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inochi itadakimasu
しいら先生描かれる職人さんに、今回も、存分に『男惚れ』させられました。
居酒屋が舞台なので、食べたくなる様な料理がたくさん出てくるし、そこにフレンチも加わって、食いしん坊な私は、何回もお腹がなってしまいました。(笑)
文書はさらさらっと、淡々と書かれている印象なのに、セリフ一つ一つの重みや、鋭さが、登場人物の魅力を最大限に引き出しているから、やっぱり凄いなあと‼
しいら先生の人間観察力って、凄いんだろうなあと感心してしまいました。
特に攻め様が、まさに『漢』という雰囲気でたまらなく萌キャラでした。
そんな店主の「いーらっしゃい!」と、お客にかけるセリフが粋で、よく捉えているなあと…飲みにいってみたいなあと思わされました。
坂東花匡(39歳位)× 海音寺巽(26歳)の年の差&年上攻もの
巽は大きな寺の息子。
寺を嫌ってフランス留学をして、そこで、料理にはまり、7年間フレンチの修行をします。
帰国してからすぐ、25歳で自分の店を始めるも1年で失敗…。
巽は父のお告げ⁉もあり、居酒屋「華雅」を訪れます。
そこで、店主•坂東と知り合い、坂東の料理の腕、客あしらいの巧みさ、そして何よりその男っぷりに惚れこんでしまうんです。
坂東は、元キックボクサーで、元ヤクザ…そして、刑務所の刑期を終えて居酒屋オヤジになった、遍歴を辿った訳ありの男。
でも巽は、どうしても坂東の元で修行がしたいと、
毎日粘り、彼の居酒屋「華雅」で働くことに。
坂東の家に住み込み、毎日のご飯、洗濯、お風呂では背中流しと、彼の身の回りの世話一式も巽の仕事の一環に‼
そんな毎日を送っていく内に、どんどん彼に惹かれる気持ちも抑えきれなくなっていき…。
巽の過去と坂東の過去も、2人の関係に大いに関わってきて…
2人のいく末は…本物の恋になるのか⁉
タイトルの『命いただきます』が重要なキーワードっていきます。
坂東にとって、巽の父親である住職からの教えでもあるわけなんですけど。
動物や植物の命を食べて生きるということに加えて、
人の命の上に、今の自分の存在があるという、自戒の念も込められた言葉。
そして最後の、巽の口説き文句になる流れの旨さ…
こう聞くと、いつの時代の話なんだ…
とクサい話だなあ〜と思われるかもしれないんですけど、全くそんな事ありません。
確かに、任侠系や昭和の雰囲気も漂っているんですけど、
巽という若さ溢れる存在が、上手くカバーしてくれているなあと感じます。
人生幾つもの試練を乗り越えてきた、深みある坂東の存在…
そして、2人を支える脇キャラが、個性があって味のある人達だからいいんです。
巽を含めて、皆=なのが、それぞれの想いで、坂東に惚れ込んでいるところが…美味しくて好きでした。
巽の父に至っては、父は息子の性癖も知った上で、2人を結びつけようとしたのでは…と、想像までで終わってましたけど、絶対そうなんだと思わせる展開も良かったです。
細やかな仕掛けみたいなものが沢山あって、テンポよく結び付いていくから、凄く気持ちが良く楽しんで読めました。
オヤジ攻好きな私にとっても、坂東も、今までいなかった新鮮なオヤジ様‼
思いやりがあって、何事にもどっしり構えている坂東。
毎日がただ一度きりの今日。と肝を据えて生きている。だから禊を欠かさない男気っぷり。
いつか必ず過去の自分の始末が降りかかってくる事も肝に命じているから、その時の事も覚悟を決めた生き方。
巽だけじゃなくても、『男惚れ』しちゃう存在でした♡
まさに萌させてくれる攻キャラ♡
意外に、普段言葉には出さないけれど、巽への想いがわかりやすく態度に出ちゃってたところなんかは、可愛いなあと思えました。
時折見せる、独占欲や嫉妬心は萌でした♡
特に、巽の過去の男に対する「復讐」の、ヤクザっぽいやり口は萌ます‼
昔の男と、坂東とのラブシーンの記憶のスレ変え方…
坂東によって、巽の心が罪悪感から解放されていく様子が、とても清々しく、夏の蝉時雨や華雅の空気感が、甘さを引き出してくれて好きなシーンでした。
愛する者を喪う辛さを知っているからこそ、最後まで告白の言葉は言わない坂東。
でも、巽への愛情は本物なんだと、胸がキュンとする位伝わってきます。
巽は、性癖に悩みはありながらも、裕福な寺の息子と、おぼっちゃんま育ち。
甘っちょろさは否めないんですけど、育ちの良さ故か、真っ直ぐで素直な性格だから救われます。
物怖じしない、人に対して卑屈さもないし、意外に豪胆な性格なのが良かったです。
坂東への恋心は、女々しさも感じさせますが、イヤな感じにはなっていないから良かった。
坂東曰く『淫乱の相』が出ているらしいので…そんな言葉がフォローにもなっていたかも(笑)
なかなか根性があって、潔い性格だったところが好感でした。
一つ心残りは、巽の兄の存在。
この兄、なかなかの曲者そうなので(笑)
もう一話できそうな気がするので、読んでみたかったなあと思います。
麻生先生のイラストも雰囲気にあっていて良かったです。
テンポはいいんですけど、じわじわ読ませてくれた作品でした。
色んな楽しみ方をさせてくれる作品なのでオススメします。
元ヤクザの板前・板東がすごくイイ男でした。
40歳目前×26歳という年齢差も、大人カプ・年の差カプ好きには美味しかったですw
あとがきで作者さんが商業でのハイエイジは難しいと書かれていましたが、
この渋さにはこの年齢設定で大正解(むしろもっと高くても良かった)と思いました。
タイトルにもなっている命に対する考え方や、他人に対する一本筋の通った接し方が非常に男前で、また江戸ッ子のような台詞回しに口上を聞いているようなかっこよさがありました。
寺の次男で元フレンチシェフの巽は、住み込みで働くうちにどんどん板東に惹かれていきます。
軽くあしらわれてもめげない様から、頼りないお坊っちゃんに見えて、何事に対しても一度決めたら簡単にや諦めない意志の強さがうかがえます。その性格は、フランスでの修行時代のエピや、板東の下で専門外の和食を真剣に勉強している様子からも見て取れ、かなり好感度高しです♪
ただ、板東が大人すぎるせいか、巽の積極的なアプローチやお坊っちゃん気質故の向う見ずさが少々子供っぽく感じてしまいました;
そのせいか、いつの間に板東が巽に執着するようになったのか今いち分かりにくかったです。
とは言え、隠れ家的居酒屋の描写は活気にあふれていて読んでいて楽しいし、
お寺や旅館の描写も情緒たっぷり、出てくる料理も美味しそうで、
Hも浴衣に露天風呂に縁台などの和風アイテム満載で色っぽく……と場面場面に魅力があるので、これからも度々読み返したくなりそうな作品です。
個人的には「蟻の巣渡り」という新たな語を知ることができ、とても勉強になりましたw
丸ごと1冊表題作で、巽(受け)の目線で進んでいきます。
「ヤクザ→料理人」×「寺の息子→コック」の二人の話です。
過去のある二人が、心を近づけていく様がとても良かったです。特に、坂東ですね!巽の方は、結構序盤の、坂東の優しさに触れたときから好きになるのですが、過去にヤクザとして3人も死なせてしまった坂東は、身体は抱いても心は抱かないと告げます。それが、徐々に気持ちが傾き、遂には巽の過去にすら嫉妬するようになるなんて、可愛らしかったです。
脇キャラも良かったです。
ヤクザに襲われても、坂東を助けようとする店の従業員。
何でもお見通しな巽の父親・住職。
しかし、巽の過去は子供の頃の修行僧だけかと思ったら、まさか兄も思惑があったとは…驚きました。
麻生海さんのイラスト、坂東が格好良かったです!作務衣もいいけど、スーツもいい。あと、表紙で、巽が坂東にしがみついているわけじゃないのにも萌えました。「彼女」じゃなく、「一人の料理人」だという気概を感じた気がしまして。
店の中で二人がもだもだする狭い話ではなく、山形に買い付けに出かけたり、予想外の人物が登場したりで、飽きることなく読み進められます。登場人物の背景も厚みがあるので、読んでいて楽しいです。
男前な大人年上攻め、プライドのある素直受け、料理とヤクザがお好きな方は、ちょっと読んでみて欲しいです。
それほど長い話ではないけれど、ズシっと読み応えのあった作品です。さすが剛しいら先生。
内容は、元極道・今居酒屋の店主の坂東と、実家が大きな寺、でも飛び出してフレンチのシェフになった巽、の恋の物語。
巽は元々味覚が天才的で、パリに留学してフレンチのシェフに。東京に戻ってレストランを開くも経営難であえなく閉店。
次のあてもなく困ったところを、父の住職の勧めで新橋で居酒屋「華雅」を営む坂東を訪ねる。
すぐには雇ってくれなかった坂東だが、巽は華雅に通って通って…
住み込みで全ての坂東の身の回りの世話、そして店の下働きをさせてもらうことに。
…という設定。
坂東は、自分の舎弟3人を抗争で喪い、その罪を背負って生きている。
一方巽も、何も意図しなかったとはいえ12才の時実家で寺の修行僧と体の関係となり、その僧が寺を追われる結果に。それが罪悪感となっていつも心の苦しみとなっていた。
まず坂東の大人の魅力、修羅場をくぐった剛気と包容力に惹かれる巽。誘えば抱いてくれる素振り、だけど心までは抱いてやれない、と。
でも坂東は結果的に巽の心そのものを抱くのですよね…
ただ抱かれたくて抱かれたくて、という巽でしたが、坂東のそばで男に惚れるのなんたるかを体得していく…
坂東の方も巽が可愛いのでしょうね、次第に甘くなっていくけれど。
そんな時、ヤクザ時代の抗争相手が出所し、華雅に嫌がらせにやってくる!
そこから展開する、巽を遠ざけて守りたい坂東と、命がけで坂東を護りたい巽を試すようなヤクザの襲来が!
巽とはまた違う形でそれぞれ坂東に惚れ込んでいる華雅の従業員たちの男気がよかった…!
坂東の方の贖罪意識は変わらないだろうけれど、巽の方はいつまでも忘れられなかった夏の日の蟬時雨が坂東との熱い抱擁に上書きされて、坂東に救われるのです。
切った張ったで全てを失った坂東だからこその、「命をいただく」という料理感、そんな坂東の命が何より大事になり、坂東の命をもらった、と思い定める巽は、案外年の差をこえて良い相棒になりそうです。
主人公は元フレンチのシェフ・巽。
巽は、実家から逃げるように海外へ留学し、そこで学校には行かず、フレンチの修行を積み、日本に戻り、東京に店を開いたものの一年で潰してしまう。
そこで僧侶である父の助言を受け、居酒屋の板前である坂東の元へ赴く。
そうして坂東の元で働き始めた巽だったが、実は坂東は、元ヤクザの組頭で、服役した過去を持つ男であった。
坂東の逞しい背中には艶やかな弁天の刺青が彫られていて、坂東の家に住み込ませてもらっている巽は、毎日その背中を流すけれど、次第に自分の気持ちが抑えられなくなるのを、巽は感じていた。
それというのも、巽は男にしか恋愛感情を抱けない人間で、坂東にだんだんと惹かれていく自分を抑えられないのだった。
ある日、ついに自分の恋情と肉欲を抑え切れなくなった巽は、坂東に「抱いて欲しい」と迫る。そんな巽に坂東から帰ってきた言葉は、「心は抱いてやれない」という返事であった。
それでも構わないと覚悟を決めた巽であったが、なぜか坂東は体は激しく抱いてくれる。
何やら坂東がそういうのには彼の過去が大きく関係しているようで……
という話でした。
巽は、幼少の時に実家である寺に修行に来ていた悪戯をされた、という過去を持ち、それを自ら誘ってしまったように思っているという過去を引きずっている。
そして、それからというもの巽の恋愛対象は男の人ばかりで、そのことを忘れるために、家を離れ、パリでがむしゃらに修行をしてきた過去を持つ。
一方の坂東は、自らが捕まるきっかけとなった抗争の際に、手下を三人失った、という過去を持ち、また今も命を狙われる身であった。
そのため、他人に優しくしているかと思えば、その実、少し距離を置いて他人と接している。
そんな坂東の気持ちに気が付いた巽は、坂東に振り向いてもらうために、積極的にアタックをかける、という話でした。
坂東の背負っている過去の重みも、巽の持つちょっと間違った罪悪感さえも、とても丁寧に描かれていて、個人的にはとてもおもしろかったです。
優しくて胸の奥が少しぎゅっとなる話でした。
大きなお寺で、金の苦労など全く知らずに育った巽は、やっぱりお坊っちゃまなんです。
自分の料理に対する思いや腕だけでやっていけると思い、それを商売にすることの難しさなど全く知らずに始めて、最後には親兄弟に泣きついて。
「そんなだから店を潰しちゃうんだよ~」って、巽の情けなさ全開ですよ。
料理の腕は一流でも、生きていく術を知らないって言うのか、誰かを頼りに生きてきたから、自力で切り開く力を持っていなかったんでしょうね。
こんな巽を、坂東があれこれと鍛えていくわけです。
巽を住み込みで雇うことにした坂東は、いろんな過去を持っています。
キックボクサーだった10~20代、ヤクザとなり抗争で舎弟を3人亡くし、自分は刑務所へ。そしてヤクザを辞め居酒屋のオヤジに……と、波瀾万丈な人生です。
特に舎弟3人も亡くしたことで「もう誰も心に入れない」と決めている坂東は、巽の積極的なアプローチにも「体は抱いてやるが、心までは抱いてやれない」と拒絶します。
拒絶されても、男のフェロモンをまき散らしている坂東は非常に魅力的な相手で、坂東目当てにやってくるゲイらしき客や、わざと抱きつくOL客や、兄貴呼ばわりする若造な客に不機嫌な顔を見せる巽。
まだ自分に好意を持ってもらっていないのに、あからさまに独占欲や執着を見せちゃったら、引かれちゃうんじゃないですか~、巽クン。
だから甘ちゃんのお坊っちゃまだって揶揄されるんだよ~。
料理の腕だけ磨くんじゃなくって、人としての魅力も磨かないと!
巽の昔の男が現れたり、ドンパチがあったり、それで2人の気持ちも盛り上がった最後に、借りたレストランに坂東だけを招待しもてなす巽。
料理人だからこそ出来る必殺技だ~! これでだめ押し!
料理のあと「おれが、匡さんの命いただきます」って言うくらい、少しだけ成長を見せたような巽。
この先も修行をして、ずっと一緒に料理を作り続けるのかな?
タイトルがタイトルだけに、そんなに期待してなかったんですが
めっちゃ萌えました!
12歳の巽と修行僧との厨での一件といい、そのことに嫉妬した
匡さんがわざと彼を見張り番にして露天風呂エッチしちゃうとこといい
なんかもう興奮しまくりww
ヤクザモノは苦手な部類で、今までツボに入るものに巡り会え
なかったんですが、これはバンバンツボつきまくりでした!
匡さんはもちろん男前だし、巽も話が進むほどにどんどん男前に
なっていくんです。
最後にはヤクザに啖呵きって、身を呈して匡さんを守りきるんだから
ホント格好いい受だよ。
私が求める受がここにあり!って感じで、
最初から最後までひたすら楽しめた1冊でした。
早い段階で匡さんに巽の気持ちは気付かれてて、
『体は抱いてやれるが、心は抱いてやれない』と言われても
へこたれずしぶとく食らいつく。
シュンと凹む受じゃなくて、ガンガンの肉食系の受なんです。
匡さんも肉食系だから、肉と肉のぶつかり合いって感じ!?
前向きって言うか、自信過剰って言うか、一度関係もった後の
女房面が女々しくなくて、上手に匡さんを操ってるのが、これまた男前!
ヤクザモノとは言いつつも、実際はラストの50ページ程度しか
それ関係の描写はありません。
すでにラブラブの2人ですから、ヤクザが乗り込んできた時も
『巽逃げろ』『匡さんと一緒じゃなきゃ嫌だ』って
なんだかメロドラマのような展開にちょっと笑っちゃったりしながら
最後は巽が相手の親分の手にナイフを突き刺して事件解決。
という意外な結末に、珍しく攻に守られる受の立場を覆した格好良さに
萌えてしまいましたww
『匡さん、俺に惚れたんでしょ』ってセリフを堂々と言ってのける
自信満々な巽はなんとも格好いい誘い受で、攻・受対等な立場に限りなく
近い2人の力関係は、BLにおいては理想的です。
攻に守られる受って作品ばかり読んでると、
たまに逆の作品も読みたくなって、そんな時にピッタリの作品でした★
経営がうまくいかず、自分の店をつぶしてしまった年若き元フレンチシェフの巽。
父の薦めで訪れた店で、巽は一人の男と出逢う。
居酒屋『華雅』店主の板東は元ヤクザの若頭で、背中に鮮やかな弁天を背負った一風変わった板前だ。
板東の腕前に惚れ込んだ巽は、頼み込んで住み込みでこの居酒屋で働くことになるが……
元ヤクザの板前×元フレンチシェフ(現従業員)
なんだか感情移入できないうちに読み終わってしまいました。
主人公の巽が思いの外積極的でかなり押せ押せです。
その押せ押せ具合をかわす板東側の理屈はわかるんだけど気持ちがわかりにくいというかなんというか。
お互いが惹かれていく過程や理由がいまいち見えなかった気がします。
そう思うともう駄目で何をみても都合良く思えてしまいました。
せっかくの料理人モノ。巽自身の料理にたいする執着とかがもうちょっと見たかったかな。
ただ巽や板東の作る料理の描写はとってもおいしそうでした。