えに忠実なイスハークに戒律を破らせることはさせたくないと、身を引こうとします。
とうとう薔子の身代わりをしていたことがバレ、楓を無理矢理抱こうとするイスハークを止めようとして取った楓の行動はびっくりです。
自分の舌をかみ切ろうとしたんです。
抱かれるのがいやだったんじゃなく、同性愛という戒律破りを、イスハークにさせたくなかったんです。

どれほどイスハークを想っているのか。楓の想いの強さがわかるはずの行動ですが、頭に血が上っているイスハークには、楓の真意を慮る余裕がなく、拒否られたと思いこみ、楓をひとり残しホテルから帰って行っちゃったのは、ああ、わがままで傲慢なお坊っちゃまだなぁ～と思いました。
が、ちゃんとフォローしてくれる執事がいるイスハークは、幸せ者だなとも思いました。

題名の『天国にいちばん遠い恋』ってどういう意味なんだろうと思ったんですが、イスハークが戒律を破ったら地獄行きなんですよ。
だから、自分も一緒に地獄へ連れて行って欲しいと願う楓の気持ちを表した題名だったんですね。
すごく納得したし、楓の気持ちもよくわかって、切ない題名だったんだなぁ～と思いました。