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manatsu no yoru no otogibanashi
タイトル通り、確かに「御伽噺」でありファンタジーであるのだけれど、設定は現代日本で主人公の2人も人外でもなく超能力もない「人間」です。
それでも物語全体にふわっと優しい「御伽噺」感が漂うのは、全く違う個性・バックグラウンドの2人の恋が、不思議な異国のキャンドルから始まるから。
主人公は、おもちゃ会社の営業マン・旗野。
旗野は本当は開発部希望で、大人しい性格もあって営業の仕事にやる気を持てない。そんな時偶然入った骨董店兼喫茶店で出会ったワイルドでセクシーな店主の岡本に、励まされたりドヤされたりしながら仕事への取り組み方を変え実績を上げていく、というお仕事BLでもあります。
恋の始まりは、岡本が売ってくれた色とりどりの6個のキャンドルセット。
寝る前に一つ灯せば、良い夢を見る…という言い伝え。
何も信じず、疑いながら火を灯して眠りについた旗野の見た夢は…なぜか岡本と恋人同士の夢。
2人の仲は夢の中でどんどん進展し、6本のキャンドルを灯し尽くす頃には旗野はすっかり本当の恋に落ちていたのです。
夢は夢だから、と思っていた旗野ですが、キャンドルの魔法はそれが運命の相手なら相手も同じ夢を見て、2人は現実でも結ばれるというもの。
旗野ははじめ仕事で落ち込みウジウジ、年上で大らかな岡本に素直になれず突っかかったり、とかなりダメダメ君ですが、包容力抜群の岡本が甘えさせてくれるのです。
こういう形のファンタジー系物語は珍しいですね。
「夢みる恋人たち」
現実に恋人同士になった岡本と旗野。
旗野は仕事でも営業の面白みを感じ始めて、担当する企画も好評。そんな時、開発部から異動の打診が入り…
あれほど移りたかった開発部だけど、なぜか乗りきれない旗野。
そんな時岡本に渡されたのが「四つ葉のクローバーが浮かぶ絵」。自分の心に向き合えた時にふと四つ葉のクローバーが見つかる言い伝え。
仕事に悩み、魅力的な岡本は地味な自分と釣り合わないと恋に悩む旗野ですが、悩んで悩んで自分で選んで、クローバーも見つけます。
ラストはもちろんハッピーエンド。佐々木久美子さんのイラストも、岡本がふわふわ巻毛の長髪でなんかロックスターみたいで凄く私好みです。
おもちゃが大好きで開発部に行きたかった旗野正(24)は営業部に配属されている。
口下手で慣れない営業の仕事は正に相当なストレスをかけていた
うまくいかない接待の帰り道、ふらりと立ち寄った銀座の片隅にある
落ち着いた雰囲気のショットバーかクラブといった面持ちの店を見つける。
中に入ると古ぼけた本の山や適当に積まれた絵の山
民芸品や銀製品や人形まで置いてある・・・
カウンターの奥には精悍な顔立ち強いウェーブのかかったロングヘアの
マスター岡本勝一(34)が立っていた。
じつはここ、バーでもクラブでもなく喫茶店兼アンティークショップなんですよ。
はじめて入った店だというのに正は、仕事の愚痴をこぼし
「死にたい」ともらすんです。
そこで岡本がいわく付きのキャンドルを正に売りつけるんです。
このキャンドルは、火を灯した者の見たい夢を見せてくれるキャンドル
一晩にひとつ。
寝る前にキャンドルに火を灯して眠るだけ・・・
キャンドルは全部で7つ。
6つ目までは心から満足する夢を見せてくれる
岡本は、6つのキャンドルを正に売り
「最後のひとつが欲しくなったら、また来な」と告げる。
家に帰った正は、バカみたいだなと思いつつ
1つ目のキャンドルに火を灯し眠りにつくのであった・・・
というお話。
ファンタジーです。
きれいなお話でしたが、もうひとひねりあっても良かったかなぁと。
正が岡本に惹かれる理由はわかるけど
岡本が正に惹かれる理由がいまひとつ琴線には触れなかったな。
10歳年下の甘ったれた新社会人の受けが、たぶん俺の好みじゃないんだと思う。
書きおろしの続編「夢みる恋人たち」も、なんで正がこんなに悩むのか
わかんなかったし、やっぱり甘えた新社会人ぽさが目についてイラっとw
秀さんのほかのお話って、わりと攻め×攻めな雰囲気で
受けも攻めも対等であろうとする男心みたいな部分が好みだったんですが
この作品は、完全に受けは受けのポジション。
真面目だけがとりえの正に、聞き上手で床上手の男前な岡本が夢中になるのが
どうも腑に落ちないというか・・・どうせファンタジーなら
このあたりも、あっ!と驚くファンタジーな理由づけがあってもよかったかも。
作者曰く、メルヘン。
行き詰ったサラリーマンに、いい夢がみられるという不思議なキャンドルがもたらしてくれた、愛と希望のお話です。
実は、夢とはいえ現実味溢れるシチュエーションなのでメルヘン色はそれ程強くなく、不満を抱えた甘えん坊のサラリーマンが、ちょっとインパクトのある大人の男に依存しちゃっているお話な感じがして、本編だけだったら中立評価にしちゃおうかと思ったのです。
しかし続編では、相変わらず甘えたれなものの自分で何とかしようと努力する姿がうかがえて、読後感がよかったので萌といたしました。
主人公はおもちゃ会社の営業・旗野。本当にやりたい仕事ではないために行き詰っています。
ロン毛の巻き毛で男っぽく胡散臭いおじさんは、アンティークも扱っている喫茶店の店主・岡本。
夢の中で恋をし、悩み相談をし、現実世界でもいいパートナーになっていくのです。
夢だとわかっていればできるのに、現実だからこそ悩んでしまうこと。
真面目でいさえすればそれでいいわけではない事。
どんどん欲張りになる自分にとまどってしまうこと。
努力をすれば報われること。
などなど、人生訓のような内容でもありますが、私としてはこういうのは結構好きです。
立派な大人になってくださいっていう感じ。
で、その後押しをしたおじさんは、美味しいところをいただくという・・・へへへ。
印象に残った一文を写します。
『もしも、岡本が死んでその身体が焼かれたら、きっと頑丈で目を瞠るほどの真っ白な骨が残るだろうが、いまの自分は脆くてすぐに砕けてしまうだけのような気がする。・・・綺麗じゃなくてもいいから、後々にまで残る骨の強さを自分もいつか持ちたい。』
自分の足で立とうとする旗野がそこにいました。
いやはや、なんとも摩訶不思議な、まさに“御伽噺”なお話でございました。秀さんには珍しい、ファンタジー色の強いお話でした。
それでも、仕事に関して後ろ向きだった受けちゃんが、攻めさまの言葉で前向きに意識が変わっていくあたりは、さすが秀さんだなぁ~と感じました。
話の展開が、あまりにファンタジーというか、御伽噺というか、今までの秀さんのテイストとはかなり違ったことにびっくりしました。
正直、絶句しました。安直なハッピーエンドに持って行くため? とか、こんな都合のよい話があるもんか! とか。(特に1話目のキャンドルの秘密とか、そんなアホなと思いましたよ)
でも、ただの御伽噺じゃなく、ちゃんと旗野の成長記録になってるんですよ。
最初はいやいややっていた営業も、自分の見た目や考え方をちょっと変えるだけでデパートの担当者さんとも打ち解けられるようになったり、自分から積極的に企画を出せるようになったり。
それもこれも、岡本の売ってくれたキャンドルで見た夢や、実物の岡本のアドバイスのおかげで、それが恋愛へと形を変えていくんですもんね。
小さな頃の夢を抱えたまんま挫折しそうになっていたけれど、成長することによってその抱いてきた夢を、ちゃんと形に出来そうな予感さえさせてますから。
やっぱり、10歳年上でいろんなことを経験してきている頼りがいのある岡本という設定が、旗野には必要になんでしょうね。
タイトル通りお伽話でメルヘン入ってましたー。
秀香穂里さん作品の中ではちょっと異色作なんじゃないでしょうか。
慣れない仕事にめげまくってる新人営業マンの旗野[受]が偶然に銀座の不思議なお店に入った事から始まるちょいファンタジーちっくなストーリー。
旗野がかなりのネガティブ思考でコーヒー飲みながら死にたいとか言い出します、せめて辞めたいとかにしとけーって感じですが店主の岡本[攻]が取り出したのが6個のキャンドルが入った良い夢が見られるという不思議アイテム。
酒の酔いもあって6千円で旗野はそれを買って来るんですが、そのキャンドルを付けて寝るとあ~ら不思議、夢に岡本が!!しかも2人は恋人同士!
唐突な展開ですがそこは夢なので違和感無く読めます。
オチは想像つきますがむしろ夢なのでちょいドリーム入っててもOKOK~~で結構楽しく読めました。
書き下ろしの「夢みる恋人たち」は現実でも恋人同士になってからの2人の話。
希望してた開発部から話がきたんだからうじうじ悩まないと行けやーー!!って思うんですが、っていうかこの性格は営業より開発向な気がしたんですがどうなのか。
いちいちネガティブな旗野を、10歳年上で真逆な性格な岡本がうまい事甘やかしてるのは読んでて気持ち良かったです。この2人は組み合わせとしてはアリ、そして結構好き。
挿絵の佐々木さんはミュシャ風効果にお伽話感が出てます。しかし描き下ろし分は岡本の髪の毛の量にちと違和感。
ミュシャ風画風の時は気にならなかったけど通常絵だと少し髪の毛多過ぎな気がしました。
佐々木さんは他作品でも長髪が毛多ッって思ったので癖なのかも。
でもそれ位かな、挿絵としては充分合格点。
摩訶不思議な御伽噺でした。
といっても異世界(嫁の世界)に飛んじゃうような話ではないです。
舞台は現代日本の夏。
汗水たらして営業している受けが主人公です。
表紙左の男性も日本人ですよ~。
はい、何かの精霊とかではなく普通に日本人です。
…表紙見たとき何かの精霊と思ったのは私だけじゃないはずだ!←
憧れの玩具メーカーに就職できたけれど、第一希望だった開発部ではなくて営業部に配属されたことに対して不満を抱いていた旗野がだんだんと前向きになっていくのがよかったですー。
仕事にやりがいを見出して、先輩や営業先から信頼を得ていく姿を見ていると「私も頑張ろう」って思えます。
岡本さんは甘やかすのがうまい!
流石は年上男性ですね~。
いいよね~こういうのってw
それでいてビシッとダメ出しするのですよね。
甘やかすだけじゃないところも良いです。
岡本さんが経営する“quest”行きたいなー。
私もキャンドル買いたい。
あと壺から魔神出て来てほしかった。
非常にどうでもよいのですが、岡本さんの毛髪量がとんでもない。
多分この絵を高校生の弟に見せたら羨ましがるはずだw←祖母の毛髪の生えるスピードを羨んでいたぐらいだからw
…見せれるわけがないんだけどねーwww
おもちゃメーカー勤務の受け、正は、自分がおもちゃを作るために入社したのだが、配属は営業。その仕事にやりがいを見出せず、腐る毎日。
その日も接待の帰りに歩いていたらバーを見つけ、ふらっと入るとそこは変なものを置いている喫茶店だった。。。。
疲れて愚痴る正。マスターである勝一はいい夢が見られるというロウソクを正に薦める。正は騙されてもいいやと、それを試すが…
夢で見たことで背中を押されながら、自分の気構えを前向きに修正して行くことで、セカイが好転して行くことを実感する正。
それだけではなく、夢に出てきて自分を好きだって言ってくれる勝一を、夢の中の勝一を好きになっていってしまう。
でも現実の勝一はそんなことを知らないだろうし、、、、
夢と現実が境目なく混じってしまう不安に苛まれながらも、正は最後には勇気を持って勝一に話をする。
スムーズに進むので、少し物足りない気もしますが、正が夢の中であんなことや、あんな風にされちゃうってのは、なかなか面白く読めました。
勝一が出張に出て、延長になるって電話に対して、嫉妬や独占欲でキレちゃうところは面白かったです。あんなに感情出してこなかった正がね〜って。
じつは勝一の作戦で、正にヤキモキ妬いて欲しかったんですよね。大成功だったけど。
あの、四つ葉のクローバーの絵、私も欲しい!
ファンタジーテイストのお話。
玩具メーカーに就職したものの、本当は開発部に配属を希望していたのに営業に配属された旗野は仕事に対して不満を抱えていた。
そんな彼が、酒を飲んだ後に迷い込んだのは、アンティーク雑貨店兼喫茶店。
そこの店主である岡本は、長い髪をした個性的な美形。
押し付けがましくない彼に惹かれるようについつい仕事の愚痴を話してしまった旗野は、店を出る間際に「秘めた願望が夢で見られる」というキャンドルを6個買わされてしまう。
まさかそんなはずはないだろうと思いながらも、その晩キャンドルを灯しながら眠りについた旗野の夢には店で別れたはずの岡本が恋人として出てきたのである。
その夢の中の岡本の年上の大人としての包容力のある行動と、次第に近くなる距離に次第に旗野は岡本に引かれていく。
けれど自分が好きになったのは夢の中の岡本で……
というような話でした。
仕事に楽しみを見出せなかった旗野が岡本のアドバイスで少しずつ前向きになっていって、仕事は楽しいけれど、恋愛感情はどんどん岡本に持っていかれて……という。
最後にこのキャンドルの種明かしが本の中には書いてあって、どうもあのキャンドルは、「運命の相手が夢に出てきて、その相手も同じ夢を見てる」ってやつだったようなんですけど。
好きになったきっかけが「夢」で、夢のまま一気にラブラブに陥るので、もう、何がなんだか……
恋をしちゃった旗野の側はさておき、岡本は本当にそれでいいのか!? と聞きたい。
そんなうさんくさいのに、自分の運命決められちゃっていいんだろうか……?
いやー、ラブいのはいいんですけど、ちょっとその辺りでもやもやしながら読んでました。
後半は、くっついた後の話が入ってるんですが、なんとまぁ……そのもやもやから脱出できなかったので、モヤモヤしたままで。
まだ、もやもやしてます。