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sabaku ni hana wo sakasemashou
高校生の成長物語。イラストは石原理先生です。
優等生の主人公・純は進学校に通う代議士の三男坊。初めて春休み中の講習をサボり、河原で手紙を書いていたところを突然テロリストに誘拐されて——!?
なかなか交渉に応じない父親のせいで、超美形のテロリストと共に過ごすことになった約一週間を描いたお話です。ちなみにタイトルはテロリスト団体名。
純視点ですが、純はあくまでも語り手です。彼を誘拐したテロリストの高坂(構成員は彼一人)と、高坂の協力者で自衛官の林田が恋人同士なのがかろうじてBLでしょうか。高坂がかなり乱暴に純を扱うので、かわいそうだったかな…。(←でも純はしぶといので救われます笑)
純の誘拐目的は表向き彼の父親に対するテロ行為となっていますが、ストーリー的にはそれ以外の意図が隠されていて、そちらの真相を追及していくミステリ的な面白さがあります。…が、いかんせん文章が独特といいますか、、。
クライマックスまでは、ギャグなの?純の夢の中なの?としか思えないようなトンチキ展開続出。ツッコミをスルーして読むのに気力を要しますが、物語背景はかなりシリアスです。三人三様に痛みを抱えていながら、変えられない過去からの解放を模索する各々の姿に胸がヒリヒリします。
サイモン&ガーファンクルの曲を口ずさむ高坂がいつも同じ部分しか歌えず、そこから先に進めない悲しさとか。林田が高坂のことを一方的に思っている苦しさとか。本当はお互いに深く思い合っている恋人なのに…。ワケアリそうなラブの部分が純視点で詩的に描写されていて、もどかしくも切ないです。
終盤で急にシリアスになるものだから軽いギャグテイストとの落差に戸惑うけれど、青春BLの部分ではズキュンとやられました。