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tenshi no iru tou
中学2年に進級した拓海は、小学校以来ずっとはなすことさえしなかった幼馴染みの瑞帆と同じクラスになる。
拓海は勇気を持って瑞帆に話しかけるも、瑞帆は素っ気無い返事。
その後、休み時間にやっていたバスケットボールでが行方不明になって、学園にある塔の下まで探しに行くと、瑞帆が立っていた。
「ようやく来た」
と言った瑞帆に、拓海はようやく保育園の時に瑞帆とこの塔で天使を見、その時に中学になったら「塔に行こう」と約束したことを思い出す。
それ以来、瑞帆と拓海は以前の仲のよさを取り戻すけれども、「塔から奇妙な音がする」という話を聞いて、「塔に天使が住んでいる」という噂の真相を突き止めるために、塔へと忍び込むが……
という話でした。
なんというか、これまた大分古い小説だったのですが、昔の小説って読んだら読んだで感慨深いものがあるなあ……というのが一番最初に感じたところでした。
今と一番違うなあ……と思ったのは。
「俺はホモじゃない」
って葛藤しているシーンがものすごく長かったなあ……ってことです。
今は理解が進んだのかBLというジャンルが当たり前になったのか、そんなことでそんなに葛藤することもなかったし、そういうことで自分を「汚い」なんて言わなくなったし(現実はともかくBLの世界では)、それを思えば世の中って変わってるんだなあ……ってなんだかしみじみしてしまいました。
そんな訳で、塔の中で行われていることの真相に近付いていく二人は、とある出来事に巻き込まれる……。
そして、塔の上の天使の真相に辿り着く。
結局のところ、拓海は幼すぎて、自分の気持ちがナンなのかわかってなくて……。
先に大人になってしまった瑞帆は、拓海に抱く気持ちを「汚い」と言っていたけど、もっと汚い圧倒的な欲望の前に、「そんなことないんだよ」と知った二人は仲直りをしてハッピーエンド。
まだまだショタと言えるような年齢の二人だけど、一生懸命悩んで一生懸命出した答えなので、頑張って欲しいなあ……とぼんやり思ってみたり。
何にせよ、今となってはこの年代の二人を書くのも難しいような時代背景になっていると思うので、懐かしさを堪能させていただけたので、この評価です。
中身としては、言い方は悪いけど、何てことはない「初期のBL」なので、余り深みもないし、エンタメ性の方が高いかなあ……って思うんですが、それも含めていいのかな、と。