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王道BL小説じゃあり得ない展開に、のけぞりました。
かなり切ないお話です。けど、読後感は爽やか。
爽やかなのに、後引く切なさ。淡々と。うん、淡々と切ない。
なぜか方丈記の冒頭が浮かびました。『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ泡沫はかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし』みたいな。
金丸マキさんは、私にとったらアタリハズレが大きい作家さんという位置づけなんですが、たまにこういう超良作にぶち当たるので、ヤメラレナイ。
オトナの話です。
本気で恋して、破れて、でもまた本気で恋して、また破れて、自暴自棄になって、でもまた出会いはあって。
どの恋が一番とか本物とかいうわけじゃなく、それぞれに精一杯で。
心がわりは不実ではなく、一生懸命に愛した結果だったりして。
私好みのお話でした。
あんまりいい評価をできないのと、ネタバレしてます。
ご注意ください。
この本には二つの話が入ってて。
どちらも「順」の話でした。
1つめの話が、「あらすじ」に書いてある話。
恋人が出ていったアトリエで一人、絵を描く順に、ケガを手当てしてもらってから、郁生が徐々に順に惹かれて行く話。
真っ直ぐで、ピュアな恋心をぶつけてくる郁生と。
自分の通って来た道を思い出して、なかなかこの恋に踏み込めない郁生の話……でした。
で、まぁ、それは良かったんですが。
もう一つの話が、藤村千理という学生が、画家の真壁順の元に家政婦のアルバイトに行く話……でした。
正直、2つ目の話が始まったときは、どういうことだったのか、理解できませんでした。
あれ? 1つ目の話ってハッピーエンドじゃなかったっけ? とか。
これは、同じ名前の主人公のパロディ?(平行世界とかそういう感覚での)
とか、いろいろ考えたんですが……。
結局のところ、郁生が亡くなってしまっていて、順は再び独りぼっちになって……のその後の話であったことがわかりました。
それで、結局のところ、こっちの話もハッピーエンドだったんですが……。
なんだか、ものすごく「うー」って言いたくなる様な話でした。
確かに、確かに。
人の命が無限である、とは思っていないし。
長い人生のうちに、こういうことはあるかもしれないし。
亡くなってしまった恋人をいつまでも思い続けることが美学だとは、これっぽっちも思ってないのだけれど!
おまけに、郁生がなろうとしていたのは、バイクのレーサーなのだから、短命で終わりがちであるってことも、重々承知の上で、敢えて言います。
何も、殺さなくてもいいと思うんだ……。
やっぱり、ハッピーエンドで終わった物語の後日談は、「幸せな二人」の物語であってほしいと思うんですよね。
現実はそんなに甘くないってのも、わかってるんだけどさー……。
その後に、例え、順が幸せになれたとはいえ、これでは哀しすぎる……。
最初から悲恋なら、それはそれでいいんだと思うんですが。
一回幸せにしておいて、それを後で裏切るって言うのは、ちょっと辛かったなー……。