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男娼館あるいは普通の娼館で受が男娼というのはBLではよくありますが、こちらは実里(受)が男娼館の主人の養子(のようなもの)なんですね。
両親を亡くして父の友人だった館の主人に引き取られ、男娼としてではなく将来は男娼館『月影楼』の経営を引き継がせようと思われているんです。
ただ、実里は自分から月影楼で掃除やお運びなどの下働きをしていて、そこでロシアの侯爵・イヴァン(攻)に見染められて『お酌だけ』の条件でお座敷に呼ばれます。
でもその場でイヴァンに求愛されて『主人や主人の友人である仲介者の男爵がすまないと繰り返したのは閨の相手も甘んじて受けてくれという意味では』と深読みしてしまいます。
だからと言って『無理矢理』ではなく、実里は初めて会った時から美しい人だとイヴァンに惹かれていたんですね。ですからそれほど葛藤もなく関係を持ってしまう。
そして、それを知った親代わりの主人は激高してイヴァンを月影楼に出入り禁止にしてしまうんです。
その後、実里がとりなしてイヴァンが月影楼に来られるようになり『2人きりにならない・酌もさせない』などの条件付きで実里がイヴァンの座敷に行くことも許されます。
そして、座敷で話をしたりプレゼントを贈ったりするうちにイヴァンは実里を見受けしたいと・・・
まあ、実里は男娼ではない(店に借金があるわけでもない)ので『身請け』には当たらないんですが、つまりは好きだから引き取りたいというんですね。
で結局、実里は月影楼で暮らしながら外でイヴァンと会うということになります。
なんというか『無理矢理』もないし、最終的には周りの反対もなくなりラブ面はなんともあまあま~です。
その代わりというのもなんですが、時代設定的にロシア革命が起こりロシア貴族であるイヴァンは祖国の家族を心配して帰国し、離れ離れになったまま消息が絶たれ・・・
松幸さんのプリズム文庫は、何か縛りでもおありですか!?と思うくらい『外国人貴族・セレブ攻』が基本なんですね。こちらもイヴァンはロシアの侯爵ですし。
トータルでは、ホントにあまあまの王道でさら~っと読めます。だからと言って別に悪くはなかったですね。