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作家さんの新作発表
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たけうちりうとさんのボディガードシリーズ2冊目。
新装版が出ていますが、こちらは旧版です。
1巻のラストで結ばれ、同僚であり恋人となったジュンとグレイ。出会いの印象は最悪だったのに、あれからずいぶん仲よくなったんだなと驚くくらいラブラブしています。愛し愛されって感じです。
正直言うと、すごく好みのカップルというわけではなく、設定上どうしても避けて通れない暴力シーンや命の危険にさらされるシーンも苦手なんですが、それでも続きを読みたくなるのは作者さんの現時点までに読んだ本の中で一番、登場人物のやりとりが面白いからです。
今回はボディガードとして富豪だけど変わり者のチャールズを護衛するため、ビーチから雪山までの大移動。ホント、ボディガードって割に合わない仕事だなぁ。
ですが今回糖度がものすごく低くて、ジュンの単独警護だし、グレイの出番も少ないしで、途中まで私は普通の小説を読んでるんじゃないか…という気分でした。これが児童文学かラノベを読んでいるなら楽しめたと思うんですが、BLを読んでるからにはもう少しなんとかして欲しかった。
お話は面白いです。ハラハラもします。けど物足りない。お仕事9割って感じでした。
ちょっと台本のようなこなれた台詞が並ぶので、フラットな文章を好まれるかたには合わないかもしれませんが、私はこの文章が読みたくてこの作者さんの本を手にとってしまいます。
しかしこのお話は死と隣り合わせで、神経が擦り減る思いをしますね。
1話から思ってたけど、主人公のジュンが割と何でも器用にこなすキャラでして、とっさの判断もできて機転も利き頭もよく、可愛くて愛想がよくて周りの人々からも動物からも愛され、加えて優しくて博愛主義、勇気も度胸もある…という、ちょっと主人公として面白みがないー!って思います。
いえ、ある意味とても主人公らしいのですが。
もともと設定が、テロから人の命を守るという失敗の許されないお仕事がテーマなだけに、完璧に近い人間ばかりが出てきて親近感がわかないというか何と言うか。
この作者さんの文章はユーモアがあり皮肉も冗談も強いけどこのお話はその文章力の高さが少し裏目に出てるかもしれません。
主人公たちがちょっと役者のような感じに見えるというか。
それでもやっぱりこの人の言葉はいいなぁと思う台詞が何度もあります。
この警護が終わって、帰ったらローストビーフを2人で食べようと約束するのですが、後半でグレイがジュンを助けるため自分が犠牲になろうとします。危険にさらされた時に、グレイがジュンに「ローストビーフは冷蔵庫の中だから」って言い残すのですが、このどんな時でもグレイなグレイがかっこよくそして腹立だしい。
1巻でもグレイは死にかけてジュンだけを逃がそうとしましたが、読んでいる方はジュンの苦しみに同調します。またこんな思いをしたくないと言うジュンにこっちも全くだ!と思います。
どちらか一方しか助からないような場面はこの仕事を続ける限りはついて回るとグレイはいいますが、私もジュン同様、こんなシーンはもう勘弁です^^;
出来上がったカップルの話なので、当て馬が出てきます。
これが、まだ個性的な大金持ちの実業家で、いい味出してます。
休暇で滞在していたギリシャからイギリスに戻って、朝のコーヒーを飲みに行くシーンの会話が絶妙です。
さらにラスト、雪山でのトラブルでは、脇キャラの登山家もいい味を出してます。
わたしは一冊目より、こっちのほうが好きです。