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『だまされて楽園』のスピンオフの話ですが、前作を読まなくても話はわかります。
前作ではお世話役としてちらっと出ていた位なのと、時系列として『華やかな鎖』の方が前なので、全く問題がないです。
話の雰囲気が『だまされて楽園』とは違って、非常にシリアスです。
篁釉以子さんの書く恒例タイプのカップルと違ったのも、また新鮮でした。
ロシアン・マフィア・ユーリ・ミロノフ マイペース抱擁金髪攻め×香港マフィアの孫・リュウ・タオリィ(23)強気長髪受け
祖父の命を狙った父親の所為で、裏切り者の子として生きているタオ。
裏切り者は処刑されて、夫を亡くした絶望から麻薬に逃げた母と再婚した相手が楊朋衛で、更なる最悪の始まりだった。
義父は幼児性愛者で、タオはその犠牲者に。
厄介者の立場なのでいいように命令されて、身体込みの接待をユーリにするように言いつけられる。
受けの環境が悲惨な上に、香港の闇と言った薄暗い恐ろしい感じの事や暴力描写も過激めなので、怖いとか嫌な人は嫌かもしれない。
怖い部分はスルーして、暴力描写に関しては、ユーリよくやってくれた!と嬉しかったですが。
その代わりなのか、攻めの性格が明るい上に、いざという時に頼りになるタイプ。
女を7人も連れてやってきたかと思えば、綺麗なタオに一目惚れしてから一途で何度振られようとも陽気に口説いてくる。
その特権を利用すれば、タオのことだって抱けるのに、タオの意思を優先する所が好きでした。
それでいて、ロシアン・マフィアらしい残酷さや鋭さもある。
受けの前では飄々と軽そうにしているんだけど、陰ではしっかりと受けの為に非道な事さえも持さないでやり抜く意思の強さと行動力を持ち合わせている。
二面性がある攻めが好きなので、理想的な攻めでした。
いままでの環境が環境なので、素直にユーリのことが好きと言えなくて、意地をはってしまうタオが可愛かったです。
ロシア編で、萌えが最高潮になりました。
好きだとも愛しているとも言っていないタオの痛切な告白が切なくて、たまらなかったです。
プライドが高い受けが崩れる時って、なんて萌えるのだろうと思ってならないです。
とにかく攻めが受けの事を常に変わらず愛しているのも、好きでした。
あとがきでは、昨今では珍しいキャラの座談会も入っています。
篁さん新境地と言った感じで、こういうタイプのカップルでもまた書いて欲しいです。
総合:★5 過去の酷い仕打ちもちょっと文章で読みたかったという欲はありますが、満足です。
エロ:★4 香油を使うH、通じ合ってからのラブラブH、ユーリを思って自慰