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もはや何のジャンルを読んでるのか分からなくなるくらい、普通に推理小説として楽しんでしまいました。
今回は犯人が最初から分かっている時点で今までの事件とはちょっと違い、その犯人にクラークが近づいたり離れたり…そいつが犯人なのよ~と見てるこっちはハラハラするし文章力と構成力が高いので本当にBL抜きにしても最後までいっき読みしてしまう面白さです。
何とか別れの山場を乗り越えたクラークとアンソニーですが、歯車が狂ったような感じは今だ続いています。これはきっと何度も何度も乗り越えて互いに向き合っていかなければいけない問題なんだろうなぁ。
ダニエルとその友人で弁護士であるエリオットというキャラクターが登場しますが、このエリオットがとてもいい味出してました。ダニエルとくっけば嬉しい…と淡い希望を持ってしまいますが…。
作者さんはダニエルがお気に入りなのかなぁという気がします。どんどんシリーズの中核に食い込んできている気が。
けれどどうしても納得できないのは、はっきり意思を持って殺人や殺人未遂を犯した人たちが度々無罪になることでしょうか…。
このお話は毎回起こる事件にゲイが絡んでいます。今回被害者になった人物の恋人が出てきますが、家族に同性愛者であることを「病気だ」と言われ遠い寮に追いやられたという過去を回想するシーンがあり、それが本当に痛々しかった。
その気持ちを打ち明け、受け入れてくれた恋人が被害者となり泣くなってさめざめ泣く姿が本当に可哀想で、脇役ながら最後の最後まで気になりました。
彼を慰めるためにアンソニーが久々に助手として活躍しますが、思えばアンソニーって助手という設定の割りに、過保護なクラークの所為で殆ど留守番な事が多いですね…。
クラークがもっとアンソニーを助手として事件の内側に入れ、役立つと思わせてあげていればアンソニーはこんなに悩まなかったんじゃないかなぁと思います。
2人は複雑な過去と特殊な環境で出会い、少しずつ距離をつめるという恋人らしい段階を飛ばして互いに依存し、互いが好きで好きでそれが怖いと思うくらいのてっぺんまで昇りつめたので、これから距離をとって、飛ばしてきた段階を戻って取り戻そうとしているのかなぁという気がしました。
互いが自分を冷静に見れるようになり、一度離れたあと、もう一度一番上まで昇りつめる事が出来れば不安も掛け違った歯車も取り除いた本当のパートナーになれるんじゃないかと思います。
この先どうなるのか、次回に期待です。
デスペラードシリーズ、ずいぶん前の作品なのに完結してないので買うのを躊躇してましたが、結局第一部終了のこの巻まで買ってしまいました。推理小説なので読み出すと止まらない面白さです。途中で読者には犯人がわかるのですが登場人物達は気づかずに犯人とすれ違ったり接触したりするのでヤキモキさせられます。「デス!そいつが犯人よ。捕まえて!」と何度思ったことか。
デスとトニーの色々な葛藤にも一応の区切りをつけての第一部終了です。お互い大好きだけど一度ゆっくりと未来を考えるための前向きな別居。しかも週末は帰ってくる週末婚みたいな感じです。トニーは生きるために幼い時から体を売ってきたけど本当に好きになったのはデスが初めてって可哀想だなあ。でも「愛してるよ。こんなに好きな人に会えて僕は世界一の幸せ者だよ」みたいな事まで言えるようになった時は感動しました。
デスも妻子を事故で失い、一度はどん底まで落ちたのにそこまで言ってくれる相手に出会えて良かったなあと思います。前々シリーズでやらかしてくれた金髪碧眼の美青年ダニエル。天使の容貌で悪魔の性格。お邪魔虫のようにデスに付き纏いますが、絶対勝ち目はありません。早く幼馴染みで弁護士のエリオットとくっついてしまえと思います。
第二部の発行されている部分まで見届けたい気もするけどハードカバーだし品薄みたいだし…どうしようかな。
大好きで読んできたシリーズですが、今更ながら素朴な疑問。
一見すると堅気には見えず、眼光鋭く頬が削げ、やけに背の高いくせにずば抜けた特技がある訳ではない、主人公である探偵クラークの周りにこうも人が集まる不思議とは一体?
美貌の恋人、7歳年下のアンソニーをして
「ぐーたらでずぼらでそこつでがさつで鈍感で馬鹿」と毎度
お決まりの文句を言われる始末。
もはや女神の様な寛容と母性をもって世話を焼く勿体ない位の恋人といい、国一の腕前と言われる名弁護士の義父や、スラム街の住人達、
大企業のインテリ青年といい、生まれも育ちも職業も見事に
ばらばらな彼らがクラークを中心として自然に集まってくるのです。
正義なんてお為ごかしはなく、クラークの探偵業は面倒臭いが基本。
何故かお鉢が回ってくる度に、悪態をつきつつ重い腰を上げるのですが、その義理人情に固く無鉄砲、媚びず靡かず男気のある姿を知れば
おのずと惹かれる人達もいようものです。
前作の事件の続きに加え、今作は恋人アンソニーとの関係にも
新しい風が吹きます。お互いが自分であるために下した決断は、
重いものでしたが、信じ続けるための努力をあえて課す
勇気ある進展だと思いました。
また、アンソニーの恋敵、インテリ青年ダニエルも思った以上に
行動派だった。ライバルなのに友達という奇妙な関係は、意外と
長く続くんじゃないかな。
彼の十数年来の腐れ縁で弁護士青年が中々にいい役回りでした。
ダニエルの危険を前に、愛してると言っちまえとクラークにけしかけられても、ぼくにはぼくの言い方があると期待をさせておいて、アレとは何たるヘタレ。
これからも時々登場して欲しいものです。
本作でシリーズ第1部はひとまず終わります。
現在シリーズは7作出ていますが、明確な終わりなどなくても
どこかで彼らが息づいているみたいに素朴で味のある物語なのです。