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全寮制男子校・愛敬学院の新寮監は、三上幸生。
その幸生は身体が弱い。
そんな幸生を見守ってほしい、と頼まれた寮長の津田典之はそんな三上が寮長として赴任することに不安を抱いていたが、実際に会ってみると、その美しさに一目で心を奪われてしまう。
どうやら三上は、「どうしても叶えたい夢があるから」と言い、無理を押してこの学院の寮監に赴任することにしてもらったらしい。
かつて学院に通っていたときは、寮長だったという三上は、学院に辿り着く前に入院してしまうものの、津田の語る学園の様子から的確なアドバイスをしてくる。
当初は、そこまで真剣に話を聞いていなかった津田だったが、三上が言ったとおりの問題が起こってからというものますます、三上に心酔していく。
次第にその気持ちは「尊敬」という枠を飛び越えて――という話でした。
話はそれともう一つ。
三上の前の寮長の升田友巳とジム・デービスの恋の馴れ初めが書いてありました。
この二人に関しては、本文中に片方が亡くなって、片方がその復讐をして捕まった、と書いてあったので、正直読みたくなかったなー……というのが本当のところ。
だって、その登場人物が愛しくなればなるほど、死んだ事実が耐えられなくなるから、だったら名前だけ出てくる「誰か」でいてほしかったんですけどね。
ちょっと話がずれました。
肝心の本文の話。
この話自体は「門の中の楽園」というシリーズで、この本が三冊目。
というわけで、すでにいろいろ完結している時系列の並行する話と、未来に完結する話の設定を踏まえた話になっています――が。
個人的にはそんなに前の二作に振り回されなくてもよかったんじゃないかなー、と思いました。
何せ、前の作品とリンクするようなシーンが出てくるたびに、前の話をにおわすようなことがちょろちょろするので、はっきり言って話がくどい。
まぁ、それが三上のアドバイスに絡んでることだから、大事といえば大事なんですが、別に無理やり前作に絡めたアドバイスじゃなくてもよかったような気がものすごくしました。
だって、前作ではほとんど影のなかった三上の存在がやたらに強調されて、実は裏でこんなやりとりがあったって裏方仕事を何回も見せられた正直、テンションも下がりますよね。
裏方は裏方でそっとしておいた方がいいと思うんですよね。
あれはあれで綺麗に終わってるのに、わざわざ掘り返さなくても――。
それで「何かした」っていうんならまだしも、言うだけ言って「前田君なら大丈夫」で終わっちゃうんですもん。わざわざ出す意味ないと思います。
なので、前の二作を踏まえすぎて、かなり回りくどくなってしまっている気がしました。
とりあえず、作者さんがこのシリーズ全体を愛しているのはすごく伝わってきたんですが、ちょっとその愛が空回りしてしまっている感じなのかなー……と思います。