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少しのタイミングのズレがいくつも重なることによってすれ違っていく二人。
すれ違いものはよくありますが、ここまで説得力のあるすれ違いを描いた作品はめったにないと思いました。
受けの思いが、攻めにだけじゃなく、周囲にまったく伝わっていないことが、誤解が膨らんでどうしようもない状態に追い込まれていく様子が、めちゃくちゃ切なかった。受けのその不器用さが愛おしくてたまらなかった。
『俺と奴の対峙する関係』でも、攻めに誤解されまくりの受けの姿が描かれてましたが、それを彷彿とさせるお話で、義月さんの上手さが光っておりました。
85ページから86ページにかけての受けの告白で、涙が吹き出しました。
「やっとだ。やっと言えたね…良かった…」って思って。
美しい告白なのだ。
攻めへの甘えが一切ない告白なのだ。なんの見返りも求めていない、ただ「本心を話した」というだけの告白。その美しさに、胸が捕まれました。
私、構ってちゃんな乙女受けがあまり好きではないもんで、こういう受けに巡り会うと感情移入しまくってしまう。
対する攻めはねー、もうちょい反省しやがれ、バーカバーカw
表題作のほかに『インパーフェクション』という短編も入ってます。
義月節炸裂の、アホアホで俺様で傲慢でチン軽な攻めの登場w
表題作ほどではないけど、こちらも私は好きなお話でした。
2本立てで、どちらも攻めにイラっと出来る事は多分間違いないです。
地味だけど実は優秀な受けが自分もゲイなのに、ゲイ嫌いの差別主義と誤解される話と、合格請負人の凄腕な家庭教師の受けが好きな子とする時の為の実験に使われる話です。
さらっと書いただけでも受けの立場がとても切ない事は、わかると思います。
チームのリーダー・西垣剛 傲慢俺様攻め×プログラマー・杉山直哉 地味健気受け
杉山はチームとして組む前から仕事が出来る西垣に惚れていて、ゲイじゃなさそうだから思うだけで諦めていた。
突然、西垣がいるチームに抜擢されて仕事に励むのだが、ゲイが嫌いと誤解されてしまって。
受けの杉山は、しゃべり方が淡々としていてクールなので、冷たい性格と誤解されてしまう損なタイプです。
仕事も出来て優秀なのですが、サポートとしてキレて優秀なので、目立つ所は他の人に持っていかてしまう。
西垣がゲイだと告白してきて、ずっとノーマルと思っていただけに、瞬間的にいい反応が取れなかっただけで、ゲイ差別主義者と誤解される。
その上、好きな人から、アンタみたいなのはタイプじゃない。安心しろとまで言われて。
そこからはじまって、受けが気の毒で可哀想な位に、誤解されます。
仕事上の事で厳しく言っただけなのに、人つきあいの下手さから、人格家の西垣さんに嫌われるなら、よっぽど悪い人と周囲にも誤解される。
そして更に、恋人とキスしている西垣をみてショックを受けて固まった杉山に、西垣の追い討ちがひどかったです。
あてつけがましい上に、人格に関わる事まで言うこと?かと、ガキの意地悪やイジメじみた事を平気で言い放つ所に、呆れました。人に見られるような所で、キスしている方が悪いと思うのですが。
杉山の友達の啓太のバースディーパーティーでも、ゲイやホモのお仲間がいる前での杉山が誤解される暴言。
意味もなく偉そうで、なに様のつもりかと思って、イライラしてしまいます。
受けが全面降伏を掲げて泣きながら告白して、ようやく自分から手を伸ばすって。
とにかく、攻めの性格が傲慢過ぎて受け入れられなかったです。
教え子のタカシ×家庭教師の克哉
お金がもうかるので、頭が悪い生徒の大学合格を請け負う仕事をしている。
ゲイだと告げたら興味を持たれて、好奇心のままに関係を持つ事に。
若さ故の過ちって感じで、若さがあるだけに攻めの愚かさや酷さが少し許せました。
文章力があるだけに、苦手部分を押された時の破壊力が凄い感じです。
そう思うのは、受け愛好派だからかもしれません。
エロ:★3 普通
総合:★4 イライラするものの、一気に読ませる文章力が凄かったです。