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raccoon na boku
外国ものや派手なハリウッド的物語を得意とし、
ボーイズよりもメンズラブをこよなく愛する
松岡なつきさんの「ほのぼの学園もの」です。
当時この本を手に取った時は、
「どうしちゃったの?松岡さん?」と思いました(笑)
主人公は「不潔恐怖症」の高校生・薫。
彼は他人に触られると吐き気を催し(酷いときは気絶)、
他人が作ったものは口に出来ない(給食・外食も無理)という潔癖症。
そんな日常生活で支障が出まくる薫をサポートしてくれるのが、同級生の達彦。
薫の病気には根深い心の問題があり、両親との関係が大きく影を落としています。
明るめの文体で書かれているので、雰囲気もポップなのですが。
薫と両親の関係(特に母親)はかなり深刻。
薫のトラウマを探り、彼の学園生活を支え、
出来たら病気を治してやりたいと献身的に尽くす達彦の姿は健気。
そしてそんな達彦に心を開いていく薫。
初心な二人が徐々に距離を詰めていき、
いつしか恋に……となりたいところですが。
二人の前には『不潔恐怖症』という障害が!
手と手を重ねただけで、薫は吐き気を催すのです。
二人の未来は前途多難。
しかし「不潔恐怖症」を克服していこうと、
二人で努力する姿が前向きで、とても可愛いのです!
ちなみにこれはシリーズ第1弾。
薫と達彦の物語は『星の森をくぐって』『凍えたハート』へ続きます。
『FLESH&BLOOD』(だけではないですが)で大変に有名な松岡なつきさんの初期作。
申し訳ありませんが、私は松岡さんは初期からかなりの数読みましたが、ほぼ合いません。まったくダメではないですが。
こちらはレーベルがパレット文庫ということもあってか、なんともH度の低い学園ものです。正直『松岡さんが学園もの(しかもほのぼのトーン)』を書かれていたということ自体驚きでした。
なんというか、初期でも『これBLか!?』というくらい、ある意味過激な作品もある作家さんですので。
薫(受)が『ラクーン病(不潔恐怖症・強迫神経症)』で、それに関して何かと重い・暗いトラウマを背負っています。その点では決して単なる『ほのぼの』なだけではないんですが、一人称(攻受両支店交互)語り口調の文体からも、悲壮感はさほど感じません。よく考えれば、薫はかなり悲惨な境遇なんですが。
でも、両親の仕事の都合で仙台で祖母と暮らしていたときは幼馴染みの 宏輔、祖母が亡くなり、東京で両親と暮らすようになって転校した先では達彦(攻)とその仲間たち、とまわりには恵まれていたので、それが救いになっています。
3部作の1作目ということで、ストーリーとしては達彦と薫の気持ちが近づいて、でも薫のラクーン病のせいで身体接触はなかなかできなくて・・・とまだまだこれからというところで終わっています。
『星の森をくぐって』に続きます。