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いちいちセリフだの情景描写だの説明文だの文章が長すぎて目が滑ります。なのに一冊に二つの話(+おまけ一本)が入っているので展開も急。お互いの立場、過去の因縁をさらっと説明して、もう破局寸前からのスピード和解ですよ。
漫画だったら16ページかなって感じの内容の薄さですね、一本目。
受けが攻めを許す気になった理由も、攻めが受けを再び、というか今度こそまともに愛する気になった理由も全く分かりません。受けに関して言えば大好きだった人に求められたから、と言えますが、それただのちょろインでしょう(BLにこんな言葉使うのもどうかと思いますが)
憎しみどこ行っちゃったの?プライドは?って疑問符でいっぱい。
攻めは留学時代の遊びの彼女達と受けを同列にしていないのか?って疑問が最後まで払拭できず。攻め大好きで十年も拗らせた受けが少し心配になりました。
作者様のあとがきによりますと、題名つけに苦労をされたとのこと。そのためか、題名がついた作品はありません。収録されているのは3作品。両思い→辛い過去→後日談、という構成になっています。
丸ごと1冊が1カップルの話になっています。九鬼と巫御、二人からの視点で語られているので、分かりやすいです。
「ドラスティック・メタモルフォーゼ」
再会してから2年半後、離れようとする巫御を、九鬼は引きとめて奉仕させたものの、もういいと突き放し、突き放された巫御は泣いてすがり…。ツンデレ同士、なかなか本音を言わない二人がようやく両思いになる話。
「報復モラトリアム」
全体の3分の2をしめる長さの作品。大学時代の過去、再会してからも二人がすれ違い疲弊していく話です。ラストが、「ドラスティック」の冒頭に繋がります。
「街に天使の降りる夜」
両思いになった二人の話。「ドラスティック」のラストの翌日、九鬼が空けておけ、と巫御に命じた金曜の夜の出来事です。当然ラブラブです。ケーイ…?には萌えました!あと、会社の名前の由来が明かされます。
3作品中で一番長い「報復」の、大学時代と現状の場面の切り替え、巫御と九鬼の両方から語られる思いが、この作品を引き締めたものになっています。映画を見ているみたいです。
ただ、二人の視点に絞られているので、他際立ったサブキャラがおらず、二人だけの世界といった感じで、閉塞感があります。辛うじて沢海がその立場っぽいですが十分ではありません。ですが、その閉塞感が逆に、ここまで15年間こじれた恋愛に至った状態を感じさせてもくれます。
意地っ張りツンデレ同士、先輩後輩、仕事もの、再会ものがお好きな方にお勧めします。
まさに受の粘り勝ちといったお話でしたね。実に15年にもわたる執着愛には感動を覚えました。ここまで一人の男を思い続けられるって凄いです!
若手企業家、九鬼の秘書である御巫の仕事は、九鬼のビジネス・プライベイト両面をサポートすること。御巫の仕事ぶりは隙がなく、行き届いたものなのですが、御巫は九鬼の前では一切感情を覗かせることなく、機械のように振舞います。過去の可愛く一心に自分を慕ってくる御巫とのあまりの違いに九鬼は苛立ちを覚えます。しかし、御巫の変化にははっきりした理由があるんです。
二人は大学バスケ部の先輩・後輩でした。九鬼は日本屈指の天才的なスタープレイヤー。怪我のために選手の道を諦め、マネージャーとなっていた御巫は、九鬼に対して崇拝と恋慕の情を抱いていました。将来を嘱望されていた九鬼でしたが、ある夜、事故に巻き込まれたことで、生活は一変します。後遺症でバスケはおろか、一生歩くことすらままならないかもしれないという体になってしまうのです。友人も恋人も離れていく中、ただ一人御巫だけは、九鬼の側で献身的に尽くします。日常生活やリハビリの介助に加えて、性欲の処理まで(大人しい御巫が九鬼に乗っかっちゃう場面は、御巫が可愛すぎて、ちょっぴり萌えてしまいました。介護萌え?)。が、御巫の献身は、九鬼にとっては重荷だったんですね。自分を知る者がいない場所で再出発するために、九鬼は御巫に何も告げることなく突然、アメリカに渡ってしまいます。
当然、残された御巫は深く傷つき、何かが欠け落ちたようになってしまいます。それでも九鬼を忘れることができず、彼を憎んだまま想い続ける。そして、10年余を経て、帰国した九鬼に誘われ、共に仕事をするようになってからは、御巫はは九鬼に対して心を閉ざし、そんな御巫に九鬼は苛立ち、すぐ側にいるのに限りなく遠い、そんな関係が続いていきます。九鬼に心を閉ざしながらも、身を粉にして九鬼のために万全のサポートをしようとする御巫がホントに痛々しい…。九鬼にとって自分は無価値な存在なのだ、とひたすら自虐思考まっしぐらの御巫が哀れすぎて、かわい先生、これ以上御巫を虐めないで、とか思いながらもついツンデレ御巫に萌えてしまいました(私ってSか?)。
二人の間には、純然たる意識の差があるんですよね。学生の頃、御巫にとって、九鬼は世界の中心だったんだと思います。それに対して、事故直後の九鬼は、心の中に他者を容れる余裕はなく、ある意味「自分しかいない」ような状態だったので、御巫を「捨てた」という意識すらないんですよね。だからこそ、御巫がなぜ自分に対して心を閉ざしているのかが分からない。うう~ひどい鬼畜だ、九鬼…。
ただ事故直後の九鬼の気持ちも考えてみると辛いですね。御巫は、決して同情からではなく、ただただ純粋に九鬼の役に立ちたい、九鬼に尽くしたいという一心で側にいただけなんですけど、プライドが高い九鬼にとって、無力感の中で相手から一方的に与えられるという関係は耐え難いものだったんじゃないかな。過剰な贈与は時に相手の負担になりますよね。だから、九鬼が御巫の方を向くには、少なくとも九鬼が自力で運命を切り開こうとする強い意思を取り戻す必要があったのかもなあとも思います。
御巫にとっては、本当に辛い15年でしたね。彼の中で、この15年というのは、止まった年月だったんではないでしょうか。御巫の仮面が剥がれ落ちて、泣きじゃくりながら、九鬼に向かってずっと抱えていた複雑な感情を吐露する場面はこっちも泣けてきました。
「あなたなど…憎んで…憎んで」
ずっと憎みながらも恋慕を捨て去ることが出来なくて、だからどんなに辛くても側にいることをやめられなかった…。切なすぎます…。長い時をかけて求めていたものを手に入れた御巫には本当に幸せになって欲しいです。
全体として御巫の九鬼に対する執着が丁寧に描かれていて読み応えがありました。ここまで思われていると知ったら、そりゃ九鬼も感嘆するしかないですね。
ただ、九鬼の気持ちがいまいち見えにくい部分もあって…。九鬼が御巫に対し「愛おしさ」を感じるのが唐突すぎるんですよ。なぜあの場面で?という観が否めないというか。直前まで征服したいという欲求しかなかったはずなんだけど。九鬼の御巫に対する感情は、征服欲とリンクしていて、「愛おしさ」というのも実のところ意のままにならない御巫を征服し、仮面の奥にあるものを引きずり出したという達成感のようなものにすぎなかったのではないか?そんな一抹の不安が残りました。今まで苦しめた分まで御巫を大事にしてくれるといいんですけどね。
ラブラブの場面の割合が少なかったので、その後の二人のラブラブな姿を番外編で描いて欲しいなあ。
↑っていうのがまず最初の感想。
やり手の傲慢社長・九鬼×公私をビジネスライクに補佐する秘書の巫御。しかし大学時代は元先輩後輩同士で、身体の関係もあったよう。
そんな二人の、およそ15年かかった遠回りな恋です。
中立ですが単体評価はもう少し高いです。
決して面白くなかった訳ではないんですが、著作内ではという意味を込めての評価。
最初の短編でいきなり、どうやら確執があった二人に和解(両思い)が成立。完結してますが、急展開すぎてちょっともやもやが残ります。
それで、それで?と続編『報復モラトリアム』を読み進めると、二人の馴初めの大学時代と、その後の再会後の様子を錯綜させ、1話目を掘り下げた内容に、残っていたもやもやが解消。
痛い大学時代話には、ぐっとくるものがありました。
しかし既に1話目(両思い)というゴールがあり、そこに向かってのみ話は進んでいます。
内容的にもあくまでも補完するだけに留まっており、未知の展開を読む愉しさ・それからどうなるの?というワクワク感や引き込まれ感がなく、残念ながらあまり満足が得られませんでした。
できれば恋人同士になった後の歩み寄りの様子と、大学時代を比較させるとか、あるいは意地を張り続けた2年半の双方の心情にぐぐっと迫ってあるとかだと嬉しかったかな。
あとはやっぱり、忘れたくても忘れられず、時には憎んでしまったほどの巫御の苦しい恋心を、ちゃんと浄化してくれるようなエピソードが欲しかったなあ…。
ビター目な2作をフォローするように、ラストに甘めのショートが収録されているんですが、傲慢社長・九鬼がいきなりラブモード!
いきなりすぎて逆に違和感が先立ちました。
前2作内ではそこまで九鬼の熱度が上がってるようにみえなかったんですが…分かりずらいよ~俺様め。
九鬼さん、大学当時は精神的余裕がなかったから仕方がないにしても、再会後、巫御への詫びどころか酷い事をしたっていう自覚も、感謝の気持ちもあんまりなかったのがね、個人的にどうしても気になってしまいました。
ということで、最後まで九鬼は薄情な男だなーという印象。
過去も現在も、社会的にも恋愛的にも九鬼が優位っていう構図にも、パワーバランスが偏っているのが気になり、萌えに繋がりませんでした。残念。
でも、なんちゃってにしていないエリート像や、しっとりとした情感豊かな筆致は健在で、さすがかわいさん!といった作品でした。
九鬼(くき)と御巫(みかなぎ)って
登場人物の名前がなんかめちゃくちゃ変わってると
その本の内容は“色モノ”なのかな?と、思うんだけど・・・
リーマン陵辱モノではあるけど“色モノ”というほど
ぶっとんではなかったですね。
けっこう心理描写においては共感できるようなリアルさもあり
読み応えのある作品でした。
いきなりエロシーンで突入するお話。
このエロシーンの意味を少しずつ紐解いていくんですよ。
暴君社長×従順な秘書は
大学時代の先輩後輩という間柄。
絵に描いたような傲慢でドSな攻めと
銀縁メガネにストイックでドMな受けv
再会してからは2年半も、お互いに焦らしプレイというw
どんだけおまえら我慢強いんだよという感じ。
攻めは酷い奴極まりないけどwww
受けがドMだから仕方ないよね★
当て馬や邪魔者はまったく登場しないのに
こんなにこじれるってふたりとも相当だよねwww
このまま終わったらつまらんなって思ったけど
オマケがすげぇ甘くてw
こいつデレやがったーーーっvと、ちょっとギャップ萌えしました。
最後に攻めが好きになったw
挿絵は今市子さんだからまたなんというか静かなエロスv
正直絡んでいる挿絵より
目も合わさないでテレビを見ている攻めの横で
淡々と朝食の支度をしている受けに萌えました。
ぱりっとびしっと整然とした感じでネクタイ姿v好きです。
かわい有美子さんの作品は
これまではドラマCDでしか知らなかったのですが
先日、こちらで「空色スピカ」のレビューを読んでとても興味が湧いて
その際に薦めていただいた作品のうち、この作品が先に手に入ったので
かわい作品デビューの1冊となったんですが。。。
いきなりエロエロなんですけど!
もちろん、薦めていただいた際にも「エロい」とは聞いてたんですが
1ページ目からいきなりエロいとは聞いてなくてびっくりw
しかし、そんなことにめげずに(笑)読み進めていくと
それぞれのお話の構成の巧みさにどんどん惹き込まれていきました。
「ドラスティック・メタモルフォーゼ」がプロローグ的な位置付けなんでしょうが
これを読む限り、なぜこの二人がここまでお互いの事を牽制してたのか
そして、そんな二人がなぜここまで激しい感情で欲望を貪り合うまでになったのか
表面的な事しかわからずに、何かすっきりしないままなんですよね。
その謎解きが「報復のモラトリアム」で明らかになっていくのですが
このお話の構成が秀逸なんです。
大学のバスケット部で将来を嘱望された優秀なプレイヤー・九鬼(くき)と
そのプレイに魅せられてマネージャーとして入部した御巫(みかなぎ)。
そんな彼らの大学時代と
九鬼が興した会社に御巫が引き抜かれ再会した頃の話が
交互に配置され
しかも、視点も九鬼視点だったり、御巫視点だったりするので
読者の方は、まるでバラバラのパズルを組み立てるようにして読み進む事になり
それが、この二人のすれ違いや歪んだ感情をうまく表していて
とても効果的なんです。
そして、この二人が長い間
そんなやりきれない感情を押し殺していたからこそ
そしてお互いの気持ちを確かめ合ったあとには
あんなに激しい欲望のぶつけ合いのようなプロローグの場面になったんだな、と
すごく納得するわけです。
「街に天使が降りる夜」は
「報復のモラトリアム」でイライラさせられた読者へのご褒美的な甘々なお話でした。
しかしながら、未だにピンと来ないのがこのタイトル。。。
この「進行性恋愛依存症」にかかっているのはどちらなのか?
ずっと九鬼に憧れ以上の感情を抱いていた御巫がそうなのか
意識しないまま、御巫の事を必要としていた九鬼がそうなのか。。。
両方がそうなのだ、と思うほうが一番近い気はしますが。。。
かわいさんの他の作品をよく知らないのでなんとも言えませんが
私が今まで読んだ作家さんの作品とは一味違ってて
新鮮な気持ちで読めましたし
他の作品もぜひ読んでみたい、と思いました。
のっけからのあまりの展開に、思わず作者さんを確認。
エロ率50%アップ
びしょぬれ特集、顔●あり
つかみはバッチリで、あれよあれよと、ビックリしているうちに、第1話の「ドラスティック・メタモルフォーゼ」は終了。
2話「報復モラトリアム」で、二人の関係が、何でこんな事になったのかが明らかに。
この2話以降でようやく、「かわいさんって、この位の濃さよね」って安心して読める。
作者さん曰く「Wツンデレが意地を張り合うお話」
エロくって、切なくって。甘甘
色々楽しめて、お徳用ではあった
「狂え、俺に焦がれた歳月の分」
↑こ、このセリフ…。
ゾクッとしました。
リアルで言われたら吹き出しますが、やっぱ小説はいいねぇ。はい、狂わせてもらいます!と受けの変わりに返事しておきました。
このセリフが似合いすぎてしまうのが、主人公の九鬼(攻)です。
ツンデレコンビです。
といっても攻めの場合はデレながらも俺様。メロメロとかヘタレるとかじゃないです。彼にそういうデレは要らないと思った。「ゆっくり溶けて堕ちてこい…」という臭いモノローグが似合う俺様のままでいてください、と思いました。
主人公は若き社長です。受けはその秘書です。この二人は学生時代から因縁のある関係なのだ。
攻めと受け、視点が変わりつつ、現在と過去を行き来しつつ、十数年に渡る二人の関係が浮き彫りになっていくという構成。
面白かったです。
エロシーンも萌えた。まさか大キライな顔射に萌える日がくるなんて…。
かわい氏のお話にしてはエロが濃い目ですが、全く不満が無かったので神評価にしました。
びしょぬれ特集用の短編のお話【ドラスティック・メタモルフォーゼ】から始まったようですが、十分説得力のある関係で、満足しました。(御巫のように献身的な人って、ファンタジーな気もしますが、そこはねぇ、BLですから)
【報復モラトリアム】から読んだほうが、時間軸的にはわかりやすいですが、やっぱり順番どおりに読むほうがインパクトが強いと思います。
かわい氏曰く、ツンデレ二人のお話になっちゃったそうですが、こういう関係も「ツン」扱いでいいんでしょうかね?
御巫(受)は、大学の頃から九鬼に恋しているわけで、恨みとともにずーっと引きずっている恋の相手に一矢報いたいというか、気づかせたいというか、ツンツンしてしまうのはわかるのですが、九鬼(攻)のほうは、それなりに気になっていたものの、どちらかといえばすっかり忘れていた関係なので、切れ者のクセに自分の恋には鈍感なだけで、ツンには見えない。
そもそも、何も言わずに渡米しちゃったりして、お前はツンじゃなくて鬼畜だ!その後だって、ヘッドハンティングさせたんだったら、早く側へ置いてやんなさいよ!です。いやー、御巫くん、よく2年以上も我慢しました。堪忍袋の緒が切れると、こうなるんですね。沢海さん(ヘッドハンティングのスペシャリスト)はきっと、全てを察知していてお膳立てをしてくれたと思いますよ。
今回も、働く男のかっこよさ満載な上(特に、九鬼よりも御巫の仕事には頭が下がります)、華々しい大学バスケと、事故の後遺症による挫折と、色々なシチュエーションから二人の関係をうかがうことができて、キュンキュン度も高く、本当に楽しかったです。
社長にコップで水を頭からかけられたびしょ濡れ美人秘書が、
夜の社長室で社長にご奉仕中から始まった小説。
初っ端からこれか?!
いったいこの二人はどういう関係なの?!
と、掴みはOKというか。
いきなり濃厚な作品の世界に引き込まれてしまいました。
やり手の実業家・九鬼を秘書として公私ともにサポートする御巫。
二人がどうして深夜の社長室で淫らな行為に耽るに至ったか、
大学時代に何があったのかという事はその後、描かれて行くのですが。
大学時代、憧れの先輩・九鬼に尽くしまくった御巫。
怪我が原因で御巫に対して、暴君と化した九鬼。
九鬼の苛立ちも痛いほど判るし。
御巫の献身っぷりも痛々しくて切ないし。
二人で一緒にいるだけでストレスがたまり、
精神的に疲弊していくピリピリとした緊張感が痛かったです……
でもその痛さに、なぜか萌えるのです。
初めにエロエロ、次に精神的痛さ、
最後にあまあまを楽しめた充実した作品でした。