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1992年の本作、作者の初文庫化だそうです。
なのに、読み始めから「あ、須和雪里だ!」の文章でした。
口語体で軽く書かれていますが、ロケーションや心情の説明が純文学風で、悪く言えば“古い”、良く言えば“ノスタルジーを感じる”
須和先生の言い回しは、この頃から続いていたんですね。
表題作【激闘横恋慕】は、本筋話のちょっと脇話です。
主人公の寮同室カップル・青池亮×野崎熾龍(しりゅう)のがっちり堅く出来上がった仲に、亮狙いの猪突猛進の先輩・牧田章一の奮闘記。
なので、4話ある中の3話めです。
明るく元気な牧田先輩の押せ押せーな告白攻撃に、亮と熾竜は苦笑い。
当たって砕ける牧田のコミカルな言動と親友・安西貴義の穏やかなやりとりが微笑ましい話でした。
本筋の他3話は、
【玉龍天心】亮×熾竜カップルが出来上がるまで。
高1の新学期、顔以外普通の熾竜に、顔良し・スポーツ良し・勉強良し・何でも1番の亮が声を掛けてきた。
話してみると、ナンバー1な亮の、変に生真面目で宇宙人的な発想やヘタレた感じが面白く仲良くなる。
学期の途中、亮は熾竜の寮部屋に入ってきたが、同室になる為に細かく計略を立てていたのを知る・・・
不器用な亮が意外とやるじゃんな第1話でした。
【春風前線】
亮と熾龍、そして、亮の幼馴染み・水落聡(さとる)が高2に進級。
意地悪で傲慢で冷徹(亮・談)な聡の部屋に、1年堀田一実が入ってくる。
一実は、学年1チビで童顔で可愛い。
性格も明るく素直だ。
悪魔な聡とエンジェル一実の、ハラハラ同室生活は?
同居早々にHでした!
【八十恋語り】
聡×一実、カップルとなったものの、悪魔・聡の浮気話。
聡は一実が可愛くて愛しくて仕方が無い。
しかし、普通なら鉄板カップルのはずが、聡の恋愛感はズレていた。
1年男子に告白されたからと、相手の名前も聞かずに強姦まがいな交接をしても何も思わない。
その1年の雪広は切ない事実を隠し、隣の席の一実に「聡先輩に抱いてもらった」と嬉々と告白する!
衝撃を受けた一実は聡を避け続けるが・・・
聡と一実、どちらも大切な相手と気付くまでの話。
短編でも、それぞれのキャラの心情語りが多いので充実感あります。
Hシーンの筆は大まかで朝チュンな感じを気にしなければ、そこそこエロいです。
まだ序盤なので、若者の悩みはまだ浅いかな?
青池亮、水落聡、野崎熾龍、堀田一実の4人とその周辺、どう盛り上がっていくか次巻以降とても楽しみです^^
須和さんが書かれた本の中では、比較的ライトでポップな学園モノシリーズ。
一巻目は、二組の主役カップルがくっつくまでがメイン。
今流行りのBL展開から考えると、生温さは拭えないかもしれませんが、キャラクターの突き抜け方は、やっぱり須和さんという感じです。
以降シリーズが続きますが、個人的に主役カプよりも、主役の攻め同士の繋がりが萌えました(笑)
それは、続巻のお楽しみなのですが。
堅物を絵に描いた男と、ドSの捻くれ幼なじみの二人。
須和さんのキャラクターは、何と言うか今でいう属性にハメづらいのですが。
そこが最大の魅力だと思います。