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十六歳の瑞希は、突然父を亡くした。
母は随分前に亡くなっていたため、遂に肉親は瑞希だけになってしまったのだ。
そんな瑞希に父が残してくれたのは、人間の快楽に奉仕するための人工生命体である二体のセクサロイド。
ところが、そのうちの「重要な欠陥がある」とされるほうの一体が、別の男の下に出荷されていることが判明する。
父の形見であるそのセクサロイドを、何とか無傷で回収したいと考えた瑞希は、違法な手段で手に入れたのであろうその男との引き取り交渉に向かうけれど、男が望んだのは、瑞希がそのセクサロイドの代わりに男に対して奉仕すること――
無理やり犯されそうになり、暴れてしまった瑞希は「そんなのでは話にならない」と追い返されてしまう。
それでも諦めきれない瑞希は、残る一体に「僕にセックスの仕方を教えてほしい」と頼む。
残る一体、ネイルはセクサロイドなだけあり、十分なテクニックで瑞希に快感を教えるけれど、次第に身体だけではなく、心まで翻弄され始めて――
という話でした。
ちょっと近未来SFチックな話でした。
瑞希の父は、人工生命体を開発する技術においては第一人者で、その技術をますます進化させるために、現在の会社に勤めるものの。
人工生命体が一番お金になる使い方が「セクサロイド」という使い方で、そのために瑞希の父はセクサロイドの開発に携わっていた。
そしてまた、瑞希自身も人口生命体の研究者であったけれど、幼い日の出来事から、その研究を止めてしまい、今は普通の学生として生活している。
そんな瑞希が、失われたもう一体を救い出すために、自身をセクサロイドにするための訓練を受ける――というのがこの物語――だったんですが。
なんというか、あまり瑞希が賢いような気がしない――というのが率直な意見です。
だって、「身体を差し出せ」って言われて、「はい、そうですか」っていう人間は、どう考えても賢いとは言えないような気がします。
それだけ瑞希が世間知らずで純粋ってことなのかもしれないですけど、そこまで自分の貞操に関する概念が薄いのは少々いかがなものか、と頭を抱えたくなってしまいます。
物語のメインは、訓練を施されている間に、もう一体のセクサロイド・ネイルに心を奪われていくくだりなんですが。
実はセクサロイドにはいろいろマイナス点もあって、感情が暴走しないようにされている、だとかSFよりの設定もあるので、そういう設定的な物足りなさはあまりなかったです。
むしろ、それだけの設定が、これだけの話で終わっちゃうのはちょっともったいない気がしました。
後、瑞希のお父様が人工生命体の開発にのめりこんだわけ、とかがベタなものでもいいから少し盛り込んであったら、もう少しよかったのかもしれないな、と思いました。