書き下ろしSS付
aoki koushi no ummei no haru
健気で不憫な天涯孤独の平民・昌春(受け)が、第一煌子・大傑(攻め)に仕える幼馴染に会うため陰の印(子を為せる男に出る印)を偽装して、夫君として後宮に潜り込み、第一煌子に見初められる中華風後宮ファンタジーです。
世界観が面白くて、オメガバース世界で言うところのアルファが陽、オメガが陰、ヒート(ラット)が艶にあたる、男性でも妊娠出産が可能な特別な国が舞台です。体に現れる印によって陰陽を区別するため、入れ墨や染料を使って印を偽装することができます。
主人公が特技を生かして肌を染め、印を偽装するのは大胆で面白いのですが、日々滲んでいくことが分かっていながら、疑われないようにと染め道具をあえて後宮に持ち込まず、結局現地調達できずに困ることになる…というのは、そっちの方が逆に疑われちゃうんじゃないのかなあと少し気になりました。
主役ふたりはまさに王道の健気不憫な平凡受けと溺愛スパダリ美形攻めで、ストーリーも王道の後宮物語です。昌春の物珍しさに大傑が惹かれ、陰謀を解決し、ふたりの気持ちも通い、最後には子どもも授かりハッピーエンドといった、安定感があるお話でした。
王道の甘い物語を読みたい方や、中華風後宮ファンタジーを初めて読むという方、美形スパダリ溺愛攻めと平凡健気不憫受けの組み合わせがお好きな方におすすめです!