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大和の国での貴族としての地位を守るために、室菱美邦は自らを商品として、富豪が集うオークションに出品し、落札した男の愛人となることを決意した。
オークション会場は船の上。
陸では様々な国の法律で規制されてしまっていることでも、海の上には国境はなく、それを取り締まる法律もない。
富豪たちは、船の上で陸ではできないことをやっているのだった。
美邦が自身を売りにかけたのも、そんな闇オークションだった。
オークションが始まり、自身の肌をまるで商品を見るかのように品定めされると、美邦はその視線に嫌悪感を抱くのを止められなかった。
ところが、そこに現れたのは凱胤と呼ばれる悪名名高い海賊王だった――。
凱胤は、船に乗っていた富豪たちから金品を奪うと、美邦も自らの船に連れ帰ってしまい……
という話でした。
元々、自分自身を誰かに売るつもりだったから、誰かと身体の関係を持つ覚悟があったからと言って、自分を保護してくれるかどうかわからない男にあっさり身体を許しすぎじゃないですか、美邦さん!? とちょっと展開の早さにおいてかれてしまいました。
ずっと独りぼっちで寂しかったのかもしれないですけど、プライドの高い貴族、という設定の割りに全然、もったいぶってなくてちょっと拍子抜け、でした。
どうせならもっとツンデレしてくれてたらよかったんですけど、デレまでの展開が早いよ!!
それから、ここから先はネタバレなんですが。
自分を売ってまで守ろうとした貴族の地位を、美邦はあっさりと凱胤と出会ったことで手放すことを決めてしまう。
まあ、凱胤と出会ったことで価値観が変わった、といえばそうなのかもしれないですが、ちょっと今までしっかり握って手放さなかった割に、あっさり手放しすぎじゃないですか!? とこちらもまた残念。
いやまあ、いろいろ美邦の身の上には起こってるので、そういう結論をしてくれてもいいんですが、もう少し、そこに葛藤してくれてもよかったかなあ……と思います。
なんだか、微妙にところどころ残念で、低めの評価をつけざるを得ないのがもったいないなあ……と思いました。