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夏の海を舞台にした、透明でせいひつな空気感のある作品でした。
ラストが好きでした。てゆか、予想を180度裏切られるラストに、「えっ!」となりました。
本を閉じてしばらく考えて、それから奇妙な切なさがジワジワと胸の奥からわいてきました。
この読後感は初体験です。心地よいような、心地悪いような、どっちつかずの。
主人公は不思議な青年です。海のそばで育ち、学校にも行かず、別荘を管理する義理の両親とともに、狭い世界で生きている。
夏になるとその別荘には、別荘の持ち主の息子がやってくる。毎年毎年、主人公は彼の訪れを楽しみにしていた。
しかしその夏、その息子は、弟をともなってやってきた。
おだやかな兄とは違い、皮肉で強引で屈折した弟に、主人公は惹かれていく――。
三角関係なんですが、本当に奇妙な感じ。
屈折してる弟よりさらに屈折してたのは兄だったんだな…。
神谷さんの「深呼吸」がむっちゃ神作品だったので勢いで一気に神谷作品をまとめ買いしました。
正直あまりピンと来るのがなかなか無くてうーんこの作家さんとは相性良くないのかなーと思いかけてた時にこの作品に当たり、やったぜ!万歳な気分になりました。
海辺に近い別荘管理人の息子千夜[受]は管理人夫妻の実子ではなく17歳の千夜は9歳の頃からそこで暮らしているのですがそれ以前の記憶は無くどこで生まれたのか実の両親は誰なのか全て不明です。
その別荘の持ち主沢野辺家の長男航一は毎年避暑に別荘へと訪れているのですが突然に、今まで他で育てられていた次男諒二がそこに加わり、優しい航一、不遜でぶっきらぼうな諒二、千夜の微妙な関係が始まるのです。
千夜には色々謎がありそうなのですがそれに関しての説明は一切無く、最後まで分からないまま終わります。
普通ならモヤモヤするところなのですが、この作品は何故かそれが無くむしろそういうものなのだという気にさえなるから不思議。
沢野辺家の兄弟はそれぞれ魅力的で、兄弟の関係にも意外な過去があったりと読ませます。
古い作品な事もあって挿絵が微妙ですがこの時代だとこんなもんかな。