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性質(たち)の悪い毒だ。おまえは
gouman na ai no dokusaisha
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
R.C.Sシリーズもラスボス(?)社長がとうとう登場です。何度かほんの少々だけ登場していましたが、すっごく印象的な社長で、いつメインになるんだろう?って楽しみにしていました。社長本人もインパクトがありましたが、恋人もさすがでした。
VIP専門のボディーガード派遣会社・R.C.S(RISK CONTROL SERVICE)を設立した各務と巽。学生時代からの友人で、警察官となり、各務の父が疑惑の残る殉職をしたせいで二人とも辞職し、巽を引きずり込んでの復讐劇の開幕。
何にびっくりしたって、各務がやっていることすべてをわかっていて、それごと受け止めてるんです、巽は。
しかも、政界の黒幕のなぶり者になっている間、屋敷の外に止めた車の中で待っていて、家に連れ帰ったあと、各務を清めるかのごとく抱いちゃうんだもん。愛しちゃってるし、愛されちゃってるし。
でも『愛してる』って言葉は一切なし。わかっていて、言葉にしないんでしょう。ってか、出来ないのかもしれません。
それが切なくて、切なくて。
ほぼ各務視点で書かれているんですが、ところどころ「誰の視点?」と最初はわからない視点でのモノローグがあるんです。
これが、非情に意味深に書いてあって、愛してるけど裏切っているとか。
読み進めていくと、誰の想いなのかがわかり、しみじみと語りかけてくるんです。それがまた切ない。
愛しているのに、なぜ裏切り続けたのか。
悪を暴くために、二人して壮絶な戦いをし続けてたんです。
しかも、お互いが何も告げず孤独な戦いを……。
孤独なために、とてもインパクトのあるキャラになってたんでしょう、各務社長って。おまけに色っぽいし。自分のカラダを、いろんな物と引き替えていたから、自然と色気があふれ出ていたんでしょう。
周りにいる男たちには、目の毒になっていたんじゃないのでしょうか。
巽征一郎(R.C.Sの副社長)×各務眞仁(R.C.Sの代表取締役)
※この作品はボディーガード会社「R.C.S」のエージェントを主人公にしたシリーズの5作目になります。主人公はシリーズごとに別キャラなのでこの作品のみでも楽しめますが、前作の主役が各務の弟(祥人)でしたし、短編では今作の二人が登場しているので4作目から続けて読んだ方がより楽しめるかもしれません。
ついにツボど真ん中キター!!!とホクホクしながら読み進めた作品です。正直このシリーズに関しては微妙に物足りない印象を持ってしまい、楽しんで読めるのですが“でも…”となってしまうパターンばっかりだったんですよね。しかし!ついにシリーズ5作目にして大当たりに遭遇し、このシリーズを読んでて良かったとしみじみ思ってしまいました。
今作での主人公はボディーガード会社「R.C.S」の社長と副社長カップルです。特に社長の各務は今までのシリーズ中でも度々登場し、結構な癖のあるキャラとして描かれていて脇キャラながら興味を持っていたのですが、主役として登場しても期待を裏切られることはありませんでした。
刑事だった父親が殉職した真相を暴くため、情報を与えてくれる政治家に代償として躰を差し出したりと、目的達成のためならなりふり構わず計画を進めて行くのですが、一見ビッチな女王様キャラなのに実は虚勢を張っている姿が痛々しかったです。それに各務の目的を知り全てを受け入れている恋人の巽との関係も切なくて何度もグッときてしまいました。特にクライマックスで巽が各務に秘密にしていた事実が明かされる場面は、二人の強い絆を改めて思い知らされました。
各務・巽のキャラ、二人の関係、ストーリー全てがバランスよく収まり、とても読み応えのある作品になっていて大満足な1冊でした。