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電子書籍版を購入。
「鋼鉄都市破壊指令」「もっと。壊れるくらい。」「暴虐ノ夜」「夜には凍る道」が収録された短編集です。
挿絵なし、あとがきなし。
この作家様の作品は、『造花の解体』を途中でリタイアしてしまい、もう、2度と手に取ることはない
と思っていました。
(痛い作品にかなり耐性があるはずだったのですが、世界観にどうしてもついていけなかった……)
何となくこの作品が目にとまり、恐る恐るチャレンジすることに。
神評価です。
関連のない独立した4つのお話です。
全て良かったですが、「暴虐ノ夜」が一番印象に残ったかな。
いや、「鋼鉄~」も、「凍る道~」も「もっと~」も捨てがたい。
(って、全部ですね)
文章もストーリーも読みやすく、短編なのですぐに読み終わります。
とはいっても、破壊力はかなりのもので、気持ち的には、かなり後をひきますが。
BL的な萌えとは、対極。
読む人、状態をかなり、選びそうです。
キーワードは、狂気と倒錯、錯乱、閉塞感。
この作家様の作品は、独特ですね。
癖があって、なかなか口の中に入れることはできない。
でも、1度口にして味わってしまうと病み付きになる。
まるで、ドリアンのような感じ。
結局、この作品ですっかり虜になってしまった私は、『造花の解体』も再読し、電子化された作品は全て読んでしまいました。
私のような1度投げ出してしまった人が、再チャレンジするにはちょうど良い作品だと思います。
4短編、どの作品の主人公も詰まらない生活を送っています。
それぞれが、周りから自ずから発生した因果の中、もがいている途中です。
『鋼鉄都市破壊指令』
退廃した雰囲気が昔っぽいです。70年代か?。
工場群の傍の団地に住む主人公が、自分のスペルマを、トラウマや鬱屈した日常を溶かす強酸と想像するくだり、好きでした。
自分も同じ想像したこと、アリマス^^;
『もっと、壊れるくらい』
通勤電車のお楽しみ。
電車じゃないけど、渋谷に似たシチュポイントが有ったんですよ~!(( =>▽<=))
誰かが通報する前に性癖が合う2人が巡り合えて良かったね~♪
でも、被虐とサドのこの先、突き詰めていく気配がどうも不安を駆り立てます。
溺れられた風で溺れていっているの、自分じゃ解らないもんだし。
『暴虐の夜』
小説と言うより、裁判での供述調書を読んでいるようでした。
なので、萌えを求めたBLでは無いですよね。
ストーカーの凌辱を赦し喜ぶ受け様に変わっていくラストは『もっと、壊れるくらい』と同様に、ただ、刹那の倒錯を愉しんで下さい・・・としか言えないです。
『夜には凍る道』
このタイトル、雰囲気があってもの凄く好きなんです。
小説は4作品の中では、主人公のこれから先にまだ細い光が見えてました。
自分の後悔と負うべき責任に、淀んで固まって窮屈な日常を打開する術は?
ちょっとの「勇気」ですよね?
普通なら、義姉の妹への執着をもっと深く突っ込んで描いてあって、主人公が目撃して、みたいな展開になって・・・でもそうじゃないのが西条先生なんでしょうね。
どれも短編だからか話として「起承転結」は見えるけど薄いし、すっきりエンドが1本もないのです。
ここまでは教えるけど、こっから先は読者で好きにしてって感じなんですよ。
でも、どれも読み易い文体だからつらつら読んじゃう。
どこが面白い?と聞かれたら、なんとも(言えないけど)面白かった・・っていうのが適当かな~。
「萌え」が読みたい方(自分もそうです)向きじゃないですが。
ある日の帰宅途中、いつもより遅い時間の電車に乗りながらふと窓の外を見ると、電車に向かって股を広げオナニーをする全裸の男が・・・!
下手したらコメディかと思えそうなトンチキ場面ですがノリはいつもの西条さんでした。この場面を読んだ時の私の衝撃と高揚はいつもの比ではありませんでしたが。しかもその受け、バイブ三本入れなきゃ感じないってんだから恐ろしい。受けが受けなら攻めも攻め。鬼畜プレイ願望のある隠れSで、受けの部屋に押しかけてしょっぱなからフィストファック。それを泣いて喜ぶド変態受け。嫌々ながら(主に受けが)のハードなセックス描写も好きではあるけど、一方的なそれに最近ちょっぴり物足りなさを感じていた私には凄く新鮮だった。私の求めていた鬼畜がここにある!とさえ思うほどに。あまりに面白くて、読み終わった時自分でもびっくりするくらいがっかりした。出来るならもっと読んでいたかった・・・。(「 もっと。壊れるくらい。」)
全四作品収録。ストーカー物の「暴虐ノ夜」も容赦がなくて面白かった。
表題は比較的、他作品に比べまったりとしているが、前半作品が狂気であることで、この本の傾向はおそらく読めてしまうと思う。
どれも”自分を変えていくもの”を持っていて、それは実に恐ろしい黒根っこなのです。
まるで昔見た70年代初頭の実験的アングラ映画を思い出させる作品です。
表題は、たった一度の過ちにより妻に縛り付けられる事になった夫のやりきれない想いを、まるで待ってましたかの様に癒しのはずだった喫茶店のマスターによって絡め取られる姿が、
彼を縛りつける、異常な妻とその姉のまるで近親相姦の百合のような愛情が、
またその姉も、妹の夫を貶めながら執着している様が
複雑な模様を描いて、この主人公でなくても逃げ出したくなる世界です。
マスターの存在は夫にとってシェルターではあるのだろうが、何だかやはり巣を張っていた蜘蛛に見えて仕方がないのは、偏見だろうか?
『鋼鉄都市破壊指令』
トラウマからその身を持て余し、友人に与えている少年。
姉を救えなかった罪の意識に、姉に犯されたいと望む少年のその気持ちの描写が、リアルな風景描写に、やけに現実として迫ってくる。
まるで黒澤映画のあの、モノクロ画面に煙突の煙だけが赤いという、あのトーン・・・
立ちションの代わりにスペルマを飛ばし、少年は生まれ変わる。
『もっと、壊れるくらい』
衝撃的でしたねー!電車がアパートの前を通る時間を見計らい自分の自慰を見せつける淫乱男性と、
それを見てしまった、性的嗜好が受け入れられずにもんもんとしている会社員。
それぞれの欲望を満たす相手を見つけた時!
其れは狂気の性交の時間でした。
どこのポルノ作品かと思うほどの超淫乱受けの、そのすさまじさに、なくてはならないものと実感した時、それは会社員の壊れた時だったと。
セックスで人間辞めますか?な・・・恐ろしい世界で、なまじっかなSMより狂っています。
『暴虐の夜』
衝撃的ストーカーの話は、この前の話の衝撃とはまた別の、「犯罪者」と呼ぶにふさわしいお話でした。
このコンビニでバイトする青年にストーカー、強姦、そして嫌がらせの数々を行う市原のその手口、執着。
自慰行為の痕跡を付けてパリパリになった紙で綴られたラブレター!!
こんなものが出てくる話は初めて見たかもしれません。
人が壊れていく姿というのは、ある種の耽美的美しさがあると思います。
それがどんなに残忍で残酷で、卑猥で、汚くても、彼等が堕ちていく様はまるでスローモーションのコマ送りの画面のようです。
4作収録された短編集、この4作が自分内では評価が見事にバラバラになりました。
神は「もっと。壊れるくらい。」
萌は「夜には凍る道」
萌と中立の半々は「暴虐ノ夜」
趣味じゃないは「鋼鉄都市破壊指令」
西条さんの文体って小さな棘があってザリザリした印象があるんですが、それを面白いと感じるのか、ちょっと青臭いというかややあざといと感じるのかが作品によって全く違っていてそこが評価バラバラに繋がりました。
惜しいと思ったのは「暴虐ノ夜」
レイプストーカー物なんですが、このレイパーがホント怖いんですよ。
狂愛故のレイプなんですが読んでて背筋がぞわっと来る位に怖い~!!
この怖さの描写がじわじわ来る所は素晴らしかったんですが、最後に怖さのあまり頭おかしくなっちゃったのかな?っていう受のあまりに短時間の変化がええ?って感じでちょっと拍子抜け。
ラストが違ってたら神だったかも、その位に怖さは抜群でした。
「もっと~」のSMはフィストやっちゃってるし、全体的に男女描写もあり、露骨な性器名称も出てくるので読み手を選ぶだろうなーとは思います。
自分はその点に付いてはOKなんだけど、始めに書いた様に感じられる部分も個人的にはありました。
ただ神評価も一つあったので萌で。