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今回はわりと事件中心のお話。ヘンリーとかシドニーとか今までのように身内サイドの関係者が事件に関わるわけではなかった。警官が被害にあってはいたけど。ノブのシンクロ探偵?ぶりも復活。ある種の特殊能力みたいで面白い。
シドニーとノブのカップルは安定の仲良しぶりですが、コソボ紛争のニュースなどを見かけるシドニーが悪夢にうなされる回数が増えてきて…とこれからの展開への伏線になるような不穏な雰囲気もチラホラでてきます。
あとがきの「誰も気付かなかった黄色の信号」というのは色々考えさせられました。人生というのは振り返ればそんな風に思う事の連続のような気がします。「あの時のあれは予兆だったよね」みたいな。柏枝先生はニューヨークに行く時は行きつけのコンドミニアムに長期滞在していたとか。カッコいい!最近ここまで取材のために徹底している作家さんはなかなかいないと思います。少なくともBL小説界には。どうなんだろ?海外在住の方はいらっしゃるけど。
やはりその国に行って現地の空気を感じてきた方の文章には外国の街の描写などにリアリティがあるなあと感じます。
前回がけっこう重めの話だったので閑話的な回になっているような巻。
重たい展開がずっと続いていたので、なんだか最初の1巻~4巻くらいに戻った感じでこのくらいが好きかも。
今回も伸行が仕事中に巻き込まれた事件と、シドニーが追っている事件が最後の方で繋がってきます。
見知らぬ子供の大学合格を祝ってあげたりとか、アメリカって感じの気さくさが伺えるシーンが好きです。内容はけっこうシリアスですが、登場人物らがおおらかで癒されます。
犯罪大国のアメリカで、ここから先に行ってはいけないという黄色信号のようなものが見えたら…というお話なのですが、でもいくら毎回事件に遭遇しても、伸行という存在が純粋でお人よしなのでバランスをとっていられるのかも。
「お前にかかればみんな善人になる」とシドニーは言っていますが、犯人に対面しても犯人の犯罪を起こした痛みにさえシンクロするような人間です。
なので毎回毎回痛々しい事件が起こるのにそんなに苦しい気持ちにならないんですよね。
あんなにピュアな親友で、恋人になってからベッドにいくのにも半年以上かかったのに、今では毎日いちゃいちゃしてるし一緒に寝るし、こういう日常が2人にとって当たり前になって本当に嬉しい。
相変わらずこの回もキスはほっぺがデフォですが、それがまた可愛いです。
シドニーが伸行の職場の皆の前でも伸行の髪を引っ張ったり、お前はガキだとか鈍感だとか言ってからかうシーンが大好きです。
恋人だけど、やっぱりどこか幼なじみ感を残してるんですよね。