kirara
『約束』本編終了4年後。
大学を卒業し、設計事務所に就職して3年目・25歳になったばかりの拓己(受)。一級建築士試験を目指して勉強する拓己を中心に、同居する恋人で、亡くなった姉の夫であった敦広(攻)との関係を描いています。
初めて会ったのは拓己が中学生のとき、その後敦広と姉が結婚し、姉が事故で亡くなった後もずっと2人は『義兄弟』として暮らして来たので、どうしても『保護者と被保護者』だった事実があります。でも今は、敦広は拓己を保護者や兄としてではない目で見てくれていると思っていたのに、なんでも拓巳に任せず『気にするな』と自分でやろうとする敦広に、そうではなかったのか?実はまだそこから抜け出せていないのでは・・・?との不安が消えない拓己。
拓己の試験直前に体調を崩しても『俺のことはいい』という敦広に、微妙に食い違う気持ちを抱えた拓海が怒りを露わにしてしまうんです。『そんなに頼りないのか!?』『(1人じゃ心細いからではなくて)敦広が好きだから一緒にいたい』
結局、拓己に連れられて病院に行った敦広は、急性虫垂炎で入院・手術になったんですけどね。
その中でいろいろ考えた、という敦広の出した答えは2人の関係に『けじめをつける』ことでした。敦広から拓己への『プロポーズ』で、まあいわば『ハッピーエンディング』を迎えたわけですね。
ところで、あとがきで作家さんが言われていましたが、『プロットを出した段階で、編集サイドからちょっと・・・と言われたにもかかわらず無理を通した』のが、こちらの本編になる『約束』と、もうひとつ『夏の贖罪』だそうです。私は、うえださんの初期作ではこの2つ(と他にもうひとつありますが)が突出して好きですね。まあ、これらが(特に当時は)万人受けしそうにないのはさすがによくわかってます。いやホント、頑張って書いて(出して)くれてありがとうございます、とひれ伏したいよ。