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あったこともない、曽祖父の葬儀に呼ばれ、亮は伊豆沖のある島へと向かった。
どうやら亮の曽祖父は、かなりの資産家で島に住みながら本島の経済を動かしていた人物らしく、祖父の葬儀の後に、遺産についての遺言が発表される、ということであった。
ところが、発表された内容は、「第一ひ孫である巳也と巳也を引き取ったものにすべてを譲る」というものであった。
巳也なんて親戚の名前は、居合わせた親戚の誰も知らず、どうやら屋敷の中にいるらしいとわかり、大騒ぎになるが、亮はある出来事から巳也を見つけ出す。
見つけ出された巳也は、学校にも行かず、長く屋敷に閉じ込められて育ったせいか儚げで人形めいて美しい青年であった。
おまけに、島の迷信・ヤトや親族の遺産争いに怯える様は亮の胸を突き、遺産なんかに興味のなかった亮であったが、巳也を救いたい一心で、一緒に島を出る約束をする亮だったが。
遺産争いが激化する中、一人、また一人と脱落していく。
巳也が恐れる「ヤト」とは一体誰なのか、どうして葬儀の場に除霊士なるものが呼ばれているのか……。
島を出ることもままならない中、亮は巳也を守ろうとするけれど……
という感じの話でした。
ホラー……というか、オカルトっぽいテイストがメインの話でした。
島には、ヤトと呼ばれる神が祭られる祠があって。
そこを代々管理するのは、曽祖父の一族の役目だったようで、ヤトは何者なのか、立て続けに起こる事件の犯人は誰なのか、そんな感じで物語りは展開していきます。
結局のところ、死んでる人間よりも生きてる人間の方が怖いよね、という感想になってしまうんですが。
どうしても、そのホラーなんだかオカルトなんだかの方面に作者さんの力が入っているので、なかなかラブ方面には行かず。
かなり巳也にはつらい出来事もあったりして、まったく甘くないです。
おまけに、最後もちょっと余韻を引きずるような純粋なハッピーエンドではなくて、不安材料を残しながらのラスト。
あまり、後味のいい作品が好きな方にはオススメできない感じのお話でした。