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出会えて良かったなぁ。切なくてあったかくて、前向きで。気になる作家さまの作品に山田ユギ先生の挿絵があった場合、まずそれから手をつけるんですが、これまでハズしたことがありません。山田ユギ先生挿絵にハズレなし!
それとタイトル萌えもありました。なんなんですかこの、『前略・ミルクハウス』的な乙女ちっくタイトル。(ハウスしか被ってないけど。)札幌を舞台にしたこのお話は、出身のわたしにとっても色々懐かしすぎて、はるかノスタルジ〜でした。
道南の大沼を出て、札幌の大学に進学した兄を後を追っかけ、同じ大学の歯学部に合格した純介。当初は兄と同居することになっていたけれど、ある一件から仲の良かった兄弟間に亀裂が。そこで従姉のアキ姉に紹介してもらった「ストロベリー・ハウス」で新生活を送ることになった純介が、男ばかり+αの下宿生活で揉まれ、傷付き、助け合いながら成長していく物語。
まず、純介と兄の透人(ゆきひと)の関係が発端となり、それがストロベリー・ハウスの住人たちそれぞれのドラマに波及していきます。管理人の静次郎は大学教員。普段はおっとりとして穏やかな彼は、仕事で依頼された原稿の締切りが迫ると大パニックを起こすというギャップの持ち主。他、下宿人は歯学部の先輩にあたる有坂と根津の二人。有坂は陽気で人懐っこく、包容力のあるタイプ。根津は寡黙でとっつきにくいけれどさりげない気遣いのできる男。美形揃いなのに全く女っ気がない…
そして忘れちゃいけない、真面目で優秀な純介の自慢の兄、透人。わたしはキャラ的に有坂と透人に萌えてましたねぇ。彼ら男性陣の他、アキ姉然り、女性キャラがしっかりとストーリーの進行に組み込まれているタイプのお話なんですけど、好感の持てる役割を果たしてくれているので、女性キャラが地雷じゃなければ大丈夫。古いBL小説の日常系って結構女性キャラの登場率高いんじゃないかな。
90年代の小説も少しずつ読んできましたけど、桜木先生によるこの作品は今まで読んだことのなかったタイプでした。BL小説というより、主人公の成長物語と捉えた方がしっくりくるかもしれません。少女漫画とコバルトでふるふるしてきた者としては、メチャメチャ親近感というか既視感があって、読後はとにかく懐かしい気分に浸ってしまいました。「ストロベリー・ハウス」の名前にまつわるオチと、建物の外壁に残された落書きのエピソードがオツですごく好きです。