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utakata no ningyohime
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
タイトルからもわかるように、おとぎ話(人魚姫)になぞらえてあるんですね。設定は『よくまあここまで・・・』と絶句するくらい、時代もので身分差・健気受の『王道・テンプレート』です。
しの(受)は、銀髪・紅い瞳の『異形』に生まれついたために家族ごと村社会に拒まれ、貧しい生活から家族を救うために、公爵家の嫡男・一成(攻)の相手をする男娼として買われます。
公爵家の屋敷にやって来たしのは、自分のことを知らないままの一成と出会います。そして、孤独な2人は自然と惹かれあって行くんですね。
しのの正体がバレるまでの2人の様子がすごくほのぼのと優しくて好きなんです。
しかし、しのが自分のために買われてきた男娼だと知り、騙されていたと知った一成はしのを凌辱。
それまでの空気が一変してしまって、ちょっとがっくりしました(個人的に)。このテの『王道』にはお約束の流れだとは分かってるんですけどね。
ただ、それを除けば全体に甘くて穏やかで、結構好みです。
とにかく、脇キャラクターがよかったです。一成の親友・貴臣もいいんですが、本来、敵対するだろう立ち位置の一成の婚約者・縁子がいい人で、なんとも可哀想になってしまうくらいでした。脇がみんないい人というのが何よりおとぎ話のようだったかもしれません。←あ、貶してるわけじゃないんですよ。この作品の雰囲気にはピッタリで、そこがよかったんです。
王道とは言いつつ、ありがちな『当て馬』展開には行かなかったのもよかったですね。
ラストも、やっぱりの選択ではあるんですが、綺麗なハッピーエンドでした。
『ベタベタ』『王道』と納得の上で読めば、十分甘さも切なさも堪能できます。
そして、イラストがすごく綺麗で素敵でした。北沢さん挿絵の既読小説の中では、私はこの作品のイラストがいちばん好きです。
銀髪と紅い瞳を持つ「しの」は、その美しさとものめずらしさから、村の人々から遠巻きにされて生活していた。
村の人たちから蔑まれ、一家は森の奥に、細々と生活していて食うに困るような日々だった。
けれど、その美しさからしのは、遊興三昧に耽る鷹司公爵家嫡男・一成のために男妾として買われることとなある。
外出を禁じられ暫く鷹司家の離れの庵で身体の手入れをするように命じられたしのは、会う人は日に三度、食事を届けてくれる人間だけ、という孤独な日々に寂しさを募らせる。
ある日、言いつけを破り、外に出たしのは偶然一人の青年と出会う。
しかもその清廉な雰囲気を持つ青年は一成と名乗り――
という話でした。
当初、しのを使用人の身内だと思っていた一成は、しのに言葉を教えたり、いろいろしていたんですが、しのにドレスを着せて、着飾らせた帰り道に、使用人にそのことがばれて。
しのが本当はどういう目的で連れてこられたのか一成にばれてしまい、一成は騙されていたと怒り、しのを無理やりだいてしまう……という流れになるんですが。
はっきり言って、一成勝手だよなー……と思ってしまいました。
だって、自分が「あなたのために買われてきた人間なんです」とは言えるはずもないし、使用人の身内だと勝手に勘違いしたのは一成だし……。
しのは一つも悪くないと思うんだけれど……と。
それで、「騙した」って言ってキレられてもねー……。
まぁ、恋ってこんな感じで時々めちゃくちゃですよね。
最後は、一成が家を捨てる覚悟を決めて、しのを連れて行くことにしてハッピーエンド。
王道、といえば王道だったと思います。
すっごく雰囲気のある表紙で、そのままの雰囲気に引き込まれたので、なかなか面白かったです。
挿絵目当てで買いました。北沢さんにとっては初の文庫の挿絵だそうです。
物語は、大正時代。良家の嫡男とその家に男妾として連れてこられた異形の少年の恋物語。
その良家の嫡男には家同士が決めた婚約者がおり、その姫君との結婚が無事済み、お子が誕生するまでという契約で、貧しい家族を助けるため志野は買われてきます。
こういう設定はBLにはよくあると思うのですが、ただ、嫡男が自分のために連れてこられたとは知らずに志野と出会う、というのがちょっと変わっているかな。
身分違いの恋、この恋はうたかたのものなのだと童話の人魚姫の悲恋と自分の立場を重ねる志野。
人知れず涙して堪える志野が切なかった。
私はこういう、恵まれない境遇の健気な子が幸せを見つけるお話が大好きなので、受けに感情移入できてちょっとホロッときました。
一成の親友もミステリアスな感じで、こちらの方もちょっと気になる・・・。
銀髪に赤い瞳のしの。
貧しくても温かい家庭に育ち、愛することも愛されることも知っているしの。
家族を貧しさから救うため、妹を守るため、自ら男妾になることを選んだしの。
お相手の一成との出会いは突然だったけれど、必然とも思えてお互いが一目惚れ。
世間を何も知らないしのにとって一成が教えてくれる世界が全てであり、一成もまた自分を無心に慕うしのが愛しくてならず、2人は順調に愛を育んでいくかに思えましたが…。
一成の誤解のもとでの初Hはレイプ。
この描写は、今までがほっこりと温かかで幸せそのものだっただけに辛かった。
しのの華やかに着飾った美しさもさることながら、一成の婚約者のお姫様や友人達がすこぶるいい人達!
こんなお姫様はおとぎ話にも世間にも絶対にいない!
エロもほどよくあり、ハッピーエンドでめでたしめでたしですが、ふと疑問。
BLである必要あるのか?
作品中では、しのが一成から《志野》と名前を付けてもらうシーンが素敵でした。
アホの子は好きだし、弓月さんの純真無垢な健気受けも好きなんだけど、おもしろくなりそうなところをかすめて、惜しいところで空振りしちゃって終わったかんじで残念。
ありがちだけど、こういうネタは好きなので、ほんとに残念だった。
表紙はとてもきれいだったんだけど、モノクロが微妙に垢抜けない、泥臭いかんじで好みじゃなかった。話には合っていたかもしれないけど。
私はシンデレラ・ストーリーが好きでして、このお話も好きです。
主人公・志野(しの)は銀髪に赤い目という異形さから、村から忌み嫌われています。
時代設定は明治くらいでしょうか。
まだ外国人を見たこともない人が多い時代に、外国人の血が混ざっていると思われる志野の
姿は、貧しい農村地区では異形の者として扱われ、人目をさけてひっそりと暮らしています。
そんな志野の容姿を見込んで、公爵家の使いが大金を抱えて現れます。
その目的は、遊郭遊びが過ぎる嫡男・一成の専属男妾として、しのを買いたいという事です。
貧しくても決して不幸ではない家族愛に答えたい一心で、しのは買われていきます。
そして、目まぐるしく変わっていく環境にただ驚きと感動するばかり。
一成とは前触れもなく出会ってしまうのですが、お互いにその姿に一目惚れしてしまうという幸運に、自分が買われた意味を忘れてしまう志野ですが、しばらくは一成との幸せな日々が続きます。
志野はまだ刷り込みされていない生まれたての雛のように、物を知らず穢れを知らずピュアです。
少しずつ一成に手ほどきを受け、いろんな事を体験していくのですが…、セックスだけはある誤解からほぼ強姦に近い状況で体験してしまいます。
志野の想いを童話に出てくる「人魚姫」に例え、いつか一成の前から姿を消す日を想像し、身分の違いや、婚約者の存在に涙します。
ちょっと切なくなる場面が多いですが、見せ場としてはやはり志野の見事な女装だと思います。
女装の志野が恥らう姿が可愛くて、男たちはみんなキュ~ンときちゃうのですが、それから一転して一成に犯されてしまうところなんて、あまりにもギャップがあって萌えです。
志野のシンデレラ・サクセスにうっとりしてしまうお話でした。