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mon no naka no rakuen
自他共に認める問題児・弓削秀行は、女癖の悪さから、三角関係の上の凍傷沙汰を起こし、全寮制男子校である愛敬学院に放り込まれる。
実は秀行には裏の顔もあり、どうもそちらがきな臭くなってきたことから、これ幸いと父親の言うとおりに従ったのだった。
ところが、秀行を待っていたのは、なんとも個性的な面々で。
その中でも一番、個性的だったのが、高郷稔。
秀行は何も知らない初対面の頃から、一学年上の高郷に、強く惹き付けられずにいられなかった。
しかし、高郷は何かに心囚われているようで、周囲にまったく関心を払わない。まるで、石か何かでも見るかのように視線が素通りしていく。
けれど、高郷には唯一、奇妙な趣味があった。
それは、回虫などの一般人からすると、気持ち悪いだけの虫のが大好きだったのだ。
高郷のその趣味のせいで、高郷の同室になることを人はことごとく嫌がり、同室になった人間は、数週間で病気になるか、ノイローゼになるかしてしまうらしい。
そんな高郷の同室者に自分でもどういう訳だか、名乗りを上げてしまった秀行だったが、どうして自分はそうまでして高郷に構ってしまうのか、わけがわからないまま、半ば意地のようになりながら、同室を続けていくうちに……?
という話でした。
それ以外にもキーを握る登場人物として、高郷と親戚の関係にある堀という秀行の同級生がいたんですが、なんと言うか、情報通なので、その情報を元に、秀行を脅してきたり、何とか高郷を真っ当な道に戻そうとするんですが。
その彼が、鬼門。
確かに、最初は何もわからない秀行に、いろいろ教えてくれる人として出てきたのでもいいんですが。
秀行にもわからなかった気持ちを、「君と高郷は同類なんだよ」的に解説してくるところとかは、なんというか、「余計なことを……」という感じがして、すごくもったいなかったです。
個人的には、そういうのは読者が行間を読んで、察すればいいことだと思ってるので、そこまで解説してもらわなくても大丈夫なようにしてもらえた方がよかったのかもなー……と。
もう一つ入ってる「聞かせて」は、今度は高郷側の視点の話なんですが、高郷が懇切丁寧に、本編で明かされた自分の過去のときに、自分がどういう状況だったのか語ってるところがメインになるんですが……。
もう、おなかいっぱいだったんです、正直……。
そのせいで、ただでさえ分厚い本が更に分厚くなったような気がします。
なんにせよ、もう少し読者に行間を読ませる工夫があってもよかったんじゃないかなー……と思いました。