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sora ni kaeru kaze
メインCPのラブという点ではハッピーエンドで文句はないです。
ただ、前巻のレビューでも書きましたがとにかく脇が酷過ぎる。これで終わっていいのか?と思うくらい(だからって、他にどうしようもないんだろうけどさ)。
表題作は、前巻からの続き・完結編です。
これはもう前巻収録分も含めて、ここまでドロドロを極める(と言うのもなんですが)必要あったのか?と呆れてしまうくらいグチャグチャです。
このシリーズ(狭義では表題作)、謂わば平八郎(受)の総受状態です。いや別に好きでやってるんなら個人的にはまったく好みじゃないですがまあ構わない。でもこれは程度の差はあれ暴力です。こういうのホントに気分悪いです。最低。
そして結局、山沖(平八郎の姉の夫)と村上(山沖の友人)という、平八郎を踏みにじった(としか思わない)2人にハッキリした報復がないのが一番納得行かない。
村上なんて反省もしてるようにさえ思えないし、ラストもまだ懲りずに『諦めない』っていい加減しつこ過ぎるんだよ!
いえ、平八郎が朋哉(攻)と幸せになったというだけで、彼を(やり方はこの上なく拙くても)本気で好きだった2人は本当の意味では報われなかったことにはなるんでしょうが、そんな消極的なもので済まされても・・・
それに山沖の妻(平八郎の姉)が亡くなったのだって、これ罰か?山沖は自業自得で、むしろ姉と平八郎の不幸なんじゃないのかとしか思えないんですが。
他の収録作はハッピーエンドの後日談・その他です。
2編目『風のあとさき』
本編終了数ヶ月(?)後。
平八郎と朋哉が、山沖の息子・翔太を看病することに。そこに、また村上がプレゼント攻勢でしつこく絡んで来ます。もういい加減にしてよ・・・
そして、山沖の親バカぶりが書かれてますが、読めば読むほどシラケてくる。
3編目『君の一日をください』
本編終了の2・3年後?
なんと村上視点です。平八郎のかわりに、彼に似た甥(山沖の息子・3歳)の翔太を一日借りて過ごすんですね。
これ、いったい何が言いたかったんだろう。村上救済なのか、あるいは単にスピンオフの前振り?←村上×翔太がシリーズ次巻の『不条理の関係』。
正直、なんでこんなの読まされなきゃならねーんだよ!と言いたくなる。もうどうでもいいよ。
切ないほのぼののつもりなのかもしれませんが(トーンとしてはその通りですけどね)、村上メインの時点で不愉快でしかないから。
ラスト4編目『あの日風の中で』
本編終了数年後。
平八郎も朋哉も大学を卒業して高校教師に。幸せな未来へ・・・という感じでしょうか。スピンオフにもこの2人は出て来ますが、メインとしてはとりあえずここでハッピーエンドですね。
う~ん、何度も書いて来ましたが、このシリーズは決して好きではありません。それどころか本音で言えば大キライです。鹿住さんでは個人的に最低クラス。
とにかく、平八郎と朋哉のキャラクター・CPが好きなだけなんですよ。それ以外は設定もストーリーも脇キャラクターもすべてがダメです。読んでるだけで気持ち悪くなる。
初めて(シリーズ通して)読んだときにまず思ったのは『最初は一応にしろほのぼの学園ものテイストだったのが、途中から救いようがないほどのドロドロ路線へというシリーズ展開は最初からの構想だったんだろうか?それとも予想外に逸れて行ったのか?』ということでした。
もう1作目から先(のドロドロ)へ繋がる設定の元はあったし、後付け設定で破綻したというわけではなかったので余計に気になって。
そのひとつの答えは、のちに同人誌(『ハピネス』)で見つけました。
曰く『もともと可愛く明るい学園ものが書きたくて始めた』『山沖があまりにも評判が悪いからもっと嫌なヤツを、と村上を出した』そうです。←でも、結局山沖の『シリーズ最低』は覆らなかったそうですが。
始まりがよかったと思うだけに、なんでこういう方向に行かなきゃならなかったんだ・・・と遠い目になります。いまさらですが『明るい学園もの』で通していただきたかったと思ってしまいました。
いやもう、個人的にはなんとも複雑な作品ですね。
とりあえずこの巻に限っては、ドロドロ・グチャグチャの表題作を片付けて、なんとかハッピーエンドを目指した作家さんの努力(?)を買って『中立』で。