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己を突き入れて、悦楽に啼かせてやりたい
sonokatawara de tenshi wa madoromu
不破コンツェルンの御曹司として、躾は厳しく、でも家族に愛され優しく育てられた純粋培養の真史と、父親の借金による一家離散、自分だけの力で苦労を重ね生きてきた元ホストの直哉。
そんな育ちの対照的な二人が出会ったんですが、真史はともかくも、直哉は嫌っていたんですね、真史を、甘ったれのお坊っちゃまだと思いこんで。
それが罪悪感から真史に付き合ううち、どんどんと人となりに触れ、愛しさが募っていくんですねぇ。
もちろん真史は、無自覚で直哉に一目惚れだったんだと思っていますけど。
で、お話の半分くらいで薬を盛られちゃったことがきっかけになり、まずはカラダから……になるんですけど、そのシーンが妙にドキドキして。どうしてなんでしょうか、その理由がはっきりしないんですけど。こんな感じ、初めてでした。
そのあと、気持ちもちゃんと通じ合うわけですが、そう簡単に『めでたし、めでたし』となっちゃったら面白くない!
当然、二人の仲を引き裂く出来事なり、人物が登場するんですよ。
幸せだったはずなのに、一気にそこから突き落とされる真史。大好きな直哉の迷惑になっちゃいけないと、逢いたいのに逢いに行かない。
(この辺は、大好きな“健気受け”です~!)
また直哉も、追いかけたいのに嫌われたらイヤだと、追いかけることも出来ないヘタレ。
思いっきりのすれ違いです~。
真史の少しの勇気と、それをくみ取った直哉がやっと行動を起こして、真史が大事で可愛くて仕方のない兄・三笠から取り返し、元の鞘に。
Hシーンでドキドキし、すれ違ってはハラハラし、最後にホッとさせられるほんわかしたお話でした。
あらすじや表紙のイメージよりも、ずっと可愛らしいストーリーでした。タイトルがいちばん直球でしたね。
なんといっても、真史(受)が純粋培養のピュア~な健気ちゃんなんですよ。あまりにも天然無垢なので、最初は疎ましく思っていた直哉(攻)もつい惹かれて行って・・・とまさしく『王道』なんですがそれはいいんです。
わかりきってても楽しめました。まさに純愛です。
ただ、最初のHが、他の男に催淫剤を盛られて宥めてるうちに最後まで~という、イヤもうありがち過ぎて『何十回読んだっけ?』な展開なんですが、キャラクターのタイプからしてたとえ事情はあれど『いきなり身体から』はそぐわないな、と感じました。
ここで!ここでぐっと堪えて、せめて真史をイカせるだけで終わってくれたら、ストーリー全般に、なんというか深味が増したと思うんですが。
『(これがあるから)薄っぺらで読むに堪えない』というわけではないんです。だから逆に『これさえなければ・・・!』という気になるんですよ。
トータルでは結構好きなんです。他がよかったと思うだけに、この安易さがなんとも残念でした。
あとはイラストですが・・・
申し訳ありませんが、ない方がよかったとさえと思ってしまいました。まったくいいところがなかったです。