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優の帰国を待っていたかのように、再び持ち上がる婚約の話。
ジュリアンのことを愛している優は、愚かにも自分の本当に気持ちを
祖父に打ち明け、婚約を破棄してしまう。
それを許さない祖父は、ついにジュリアンを学園から追い出すという
実力行使に出てしまう。
誰にも行方を告げず、ひっそりと一夜のうちに消えてしまったジュリアンに
優と仲間たちは…。
今回はシリーズの最終巻。
ストーリーもぐっとシリアスになっています。
優の政略結婚がどのような経緯で行われることになったのかが
時系列で書かれ、いままで少しずつ出てきていたこの話が
結構奥深いものであることもわかります。
相手方の祖父と、優の祖父が親友同士であったことなどもわかり、
ただ単なる政略結婚ではなかったこともわかってきます。
また、今まで伏せられていた優の父親が、実はどのようになっていたかも
ここではっきりとわかり、現在の母親がどのような暮らしをしているのかも
記されています。
これによって祖父の、優に対するスパルタぶり、過干渉ぶりの理由が
やっと明らかになるという構成になっています。
ジュリアンが、優を思うあまり、祖父の勧告を受けて寮をあとにするシーンは
本当にかわいそうで、健気で泣けます。
新たな音楽院に編入しても、精神的なトラウマでピアノを弾くことができなくなったジュリアンは
毎日雪だるまばかりを作っています。
音楽院の同級生にこれ見よがしのいじめも受けて、
心がどんどん壊れていくジュリアンに萌えます。
ジュリアンの白い色に対する恐怖も、やっとここで明らかになります。
ジュリアンの復学を願った、同級生たちの嘆願書が受け入れられず
ついに不登校を決意する茜の「間違っていることは許すことができない」としう
若者らしい態度もいいですね。
孫の優に良かれと思ってした事が、裏目に出てしまう祖父の葛藤も
ここではじめて出てきます。
鬼のような人だと思っていましたが、そうではないことがわかります。
最終的には、すべてのものがうまくいくのですが、
そのネックになっているものが、優ではなくジュリアンだったというところに
ちょっと意外性があって楽しく読みました。
シリーズの最終巻だけあって、いろいろな話が断片的に盛り込まれ、
全巻を読んだ人には、いろいろなシーンを思い出す構成にもなっています。
もちろん、これだけでも十分読むことができます。
ほのぼのと幸せになりたい方、Hシーンがほぼないに等しいのですが
そこは学生だからと許せる方には、お勧めのシリーズです。