獣となりても

獣となりても
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×22
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
20
評価数
6
平均
3.3 / 5
神率
0%
著者
剛しいら 

作家さんの新作発表
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イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
価格
¥855(税抜)  
ISBN
9784344816794

あらすじ

死者から作られた兵器・人獣。その強大な力で国を操る美貌の少佐イリヤは、隣国の王子を蘇らせ、鞭と快楽で絶対的服従を強いるが…。
出版社より

表題作獣となりても

人獣/軍人
所長/スパイ

レビュー投稿数4

色々入り混じったファンタジードラマ

あー何か久々にこういうBL読んだなーってのが一番の感想。ホントに本気で最初からファンタジー設定で、主人公の性格が最悪だしカップルが分かれるのもありだし、そういう要素が苦手な人には結構地雷かもしれません。割と何が出てきても平気な人向けです。

ミランという国の娼館で育ったイリアは娼館である母に手ほどきを受けた性技と公爵である父の力を借りて、次期国王で男色家と噂の皇太子に取り入り、第一の愛人にあっという間にのし上がります。
それは尋常ならざる高度な性技と巧みに人心を操り更に薬なども使い、ライバルを粛清して手に入れた愛人の地位を利用して、最終的に皇太子が国王になる時にある地位を手切れ金代わりに手に入れた。
それが特殊化学研究所・所長の地位。ここは、死者を「人狼」と呼ばれる兵器として蘇らせる研究で、元は不老不死の研究だったのがイリアの着眼で歪んだ発達を果たしたものだった。
イリアの野望はこの人狼を使って隣の大国・秦安を手に入れ、最終的にはミランの王政廃止し、共和国になった暁には自分が国を治めるというとてつもなく大きな事だった。
そして開戦。秦安は最前線に年若き国王の6番目の弟・羽秀とその恋人で軍医の瑛蓮がいた。そこへ突然現れた自国の兵士(実は密かに人狼に変えられてしまっていた)に急に襲われ、瑛蓮を庇った羽秀はその場で命を落とした。
ところが、その死体はどこにもなく、ミランに運ばれ人狼にされてしまったという情報を得る。
そこで瑛蓮は秦安の国王で羽秀の兄・黎秀に「人狼に落ちた羽秀を必ず殺せ」との密命を得て、ミランに旅立つ所から話が始まります。
イリアはSで受けなんですが、本当にハードな少年時代を経て、自分の後ろをあまり使わなくても相手を掌握出来るレベルのエロテク持ちなんですが、人狼のハシュー(=羽秀)だけには違います。
実はイリアは初めて社交界にデビューした日に垣間見た、秦安の黎秀に、自分でもそうと知らずに恋をしてたんですけど、羽秀は当時の黎秀と同じくらいの年齢でそっくりなんですよ。
それで自分でもわからないほどにハシューに執着していきます。今まで誰にもした事がないのに。
一方イリアの部下で、密かに秦安側へのスパイを命じられていたアーロンは、今のミランに疑問を抱くレジスタンスと繋がりがあり、二重スパイとして秦安から来た瑛蓮に出会います。
こちらも紆余曲折を経てお互い愛し合うのですが、敵同士なのでお互い素直にはなれません。
この二つのカップルと戦局が絡まって、なかなかスケールでかいけど結構ちゃんと収まる所に収まります。そして結構エロイです。
私はラスト辺りのハシューがイリアに言ったセリフがなかなか切なかったですね。
イリアがあまりに悪人ででもちょっとラスト物悲しくなってきたんでちゃんと救いがあってよかった。

4

もと

◆かにゃこさん
コメありがとうございました(*´∀`)♪
レビューの半分以上があらすじのって自分でも初めて書いたんでええんかいなと自信がなくなりましたww
こんなガッツリファンタジーなBLはあまり読んだ事がないのでなかなか新鮮でしたよ。

もと

なんかほとんどしゃべっちゃった感が…こういう異世界物は舞台背景説明しがちになって、なかなかレビュるのが難しいと実感ww

シリーズになればいいのに

イリアって、皇太子を色仕掛けで意のままに動かし、娼婦の息子から国をも動かす権力を持つ男へとなるんですけど、それでも孤独な心を埋めるまでには至りません。
誰もそばに寄せ付けず、信じる相手もおらず、たったひとりで生きてきたイリア。
そんな孤独なイリアの心にするっと入り込んだハシュー。何一つ言葉をしゃべるわけでもないんですけど、イリアを守ろうとしていることだけはしっかりと伝わってくるわけです。
人獣なのに、いや人獣だからこそかもしれませんが、イリヤの孤独が本能でわかってたんでしょうね。
自分だけはそばにいようと、守らなくっちゃって思ってたのかなぁ?

イリア、アーロン、瑛蓮のそれぞれの視点で話が進んでいくので、各々が何を考え誰のことが好きで……と、気持ちがわかるだけにいろんな想いが切なくて仕方がありません。
瑛蓮はずっと羽秀を想い続け、情報を得るためにアーロンに抱かれ、また羽秀を想い続ける瑛蓮を抱くアーロンの叶わなさそうな想いも、これまた切ないわけですよ。
しかも、人獣になった羽秀を殺せと命令を受けてるしねぇ、瑛蓮は。

また、野望成のため、いろんな男を餌食にしてきたイリアですが、たったひとり心惹かれたのは何を考えているのか、誰を思っているのかすらわからない人獣となったハシューだけ。
まぁ、そばにいてくれるだけで、孤独な心が満たされたんだから、それはそれでよかったのかもしれません。
が、自分が引き起こした戦争のせいで、研究所が襲われたのは、なんとも皮肉な話です。

幸せを予感させるラストとか、愛に目覚めたイリアとか、いろんな余韻の残るお話でした。
シリーズにしてもらって、じっくりと読みたかったお話です。

0

複雑なのでレビューしづらいですぅ

感想が書きづらいので、人物紹介をしたいと思います。

イリヤ:
西の大国・ミランの美貌のサディスト。大いなる野望を抱き皇太子を篭絡し、死んだ人間を“人獣”という兵器としてよみがえらせる開発に携わる特殊化学研究所所長代行にまで昇進。陸軍特殊部隊中尉で人獣部隊を率いる立場になり大きな権力を手に入れたが、戦いで倒れた隣国秦安の皇太子・羽秀を、人獣としてそばに置いてから・・・

羽秀:
秦安第六皇太子。瑛蓮とは仲のいい恋人同士。ミランとの戦いで銃撃から瑛蓮を庇い、羽秀は亡くなりミランに連れ去られる。ほかに例のない自我のある優秀な人獣としてよみがえり、イリヤの警護をするとともにベッドの相手もするようになる。

瑛蓮:
秦安人の軍医。人獣にされてしまった羽秀を葬るため、変装してミランで羽秀の行方を探している。アーロンと出会い、身体を使ってでも情報を引き出そうとするのだが・・・

アーロン:
ミランの貴族出身の軍人。反戦派だが、特殊科学研究班に詳しいことで秘密裏に瑛蓮と会うことになり、瑛蓮を愛するようになる。

イリヤ一人にかき回されてしまった、ミランと秦安の13年間のお話です。
イリヤが相当な人非人なので、羽秀が人獣となりイリヤのおもちゃのような存在になるのかな?じゃあ瑛蓮との関係はどうなっちゃうのかな?とあれこれ考えながら読み進めました。

前述のように、箇条書きにでもしないと4人の関係がややこしくなりそうなのですが、ハッピーエンドとバッドエンドを一緒に楽しめるお話だったと思います。
たしかに、どう考えても八方丸く治めるには、羽秀が思い切った行動をとるしかないのだなぁと思いました。
手詰まりのイリヤも人獣から戻れない羽秀もある意味ではハッピーな終わり方だったのでしょうか。

事情があって細切れ読書になってしまい、気持ちの盛り上がりを感じづらかったのが残念です。
エッチシーンは結構あるのですが、なんだか辛いことのほうが多くて、エロい気分にはあまりなれませんでした。
でも、こういうお話は大好きです。

0

悪魔のような主人公(受け)

萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
なんだかもったいない!
大作になりえたかもしれない壮大な話なだけに、ページの足りなさが非っ常ーにもったいない気がムンムン。2冊ぐらいか、せめて2段組みで読んでみたいと思わせる手応えのあるお話でした。

翻弄し翻弄され合う彼ら↓4人を描いたファンタジー。
愛憎相反する複雑な関係を、政治的背景を絡めて描いています。

イリア……恐ろしいまでの野心家。死者を蘇らせて造った人獣を利用し、軍部を掌握する少佐
ハシュー(羽秀)……隣国の第六皇子。戦死した後、イリアの元で人獣となる
瑛蓮……羽秀の恋人。ある目的の為、諜報活動をする隣国の軍医
アーロン……軍部の非人道的活動に疑問を覚える貴族出の少尉

哀しくも逞しいイリアの生き方は、ある意味見事だなあと思う。こういう屈折主人公好きです。

庶子であるにも関わらず、己の美貌と肉体を武器にして国の中枢へと食らいつき、実の親をも踏み台にすることを躊躇わない。そしてついには、死体を蘇らせて人獣という生きた兵器として戦争に利用する、その無慈悲さ。
他人の命すら利用することに何の罪悪感もなかった彼は、それでも、ハシューという人獣に固執してゆきます。

自身の容姿が他人にとって価値があることを、幼少から身をもって知り尽くしているイリア。
理性や知性を持たない、獣しか信用することが出来ないイリア。
彼の悲劇は、聡明すぎたことにあるのかもしれません。
支配される前に支配することを覚え、そして自らも獣へと身を堕としてゆく。
権力への妄執のような傾倒は、イリアを貪ってきた獣たちへの間接的な復讐でもあるんだろうな。
彼の魂が、もう二度と迷うことがないといい。

シンプルなタイトルですが、読了後はぐっとくるものがありました。
※ちなみにモフモフはありません

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