kirara
remains
あとがきで作家さんも言われていますが、題材(『阪神・淡路大震災』を山場エピソードとして使っている)からして商業ではまず無理でしょう。でも、個人的にそれはたいしたポイントではないんです。←この作品の評価に際しては、という意味です。うえださんも関西で、この震災も体験されたようですが、私も同じです。
高校時代の同級生で、家も近くだんだん仲良くなって、あるとき『一線(お互いに手で、というだけ。まあ一線には違いないか・・・)』を越えてしまい、それ以来疎遠になって、高校卒業後は一度も会っていない2人。一貫して湊(受)視点で、26歳の現在と高校時代が交互に語られます。
湊にとって、尊(攻)はもう完全に想い出になっています。会社の同期で、恋愛未満の危うい関係だった女性と飲んだ後はじめてキスをして、明日からは恋人同士になるんだ、という夜、帰宅したその翌早朝に大地震が。自宅が倒壊し、母と2人瓦礫に阻まれて身動きができない中、頭に浮かんだのは尊だった・・・
そして、どうにもならない状況に、尊が助けに来るんです。湊の回想以外で尊が出てくるのは、ラスト数ページ。ずっと会ってなかったのが『死』が見えた途端に~とかの、いわばご都合主義は別にいいんです。ただ、これ助けられたところで唐突にエンドなんですよ。『ここで終わるの!?』と呆然。
いや、これは絶対商業では無理です、地震関係なくても。このあとどうなるのか、考えることが多過ぎてどうしようかと思います。
これが、うえださんの同人誌第一弾の中のひとつ(同時に出した他は商業番外編)になります。この当時、商業ですでに活躍されている作家さんに申し訳ないですが、『同人誌作りに慣れてないから?』とか考えてしまうくらい中途半端で参りました。そもそもほとんど攻が登場しないって・・・これはラブストーリーになってるんだろうか?
なんというか、使いたいキーワードをちりばめて、とりあえずストーリー作ってみました、って感じです。まるで『習作』の、それも一部を見せられているかのようでした。読み終わって、『・・・これはどうすりゃいいんだろう』と思ってしまいました。
文章も、少し抑え目(暗め?)のトーンも、それ自体は結構いいとは思うんですけどね。