ぱるりろん
soukyu no Lorelei
三上がラバウル基地の配属になって、浅群塁の専用機となってしまっている機体の専属整備長を任されたばかりの頃のお話。
まだ三上と塁の信頼関係がまったく出来ていない頃、いまとなってはそんな頃が懐かしくもあるのですが、機に施されたあまりにも独特な調整を少しでもよくするために三上は日々機体の整備に勤しむ。塁は自分の機を、誰やら知らない人に触られるのがいやで、気になって仕方なく、様子を見にはくるけれど三上に近寄らない、というお話。
遠くから三上を睨み付けるけど決して近寄らない塁と、そのことを知りつつどうにか会話をしたくて、餌を撒くように計器を並べて見せて近寄ってくるのを待つ三上。三上と目が合うとぱっと逃げる塁。絶妙です。
それはまるで雀と、雀を捕まえようとする人間の距離感さながら。そしてこのお話のタイトルが「とりのはなし」。唸るしかないです。
また、改めて三上の気の長さには脱帽です。ここから信頼関係を築いて恋仲になるのは並みのことでは無いですし、この後のことを考えるとこうしたささやかなことでも微笑ましく感じます。
『蒼穹のローレライ』コミコミさん特典小冊子のこちら。
三上視点、二人がラバウル基地で知り合って間もない頃のお話です。
三上が機体を整備するのを、いつも陰からこっそり見ている塁。
そんな塁に気付いて話しかけようとする度、さっと逃げられることを繰り返している三上は、ある策を練ってなんとか塁と話をしようとするのですがー
という内容です。
本音を言うと、心を預けた後の二人のささやかな幸せの瞬間が読みたかったかな、、なんて気持ちはありますが;(自分でも欲張りわがままだな!と思いつつ…!)
警戒心の強い野生の小動物のように行動しながらも、照準器には目を輝かせ、付け直しの位置を指で指示して消える塁が可愛くて愛しくてたまらなくなってしまいました。
本編の中には書かれていなかった、初期の頃の二人の様子。
甘さはないけれど、クスッと笑える戯れを噛み締めました。