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「可愛らしい方。こんなに震えて」
ホテル支配人(33歳)×秘書(27歳)の恋模様です。とはいえ、カード会社→実家業手伝い→秘書と職歴があります。
表題作と後日談的続編が収録されています。
どちらも篠原の目線で進みます。
「恋の続きは蜜月ホテルで」
篠原(受け)は、以前はエグゼクティブカード保持者の要求に応じるコンシェルジュデスクで勤務していました。そこで、小田桐(攻め)という男の対応をし、礼を告げる言葉に好感を抱きます。思いがけずホテルで再会し、喜びはするも、自分の情けない姿を知られたくないと素性を隠します。だが、小田桐は自分の秘書にならないかと言い出して…。
篠原も小田桐も、電話での声で恋に落ちます。名前に金魚で確認をした篠原はともかく、生声でぴんときた小田桐の方は凄いもんだと感心しますが…。
小田桐は篠原が電話の声の主でなくても、徐々に好意を抱きつつあります。ところが、篠原が嘘をついていたと義弟の口から明らかになり、小田桐は偽られた腹立たしさと義弟への焼きもちの感情そのままに篠原を強引に抱いてしまいます。
ここがちょっと消化不良で…。小田桐が篠原を殴らず、顔の横に手を叩きつけるという脅しだというのは良かったのですけれど。うーん、ちょっと萌えませんでした。単に私には描写が合わなかったからかもしれません。
物語の半ばくらいで両思いだと分かるのですが、秘書という立場を考え、篠原は小田桐の気持ちを受け入れません。そこへ、ホテルの危機が発生し…。と、飽きさせない展開でどんどん読み進んでしまいました。義弟が終盤また登場するかと思ったら、そこだけだったのは拍子抜けでしたけど。シドニーでお土産でも買ってやきもち焼かせたら面白かったですね。
続編の「like a honey」は47ページ。シドニーに視察に来た二人。最初はあまあまだったのに、嫉妬からぎくしゃくしてしまうけど、最後はラブな話。
篠原も小田桐も仕事のできる男で、読んでいて惚れ惚れします!互いに好意を抱くのが納得の優秀な男達で、仕事ものが好きな私には嬉しい内容でした。かっこよく働く男、でも恋で弱ってもしまう可愛いさもある攻めがお好きな方にはお勧めです。
実家の窮地を救うため、身売りをしようとしていた晃行を助けた支配人の小田切。
初めて出会ったのかと思っていたら、半年前、お互いそうとは知らず、電話で話をしていたんです。
小田切は、ずっとその電話の相手を探していました。晃行は小田切と再会したとき、声で気が付いていたようですが。
探していた相手が晃行だと知ると、ウソをつかれていたことと嫉妬で頭がいっぱいになった小田切は暴挙に出ます。いやがる晃行を抱いちゃうんです。
いやいや、これはちょっと唐突な展開で、私はびっくり。今まで穏やかな大人だったのに、これくらいのことでキレちゃうのか?と。小田切本人は『これくらい』のことじゃなかったのかもしれないけれど。もう少し別のやり方があったんじゃないのかなぁ。少々違和感が。
で、このあと、ちゃんと愛してるって小田切は言ったし、晃行だって小田切のことが好きだったんだから、すぐにでも両想いになるのかと思いきや、「立場が違います。釣り合いません」などと、理由になるんだかならないんだか、わからないことを理由に求愛を拒絶。これも私はびっくりでした。
意表をつかれる展開です。
お互い想い合っているのに、恋人同士になるまでに時間がかかって、えらくジリジリしました。気持ちがすれ違ってとかじゃなく、本気で断ってるんですからねぇ。またそれが原因で、仕事でミスを連発するって……。苦笑
大きなホテルの支配人なのに、案外ヘタレだったってことですね。いや、そこが愛おしいって話なんですが。
どうも、私はヘタレに優しいんです。