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aisaretai kyori
榊花月さんとは価値観が合うな…と、またまた思わされた作品でした。
小説はフィクションではあるけれど、作者さんの持ってる価値観ってどこかに滲み出るんですよね。何冊も読まないと見えてこなかったりもするけど。
で、価値観が似てる方の小説は、合う。
家出少年が主人公です。
ヤケになって売春しようとしたところを男に拾われ、居候をはじめる。
男は高校教師で、まるで夫婦のような生活がはじまります。
主人公の受けくんが恋心をはっきり自覚するのは物語の後半になってからだし、先生の攻め様は具体的な行動は一切見せないから、なかなか「恋」がはじまらないことをもどかしく思う方がいるかも、と思いました。
私はなかなか恋にならないこの奇妙な同居生活が好きでした。
なにげに一番面白かったのが、高校を中退する子供についての特集番組を見ながら、受けがツッコミを入れるシーンでした。
マスコミに苛立ち、それ以上に不甲斐ない自分に苛立つ受けが可愛くて可哀想で、この受けくんいいなぁと思いました。
テーマ的に、主人公の心理描写まんさいのドロドロ風味な小説にもできただろうと思うんですが、すべてをあっさりと書かれてて、そういう部分もなにげに私の趣味に合いました。
物足りない気持ちもあるんですが(恋愛面で)、面白かったです。
ある事件をきっかけに、学校を辞め、家を飛び出し、あげく、他に稼ぐ方法も見当たらず売春をしようとしていた春遠倫は、その売春の相手として声をかけた奥入瀬炯吾の家に転がり込んでから数日が経っていた。
「高校教師」という立場上、倫を見捨てられないという日常生活能力ゼロの奥入瀬の部屋を掃除し、食事を作り、洗濯をし……まるで倫はお嫁さんのような日々を送っている。
そんな日常に疑問を抱かない事もない倫だったが、他に行き場もなく、17歳という身分ではバイトをする事もままならず、現状に甘んじるしかなかった。
そんなある日、高校教師である奥入瀬の生徒が家に遊びに来る。
本当は同い年である彼らの会話に、倫は苦々しい思いを感じる。
そして、訪ねてきた生徒のひとり、矢吹は奥入瀬に恋心を抱いているのがあからさまで、倫に明確な敵意をむき出しにししてくる。
そして、あろう事か業者を使って、倫のことを調べ上げたのだという……
そんな折りにかかってきた実家からの電話で、父親が「後悔しているのだ」と伝えられる。
そんな話でした。
結局のところ倫が家出をすることになった事件というのは、親友だと思っていた同級生に万引きのぬれぎぬを着せられ、そのことを、店員にも警察にも教師にも親にも友達にも信じてもらえなかった……ということが原因だったんですけど。
なんていうか……倫っていい子だなー……って思う訳ですよ。
そら確かに、お金を稼いでる訳でもなんでもなくて、他に出来る事も何もないから家事だけでも出来たら……という健気な気持ちわかるんだけど。
あんなに手際よく家事なんて出来ないし、毎日毎日律儀にしたりしないような気がする(苦笑)
まぁ、それだけ倫が本当のところで、きっちり育てられてきたから、というのが正しいんだと思うんですけど。
本当に偉いなー……と思う。
別に家事がきちんと仕事として認められるんだったら、倫、本当に嫁になればいいのに……という手際の良さ……もったいない。
奥入瀬がいらないんだったら、是非、嫁に欲しいです。
一方の奥入瀬も、家事が不得意で部屋を汚部屋にしてしまったりするから、「ダメ教師」なんてふれこみになってますが、矢吹の本当の気持ちってやつをきちんと理解していたり、昔起きたいじめの黒幕が矢吹だっていうのをきちんと見破っていたりしていて、教師としては、全然、ダメじゃない……
そんな感じで、どっちも真面目で真っ直ぐで。
倫は最初こそ、若さ故、「誰も自分のことなんて信じてくれない」って思ってたみたいですけど、奥入瀬のところにいるうちに、ちゃんと視野を広げて、一回り成長して、父親と向き合う事が出来たんだから偉いなー……と、本当に素直に感心します。
そして、そういうテンポの二人をきちんと書ける作者さんがすごいなー……といつも感心します。
個人的には、奥入瀬の押し付けがましく無い優しさがすっごく染みて、良い話だったなー……と思いました。
先生生徒ものです。
といっても、教え子ではありません。
個人的には、教え子の方が良かったなー。
榊さんは初読み作家さんですが、文体が読みやすかったです。
受けの倫は、罪をなすりつけられ→高校中退→家出→売春という無計画まっしぐら。
攻めは高校教師の奥入瀬。
これでよく今まで生活できてたね…と呆れるほどの生活能力マイナス値。
倫が初・売春相手として選んだのが奥入瀬でした。
しかし教師の奥入瀬は、そんな倫を放っておけず自宅へ連れてきます。
そこから、ふたりの奇妙な同居がスタート。
生活能力皆無の奥入瀬の世話を、掃除・洗濯・料理とまるで幼妻?といった具合にこなしていく倫。
倫は自分の存在価値を見つけたとばかりに張り切って、奥入瀬の世話を焼きます。
しかし、ここで邪魔者(当て馬?)登場。
奥入瀬の教え子たちが遊びにくることになり、その中の矢吹という少年が倫を意識していました。
奥入瀬のことが好きで、一緒に暮らし出した倫を警戒しているんですよね。
この矢吹、可愛らしい顔してなかなかの食わせ者です。(攻めのことを好きなライバルはたいてい嫌なやつですね…)
実際の教え子でない分暗さはなく、比較的全編通して明るい雰囲気です。
矢吹が嫌な感じではありますが、倫の心配をキチンと奥入瀬もわかっていますし、軽く読むにはよいお話だと思います。
奥入瀬はひょうひょうとしていますが、おさえるところはおさえる辺りが好きなキャラクターでした。
まずはじめに…
ツンデレと書いていますが実際主人公・倫は強気なだけでツンデレ要素はないと思います
家事が得意ではすっぱな口をきくひねくれた子供、という印象でした(´・ω・`)
つまり…言ってしまえば個人的には受けとしてあまり魅力を感じませんでした
友達から罪を擦り付けられた上に信じてもらえなかったのは確かに可哀想ですが、申し開きもせず諦めたこと・普段の行いが良くないことなんかを考えたら自業自得な部分も少なからずあるかと…
あと自分には味方がいないと思い込んで心配してくれている周りを見ようともしない態度や、恋のライバルである矢吹に対する過剰反応、世話になっていることを素直に感謝せず生意気な口をきく様子など…
どうにもツンデレという萌えと捉えるのが難しく、あまり感情移入できませんでした
倫のこの振る舞いをツンデレと考えて、教師である奥入瀬への報われぬ恋心を抱えながら奥さんのように甲斐甲斐しく世話をやいていると思えれば楽しんで読めるかと思います(*^.^*)
ただ…
その奥入瀬も私的に好きなタイプの攻めじゃなかったんです!
つかみ所がないし、何を考えているか分からない…
基本的には優しいけどそれは誰に対しても同じで一線はひいている…
こう…喧嘩をしても倫が一人で怒って空回りしているような感じで、それは奥入瀬が大人であり教師であるからだとは思うんですけど何か…!
悔しいんですよね~~(;∇;)
もっと倫に振り回されて焦っている顔も見てみたかったというか。
教師であるという自覚を持ち理性も働いている奥入瀬は偉いとは思うんですけど、BL的にはもっと必死になって情熱的に求める姿が欲しかったです!
それか普段は見せないけどエッチの時は隠していた熱情をぶつけるような激しさがある、とかならまたそれはそれで萌えるんですがそんなこともなく…
普段淡白な分エッチは多少過剰なぐらい情熱的でもよかったんじゃないかな、と。
お話としては、やさぐれていた倫が1ヶ月程奥入瀬と暮らすことで内面的に成長して家族とも和解するということでしっかりしていたのですが
BL的には少し物足りなかったので中立にしました(>_<)