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sabaku no bara
閉鎖されたアラブの小国「サザーランド」を舞台にした話です。
日本から来た外交官の翠は麻薬絡みのトラブルに巻き込まれてしまい、サザーランドの部族の内の一つ「ベルク」の首長・リュークの一団に助けられます。
しかし戦利品は自分のものだと言わんばかりの態度でリュークは翠を強引に抱き、その後も屋敷に軟禁してしまいます。
ストーリーの本筋としては、凌辱されたことで最初は反発していた翠が、傍にいるうちにリュークに惹かれていくという王道なものなのですが、その中には疑惑、陰謀、策略、嫉妬、裏切り、真実etc…と盛りだくさんの内容で読み応えがありました。
普通なら色々な要素を盛り込み過ぎても中途半端になってしまいがちなのですが、実はこの作品の厚さというのが普通のBL文庫に比べると1.5倍くらいあるんですよ!
最初は読むのに時間がかかるかも…と思ったのですが、複雑な政治・背景などがそれほど書き込まれておらず、難解に感じる部分がなかったことでスラスラと読み進められた上、内容に引き込まれた事もありあっという間に読み終わってしまいました。
特に、敵対している部族に通じている裏切り者がおりその人物を探っていくという中で、いかにもこいつが裏切り者だという流れを作っておきながら実は…、という意外性のある展開だったのがなかなか良かったです。
ただその裏切り者の処遇について結局触れられず(どうなったか分からず)終わってしまうのが気になってしまいました。(ちらっとでもいいから何らかのフォローがほしかったかも)
ラストでお互いの気持ちが通じ合ったのに、リュークとの立場の違いから翠は身を引こうとします。結局はリュークの裏ワザ(?)で二人は別れずに済むのですが、これについてはちょっと強引かも…と思ってしまいました。
でもまぁちょっとぐらい都合のよい終わり方になっていたところで、全体を台無しにしていた訳ではなかったので納得の結末でした。
ちなみに本編だけでなく、最後の最後まで小ネタ(あとがきにある二人の後日談)で楽しませてもらえたのも良かったです。
なかなか始まりは、過酷な運命の翠は、麻薬の密輸の手先から、
誘拐、監禁、強姦、薬まで使われて、一介の外交官には、
想像も及ばない展開に、そうとう戸惑ったと思います。
リュークこと、ベルクのシャイフ、またこれがいい男なのに、
残酷で、翠を強姦して、自分の女にしてしまい、監禁しかし、
逃げ出した、翠を助けるために、砂嵐の中に飛び出すほど、
惚れこんでしまったという、カワイイ面も出てきた。
王宮を交えた、陰謀に振り回され、悪者に捕まった、翠をリュークが、
助けて、今度は、翠が、命がけでリュークを守ろうとする、
なかなか、読んでいて次はどうなると思いながら、350ページを
あーという間に、読み切っていた。
それにお約束のように、砂漠といえば王子様、やっぱりリュークは、
失踪していた、第一王位継承者だった(予想はしてた。)
また、薔薇のあざが出るのが、興奮した時内モモというのも、
ちょっと、笑える。
身分違いに、翠があきらめて、日本に帰ろうとしたら、自分が
外交官になって、追っかけてくるなんて、ナイス!!
とても楽しめました。