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逃げないのなら、千尋を私のものにする……
話自体は可もなく不可もなく…でも、異国情緒を味わえます。このくらいの時代はこうだったのかな~と、ちょっとロマンチックな。
ヨーロッパは良いですね。
口絵はいつも以上に大胆なシーンでした。笑
が、Hシーンはむしろ少なめ。
千尋のストイックさに萌えました。
初読みの作家さんでしたが、何となく物足りないな~という印象を受けました。トータルではそれほど悪くはないんですけどね。
明治時代、ヨーロッパのある国の伯爵家長男・フランツ(攻)の後見を得て、建築を学ぶために彼の国へ留学することになった千尋(受)。
時代もので、日本でも恵まれて育ったわけではない千尋が、異国を訪れたことで起こるカルチャーショックなど、結構面白い設定なんですが、どうもそれが活かしきれていないように思ったんです。異文化のギャップなど、今とは比べ物にならないほど大きいと思うので、そこがちょっとあっさりだと感じてしまって、ちょっともったいなかったですね。
ただこういう、いわば『身分差・立場違い』の場合にありがちな、フランツが強引に千尋を、という展開にせず、じれったいくらいにゆっくり想いを育むストーリーはよかったと思います。それでも、フランツの心情が読み手に伝わりにくかったのは残念でした。
ただ、口絵がかなり(あさとさんが?とびっくりしたくらい)刺激的なんですが、内容はピュア~と言ってもいいほどでしたので(Hシーンが皆無というわけではありませんが、少なめではないかと)、アンバランスな気はしましたね。なぜ口絵にこのイラストを持って来るのか、と不思議でした。作中シーンの挿絵なら、激しくてももちろん構いませんが、(たとえ作中にあるシーンでも)口絵に持ってきたら、それが作品全体のイメージを作ります。
実際、読む前はこの口絵で『どんだけHなんだろう』と思いましたから、私は。
正直なところ、口絵のインパクトがいちばん強かったので、小説としてそれはどうなのかなあとは感じました。