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一見冷たそうに見えるがじつは人情の深い雲雀。
好きだった人と一緒に営んでいた探偵社は、彼が亡くなった事で閑古鳥が泣く毎日。
ある日、殴る蹴るの暴行を受けていた晴人を助けたのだが、晴人は空腹で倒れてしまう。
仕方なく事務所で食事を与えると、今度は「人を探して欲しい」と頼んできた。
その次には雲雀の「相棒にして欲しい」と押しかけてくる。
図々しいが、どこか憎めない晴人。
冷たくあしらっているつもりでも、まったくめげない。
神経も太けりゃ身体もデカい。
大切な人を失った事で、硬く心を閉ざしてしまった雲雀の気持ちを、晴人はどんどん揺さぶります。
頼りなさそうに思えるのですが、晴人は雲雀の事となるとやたら観察能力がある。
雲雀の心を開こうと強引な一面もありますが、反対に嫌われたくない、という子供っぽい部分もあって、ワンコみたいです。
雲雀の同居人や晴人の友達なども絡んできて、いつの間にか雲雀は暖かい人の想いで繋がれていく。
雲雀の生まれ育った環境が、もうストーリーの中で活かされていれば面白そうなのですが…、生い立ちはあまり関係なさそうでした。
人との親密な関係を好まず遠ざけていたのは、大切な人の死が原因ですが、それにしてはあまり悲しいエピソードは載せられていないのも残念なところでした。
タチがネコに変わる心境の変化も、もう少し微妙に突付いて欲しかった。
温かみのあるお話ですし、二人の掛け合いもコメディーチックで楽しいです。
ただ、恋に発展する盛り上がりには欠けるような…。
探偵事務所を営む梶は、ある日一方的に殴られていた若い男を助けます。
腹が減ったと動かなくなってしまった男・晴人をしぶしぶ連れ帰った梶に、晴人は人探しをしてほしいと依頼をします。
その後依頼された人物を無事に探し出し、これで晴人との縁が切れると思っていた梶でしたが、晴人は今まで住んでいた部屋をすでに引き払い、住み込みの探偵助手にしてほしいと頼み込んできます。
梶は可愛らしいタイプの子が好みのゲイ(タチ)なのですが、成り行きで拾ってしまったのはまるで大型犬の様な晴人(ノンケ)。これは前途多難だなと思っていたのですが、そもそも好み云々というだけではなく、梶の心の中にはすでに亡くなっているある人物の存在がまだ多くを占めていて…という設定なので、どうやってこの壁を崩していくのか楽しみにしていたのですが…
梶だけでなく晴人もトラウマを抱えている事から、そもそも恋をするという初歩の初歩から踏み出していかなければならず、ストーリーも恋愛の駆け引きみたいな展開よりは、人とのつながりみたいなものをメインにしているところがあったので、ラスト近くになるまではラブっぽい展開や雰囲気は控え目な感じだったと思います。
探偵モノとしてもあまり緊張感のある展開ではありませんでしたし、梶の過去にまつわる話にしても結局は匂わせる程度になってしまっていたのも気になりました。
それぞれのエピソードは面白くない訳ではないんですが、ちょっとメリハリがないというか単調な印象になってしまったのが残念でした。