COLD FEVER(新装版)

cold fever

COLD FEVER(新装版)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神139
  • 萌×215
  • 萌10
  • 中立3
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
34
得点
788
評価数
174
平均
4.6 / 5
神率
79.9%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
祭河ななを 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
COLD SLEEP
発売日
価格
¥1,000(税抜)  
ISBN
9784862635501

あらすじ

ある朝目覚めた時、透の時間は六年の月日が経っていた──。事故でなくした記憶を取り戻したものの、周囲に愛されていた“もう一人の自分”の影に苦しみ、さらに誰よりも憎んでいた男・藤島と同居していたことに驚愕する。藤島に見守られ、失くしかけた夢と歳月を取り戻そうとする透だが、藤島の裏切りが明らかになり──! シリーズ新装版、ついに最終巻。同人誌発表作に大幅加筆し、「同窓会」シリーズも連動して同時完結!
出版社より

表題作COLD FEVER(新装版)

記憶が戻った男
透を見守る男

同時収録作品花咲く花散る花開く

公務員
カメラマン

その他の収録作品

  • LAST FEVER 四季
  • 花咲く花散る花開く
  • あとがき

レビュー投稿数34

魂の慟哭が 胸に突き刺さる

のっけから冷や水を浴びせるかのようなプロローグ。
ある朝突然、記憶を取り戻したかと思えば、まるでその代償のように藤島との6年間は忘れ去られてしまう。たぶん…とは思っていたけれど、最悪の展開。
それまでの盤上の石が、ものの見事に色を変えていく。

誰も愛さず、誰からも愛された記憶などなく、それなのに“偽者の自分”はちゃっかりとうまいことやってたらしい。
透にとってその事実は、他の誰でもない自分に裏切られたことに他ならない。
けれどその怒りの矛先は、ある写真をきっかけにして藤島へと向けられることになる。
すべては藤島のせいだと思い込み、殴る蹴るの暴行の果て、幼い日の自分にトラウマを植え付けた相手を痛めつけることで「過去の(弱かった)自分に勝ったんだ」と笑う透。
それに抗おうともしない藤島。その真意は、償い、もしくは憐憫?
愛情と憎しみの波間に己を見失い、傷つけ、傷つけられ、やがてふたりに訪れるのは、一体何なのだろう。

さんざん持て余してきたはずの、己の感情の正体に気付いた時、透が発したその慟哭の凄まじさ。

それまでの目を覆いたくなるようなDV描写よりも、このシーンに胸が詰まった。

正直なところ、重いし、暗いし、しんどい話なのだ。
決して手放しで喜べるようなハッピーエンドではないし。
だけど人の弱さや愚かさ、その醜悪さを描ききることで、人は誰かを愛さずにはいられない生きものなんだと改めて思い知らされる。
こんなにも圧倒的なまでの熱量で心に訴えかけてくる作品には、そうはお目には掛かれない。

19

攻めが好きになる3作目

子どものときから愛情をまったく与えられなかったため、トラウマだらけである反面、
スマートで器用、要領が良く、パティシエや写真家という分野で才能を発揮する男が透で攻めです。
裕福で、人が羨む類の家の一人息子だが、実は両親は不仲で、複雑な環境、異常な母親に支配されて育った男が受けで藤島です。

コールドフィーバーとは木原さんの造語なのでしょうか。
COLDシリーズは三巻あり、書名の意味を知りたくて辞書を引きました。
ぴったりの訳は載ってなかったので、想像するしかありませんが、
冷淡、よそよそしい、眠り(1巻)、光(2巻)、発熱とか熱狂(3巻)とかそういう意味なのでしょうか。
2009年春のリブレ出版の木原音瀬フェアがあり、この本を買った時、小冊子「愛する人は誰ですか」が付いてきました。

自動車事故で過去の記憶がなくなってしまった攻めの高久透を 
義兄弟の受け、藤島が引き取ところから始まります。
1巻と2巻で、生い立ちと、記憶喪失している間に二人が恋人になる過程が、書かれています。
3巻目で元の記憶が戻り同時に6年間の記憶がなくなる。
COLDシリーズは大作です。

この3巻目はなかでも読み応えがすごいです。
なぜならこの巻の透が一番魅力的だからです。
記憶喪失の前、記憶喪失中、記憶が戻った後、それぞれ藤島に対する透の言動、感情に変化が起こります。
3巻目の透はトラウマだらけの人間で藤島に暴力を振るう男です。
でもその暴力は求めている相手に好かれたいという気持ちにブレーキがかかった結果の暴力です。
小さいころ藤島に裏切られたと思っているので、
藤島の顔をみるたび暴力を振るっています。
私にはすごい執着心にみえます。
「好きだ!仲良くしたい!」という心の叫びと
「裏切られた!もう二度とあんな思いしないぞ!」という心の叫びに
引き裂かれています。透は。
それが、記憶喪失が戻ったら戻ったで、
「記憶喪失中の自分にはかなわないかもしれない、恐怖!」というのも抱えてしまいます。
よく藤島は逃げなかったなと思います。
嫌がられて暴力受けても透を見捨てなかった。すごすぎます!
透も暴力でストレスを発散しているという単純なものじゃないのです。
最後は藤島の胸に縋って「どうしたら側にいてくれる」と嘆願するようになります。
その後の話でも透が今までと真逆に藤島を大切にする話になっています。

17

怒濤の展開に怯むなかれ

シリーズ最終巻、決着編。ある日、目が覚めた透は鏡に写る自分の姿があまりに記憶と違い混乱する。更に事故に遭い6年もの月日が経っていることを知り愕然とするが…。

ハイ、いきなりです。恐れていたその「ある日」から、いきなり始まります。
透の驚愕もよーくわかるが、思わぬ出だしにヒエ-と私も愕然としました。ボーゼン……。
覚悟していた透の記憶再喪失(正しくは戻ったというべきなんでしょうがBL的には喪失じゃい)に、二人の甘い時間と読者の心は木っ端みじん、過去のツケがまわってきます。
これから読まれる方は、心を強くもって臨まれることをお勧めします(救心!救心!状態)
んが、読後感はよいですから!………たぶん。

まっさらな透→藤島と視点が変わってきた前2冊。
最終話は22歳でとまったままの本来の透の登場です。
ケーキを食べさせては幸せそうにしていた透の豹変ぶりは覚悟していてもなおショックで、透の視野の向こうの藤島の辛さを想像しては(私が)死にそうになりました。
藤島が透の仕打ちに耐えられるのは、あの幸せの記憶があったからなのかも。
でもそのための6年だったとは思いたくないです。

この新装丁版で再読組の私は当時、透の怒りと絶望に同情しつつも、藤島の胸中を思うことで精いっぱいだった記憶があります。
黙って耐える藤島の姿があまりに痛ましすぎて。
でもこうして改めて読み返してみれば、透がどれだけ寂しい人間かがよくわります。
それが何気ない描写の中ですら読み取れてしまうことに、胸が潰れる思いでした。
何より切なかったのは、透の本質は確かにあの優しかった透なんだと思わせる瞬間があったこと。
藤島を傷付けながら自らも傷付き、愛し方も愛され方も全く分からない透の悲鳴が、文章の端々から聞こえてきます。
悪態も暴力も虚勢も全てはがれ落ち、最後に残った透の姿は寂しい、寂しいと泣く小さな子供にしか見えませんでした。

異常な愛情で雁字搦めにされてきた人間と、特別な愛情を誰からももらえなかった人間が惹かれ合う不思議を考えてします。
BLにしばしばみられる供依存ですが、この二人もまさにそう。
しかし彼らほど互いを必要とし合い、その必然性を感じられる関係は中々ないんじゃないでしょうか。

正直なところ読み進めるのは辛い話ですが、二人のこれからの幸せのための生みの苦しみのようなものだと納得できる内容なので、これでよかったのだと思っています。
んが!精神肉体どっちも痛いのがダメな方はきっぱり立ち入り禁止。進入禁止!
耐性がある方は是非チャレンジして欲しい。
読まないでいることがもったいないほどの、木原作品の中でも圧倒的な力をもった作品です。

~独り言~
藤島のお尻の将来が心配。(土下座)

15

甘いまま 終わるわけない このはらー

前作LIGHTで、ようやく愛し合うようになった二人。
最終巻FEVERでは、透の記憶が戻って、愛し合って、共に生活していた6年間を全く忘れてしまうところからお話が始まります。
記憶のない6年間に何があったのか、全くわからなくなって、荒れまくる透視点で話が進むので、前作のケーキの甘さとは大違いな、荒涼とした痛々しい展開です。
最終的には、二人は、元通りとはいきませんが、「この人と離れて生きてはいけない」と、透が自覚することで、ハッピーエンドになります。
このFEBVERを読んだ後に、前作LIGHTを読むと、切なさ倍増です。
是非、3作全て読んでいただきたい。
3作全部読み終わってから、更にもう一度最初から読み直したい。
そんなオススメな、作品です。
同時収録の「花…」で、前2巻に載っていた同級生シリーズとお話が合体します。
同人誌でちょっとだけ読んだことのあったお話は、こうゆう流れの中の作品だったのか。

14

穏やかな毎日を迎えるために

初読みの際には2人のその先が知りたくて躊躇いもなく読み始めたのですが、再読するには勇気とタイミングが必要になる1冊です。

記憶が戻った所から、デジャブのような光景が始まります。
混乱の挙句2日間もの間行方の分からない状態になり、藤島の心配と来るべき時が来た、その覚悟が語られずとも緊張感を伴います。

透の中にある修復出来ない歪が重く蜷局を巻き、逃げ場のない藤島に容赦なくぶつけられる。
藤島の飲み込んだ言葉も想いも何一つ語られる事なく、透の今をそして未来を優先させる姿にこみ上げる感情で胸がいっぱいになりました。

そして、透の何気ない気まぐれに6年間の当たり前が詰まっていて苦しくなります。

透のそれまで愛されなかった絶望もそれでも愛されたいと渇望する気持ちも支離滅裂になりながら、6年間の透と対峙する勇気も持てず過ごす毎日。
酒に溺れ、快楽を貪り消費されてしまう日々のむなしさに早く気付いて欲しいと気持ちだけが急かされます。

藤島が透をどう守ってきたのか知る喜びと怒り。
荒ぶる気持ちを沈める方法を知らない透のトラウマを乗り越えようとする足掻き。
そして心の奥底に眠らせた素直な気持ち。
依存という言葉が使われますが、幼い頃の記憶のやり直しをしているような感じがします。

ようやく迎えた穏やかな2人の姿に、それでハッピーエンドだと思えないざわついた気持ちが残りますが、海で最後の写真を燃やした藤島の、今の透だけを見つめようとする強さと潔さに、今度こそ間違わずに寄り添って欲しいと願うばかりです。

「LAST FEVER四季」で同窓会シリーズの谷口との出会い。
透の憧れが詰まった存在に、考えるだけでまたこみあがるものがあります。
透の乱暴な言葉も少しずつ藤島を思いやるものとなり形は違えど繰り返す核のようなものはやはり一緒なのだと嬉しくなります。
時の流れに少しずつ本来の透と6年間の透が重なって見えるようになり、多少の疲労感に包まれながらも大きく揺さぶられた心は落ち着く事が出来ました。

14

現実のはじまり

私は、甘い夢が覚めて、ようやく現実が始まったという印象を受けました。
シリーズ中で一番好きなのはこの巻で、この透です。
捻くれてねじ曲がった愛情不足の彼がそのまま愛しいです。
大好きなお兄ちゃんに裏切られてから、心からずっと血を流し続け、愛情を求めてさすらっていた気がします。

前回読んだ時は藤島に同情しきりだったんですが、藤島が残酷な気がしました。
過去の記憶喪失中の透をまだ追っていて、目の前の透を受け入れていない感を受けたので。
償罪しなければならない他人。
透とはそれだけの関係であって、責任感や義務のように思いました。
どれだけ透が残酷なことをしても、受け入れずに心が希薄なら、ただの中身のないものにあたっているだけ。
肉体を傷つけているのは透なのに、精神に傷をつけられているのは透で、余計に痛さが増す気がしました。
どちらも満身創痍で、思いあえず向かい合えないままなのが、悲しかったです。

自分の存在意義や矜持を受け渡して初めて、あの時に藤島に現在の透の気持ちがようやく届いたのだと思います。
痛い、切ない、言葉にするのが難しい関係です。
幸せになって欲しいと、祈るように思います。

9

透のことがすごく好きになりました。

遂に最終巻です。
ここまでの2作は途中少しくらい休憩入れながら読んでもいいかなって感じで読めたのですが、この巻は最後まで一気に読まずにはいられませんでした。
この物語が「激痛」と評価されていた部分が次から次へと出てきて。
少しは覚悟をしていたつもりでしたが、それがここまでいくつも波状攻撃になって押し寄せてくるとは思ってなくて。
けれど、それゆえなのかどうなのか。
これまでの2作よりも惹きつけられるところが多くて。
目を離せなくて。

透が変わっていく様がこわくもあり痛々しくもあり。
そして、時には幼くも見えて。
無器用な感情やら衝動やら抑えきれない激情やらいろいろぐちゃぐちゃで。
さすがに最終的にああいう執着というか依存の仕方にまで発展するとは思ってなかったので少し驚きました。
そんな透を見守り続ける藤島はどこまでも透重視な感じで。
どんなに虐げられても透に大きな傷を与えた過去を悔いているのか離れることはないし手離せない。
ずっと透を見てきた中で、その時その時に想う気持ちがあって。
それぞれに性格が違っていたとしても何度でも惹かれる部分があって。
2人が最後にはやさしい気持ちで寄り添えるようになったことが嬉しかったです。

あとは6年間の真実を知る楠田と透のシーンがどれもなんだか心に沁みるというか。
楠田の言葉がどれも胸をしめつけられるようなものが多くて。
透は楠田みたいな男と友人になれてよかったなぁと思いました。

そして、谷口や黒川ともリンクしてきて。
「いつか僕がそばにいてよかったって、君が思ってくれたらいいのに」という黒川の言葉がとても印象的でした。
お互いに相思相愛ではあるけれども、その恋愛の比重みたいなものが違ってて。
黒川は決して頼りになる男ではなくて。
そういうのを自分でもわかってるからどこかで自分と同じ程には思ってもらえてないみたいなところもあるのかな、と思ってみたり。

この巻を読んで透のことがすごく好きになりました。
決して、良い子というのではないし、いろいろ問題な部分もあるけれど。
それでも読み終わってみると一番透が好きでした。

きっと1回読んだくらいではまだまだ理解できてない部分とか読み落としてる部分とかもあって。
少しも全部はわかってないけれど、いい作品に出会えてよかったなと思えるシリーズでした。
またゆっくりと読み返したいと思います。

9

辛く痛い話ですが

COLD シリーズの完結編です。
これというきっかけもなしに、突然透の記憶が戻ったところから始まります。
過去のことは思い出したけれど、逆にこの六年間のことは何一つ覚えていません。
透にとっては、何もわからないまま六年経っていて、なぜか大嫌いな男と同じ家で暮らしていて、そしてこの六年間の透は、暴力的な自分と違って、穏やかで周囲に好かれていたらしい。
透は苛つきます。

藤島はこの六年間自分は透と恋人同士だったと言えないのですが、透は偶然自分と藤島が裸で抱き合っている写真を見つけてしまい、逆上します。怒った透の暴力シーンはかなりひどいものでした。
最初は子供の頃を思い出し、藤島が記憶を失った自分をたぶらかしたのだと腹を立て、やがて記憶を失っていた六年間の自分に嫉妬に似た気持ちを抱きます。自分の存在価値を探す透は悲しかったです。

穏やかだった六年間の透は、実際の透とはまるで別人のようですが、子供時代の可愛かった透のことを思うと別人なんかじゃなく、あんな目に遭うことがなければ、こう育つはずだった本来の透なのかもしれないと思えました。
今後の二人が幸福に向かうことを祈らずにはいられません。

9

涙なしには見られないクライマックス

Sreep→Light→Feverの順で読了。
2日で(後半2冊は半日)で読み終えました。

読み終えてから6時間…まだまだ余韻に浸っています。

読んでいない方は事前知識ゼロでSleepから読むことをおすすめします。
Feverからシリーズに入るというのも面白そうなので、誰かチャレンジしてレビューしてくれると嬉しいです(笑)

※ここからネタバレ入ります。

青春の過ち。そして妻子を捨て、透を救った罪。
人を殺した罪。
2人の罪の行き着く先は……

作中、Sleepの頃とはかわった藤島と全てを失った透の対比が印象的でした。
透目線で進む物語ですが、藤島の心中も想像できて二重の切なさが胸をしめつけます。

過去の記憶を失った透が二度と帰ってこないと思うと、何とも言えない虚無感におそわれます。
私たちの記憶と、捨てられた写真の中に確かにあった彼の人生は終わってしまったのです。
しかし、記憶を取り戻した透の中にも6年間の痕跡はあると思います。
難しいですが、記憶があるかないか違うだけで、どちらも透です。
透ならパティシエでもカメラマンでもない未来であってもやっていけるような気がします。

クライマックスは必見です。
過去の写真を捨てる場面から、公園へ。
ついに爆発する透の感情に号泣しました。

Lightで終わらず、Feverの悲しいだけではないこの終わり方だったからこそ、coldシリーズは評価されているのでしょう。
スピンオフはまさかの楠田が主人公ということで読むのが楽しみです!(作中で彼女という単語が出てきたからまさか彼が主役なんて想像もできなかったのです)

以下蛇足
どうしてあのタイミングで記憶を取り戻したのかということについて自分なりの考察を書きます。私は、透のフランス行きが決まったことが重要な意味を持つのではないかと考えます。透は無意識下では過去の自分と接していて、報われない彼を助けたいと思っていた。その一方で、今の自分を明け渡すのは躊躇われた…。月日が経ち、フランスに旅立つことになった。そのことと、藤島の何らかの言動で過去の記憶を取り戻す決意に至ったのではないかと(無意識下で)。完全な妄想を失礼しました。

9

私にとっては萌えではありません。

木原さん大好きです。木原さんが書かれる執着攻執着受が大好きです。
COLDシリーズの中で一番心が痛い巻です。
この最終巻は読んでいる途中からつらい、しんどい、苦しいと三重苦で「萌え」とは程遠い感情なのですが、時間が経つとまた読みたくなってしまう不思議な作品です。

COLD LIGHTでのラブラブから一気に急降下する空気で始まります。
透目線でお話が進んで行くのですが、暴行されたり、無理やり乱暴にされても、私には藤島の気持ちがすけて見えてしまって涙なしでは読めませんでした。
藤島が透の目を隠してセックスする描写がもう今思い出しても悲しくて苦しくて涙が出ます。
優しかった透のことが好きだったからこそ、6年幸せに二人で暮らしていたからこそ、同じ「透」だからこそ、藤島は透を見捨てる選択肢はないのだと思いました。
前作で「記憶が戻って今の自分がいなくなっても、藤島のことを好きだと自分で説得する」というような会話がありました。
藤島が無理やりされる度に、暴行されるたびに、その言葉が私の頭の中をよぎり藤島に感情移入してしまい涙も止まらず苦しい気持ちでいっぱいになりました。

最後に透は藤島に執着する形で、藤島はそれを受け入れる形で終わります。
すごく木原さん節が光るエンディングのような感じがします。
白黒はっきりした終わり方じゃないこの感じ。
ハッピーエンドというより、まさに「木原エンド」です。
読み終わった後、もやもやとしたものも残るけど、どこか暖かいようなそんな感覚です。

長々と失礼しました。

9

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