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シリーズ三作目にして最終巻、もしくは第一部終わりって感じです。
ニオイ系作品です。
いやー、きっちりと一人の少年の成長を描ききった榎田尤利さんに感服です。なんで榎田さんはこんなに器用なんでしょーか。
吸血鬼アリトスとの吸い吸われの捕食関係に苛立つ主人公。『利用する者される者』じゃなく、利害関係なしで向き合うきちんとした関係になりたいと思ってるんですよね。
中学時代、いじめられっこだった彼は、いい友人を得て強くなる。脇役の友人たちも、優しいだけじゃなくて、拗ねたり暴走したりと、なかなかいいキャラなのだ。
ラスボスは中学時代のいじめっこの主犯だった人です。彼が狼男に覚醒してたから大変なことになる。
吸血鬼に狼男ときて、フランケンシュタインが出てきたら怪物くんだ。残念ながら出てこなかったけどw
最後ちょっとだけ涙出そうになった。
高校教師として優人の側にいる超絶美形の裏戸幸也の正体はヴァムピールだ。
彼は優人の娘を自分の伴侶とするために、その父親(になるはずの)優人を守護している。
この超非科学的な状態も、慣れればそれなりに居心地の良いものになっていたのだが。
優人に襲いかかる新たなる災厄。
そして大怪我を負ってしまったアリストの運命は……
前回までに優人の過去のイジメの問題は解決していたんだと思っていたらいきなり黒幕登場で、さらにそいつは人間ではなかったのです。その正体は吸血鬼とは別の魔物であるヴコドラグ。
若干の都合のよさを感じながらもさらりと読めました。
ただねー個人的にどうしても譲れない部分があって。
以下ネタバレです。
大怪我を負って眠りについてしまったアリストですが……
目覚めるのはいつになるかわからないといいながら実際に戻ってきたのはなんと一年後。
ちょ!!いくらなんでも早くないですか?!
個人的には優人の娘が生まれたくらいに帰ってきてくれた方がよかったと思います。
それこそ、ほんと後日談くらいの扱いで。
なんだろう。人気があったらシリーズ続けるかも……的な大人の事情だったんだろうかといらんことを考えてしまいそうです。
アリストと優人には是非とも「娘さん(まだ3歳とか4歳とかが望ましい)を僕にください」的なやりとりをして欲しかったんですが。
本編の後に収録されている理利ちゃんの話は普通にいい話でした。