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高1・4月の席替えから、一生の付き合いになるであろう進路考までの6話短編集。
小谷(受)は、か細くて大人しいメガネ。入院中の母と2人暮らしの奨学生。
瀬野(攻)は、超高校級のサッカー選手で明るく積極的。裕福な家庭の子。
全く違う2人の恋の経過が、話ごと夫々の視点で描かれています。
小谷視点の編は明るくないです。
奨学生の成績不振での恐怖。母の死。慣れないバイトの過労。
諦めと諦めたくない焦りが小谷をどんどん追い詰め、いつ死んでも良い、いや、いっそ今すぐと。
そんな小谷の唯一の光が「瀬野章雄」。彼こそが太陽。
小谷1人の時はウツ状態でも、瀬野と一緒だと浮上するのです。
瀬野視点は、若さと恋しさ故の「反省」が多々語られています。
体の負担や勉強する時間、恋人の妨げにはなりたくないのに、いちいち小谷のキレイなところを見付けては触らずにいられない。
「ゴメン、小谷」
「ううん、瀬野がいてくれる、それだけで良いんだ」
「・・・っ!小谷、大好きだーっ!」
暗くて重い編、高校生らしく明るい編、弱そうな外見の小谷が実は強かった編・・・どの話も上の3行の「 」に集約されています^^
小谷が中退し1人で生きていかなければならないのを、瀬野父の登場で小谷の願う通りになる所は、少し強引で安易ではないかと思いました。
でも、これから急に新たな小谷親戚の登場やわらしベ長者みたいな展開は難しいし、2人の将来展望ができて離れずにすむので、まぁ良しとします。
ハッピーエンドですが、小説としてこれからの大学生活も面白そうだし、瀬野父の淡い恋愛のスピンオフ短編も読んでみたいです。
学生ものの軽薄じゃない作品。
携帯が出てこないし細い線で白い部分多いイラストが年代を感じます('97年なので)。
良い作品でした。