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この作品で月上さんを見る目が変わりました。
これを読むまではアホエロコメディ系のイメージでサクッと読めるけどそんなに好き作家さんではないなーと思ってたので、こういう切ないのも書ける方なんだなー、と。
中学3年生だった彼等は一度は恋人になるも、晴日の姉と航也の父との不倫失踪によりたった10日間でその恋は引き裂かれます。
母の故郷に行かなくてはいけなくなった航也は全てを捨てて2人でどこかへ行こうという言葉に晴日を気持ちは分かるものの、根が真面目な彼は現実的な問題を考えるとそれは難しいだろうと説得しようとするのですが航也はそれを拒絶ととり、以来連絡先も音沙汰も一切無くなります。
晴日はその事をずっと後悔しながらも高校へ進学し親しい友人達とそれなりに学園生活をおくっていました、その友人達仲間の1人伶奈が恋した相手として航也と3年来の再会をするまでは。
優等生で真面目に受験に取り組みつつある平凡な高校3年生の晴日に対して、航也は高校も退学し年齢をごまかしてバーでバーテンダーとして働き1人で暮らしており女性は来る者拒まずで時に金銭さえ貰う愛情を信じない男に変わっていました。
しかし航也が最後には驚く程の精神的成長をとげます。
その時の愛情だけではなく、その先をずっと2人で愛し合って生きて行ける道をしっかりと見据える部分は3年前の愛情だけにまかせて全てを捨ててどこかへ行こうとしていた彼とは違い、凄くしっかり地に足を付けて愛情というものを考えているのが分かり人は成長するのだなと改めて思いました。
ラスト時で晴日は高校を卒業したばかりでまだまだ若い彼等なのに既に愛情の続く道のその先を見て行く、そんな航也に背筋がすっと伸びる感じがしました。
作中では互いの家族も描かれるんですがその部分の描写も良いです。
特に航也の父親が彼の元へと現れてその時に交わす会話がいいんだなー。
やしきさんの挿絵も作品カラーに凄く合ってます。
古い本なのですが手放せない大好きな一冊です。
やしきさん挿絵はやっぱ学生物が一番しっくり来る気がします。
唯一残念なのは福岡が舞台なのに友人達も含めて方言が一切出てこなかった事かなー、そこだけちょっと残念といえば残念。