淫花

inka

淫花
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神3
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
32
評価数
8
平均
4 / 5
神率
37.5%
著者
七宮エリカ 

作家さんの新作発表
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イラスト
小菅久実 
媒体
小説
出版社
日本文芸社
レーベル
Karen文庫
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784537141146

あらすじ

人並み以上の器量をもって生まれたがために、両性具有の類は、見世物小屋に売り飛ばされた。だがそこで待っていたのは、客の目前で自分を慰め、牛のような巨人と交わり、性の印を嬲られる底無し地獄の日々だった。耐えきれずに逃げ出した類の前に、大金持ちの青年慶一が現れる。ようやくまっとうな人間として丁重に扱ってくれる慶一に、やがて類は惹かれてゆくが、自分の淫らな過去を知って、軽蔑されるくらいならと想いを断ち切ろうとするが…。

表題作淫花

興行主の若旦那・22歳・慶一
見せ物小屋の少年・16歳・類

その他の収録作品

  • 絶唱

レビュー投稿数5

文章の美しさに酔う

表題作と「絶唱」の2作収録、2作は全く別の話で繋がりは無し。
自分は実は耽美系はあまり好きな方ではないんですが(平凡受好きなので)これは面白かった!
2作とも時代は昭和初期でしっかりとして尚かつ美しい文章の紡ぐ糸は繊細にして優雅。
これにはやられました~、文章的には「上手ッ!!」って感じです。

表題作は見せ物小屋に売られ育った両性具有の少年の話。
昭和初期・見せ物小屋っていうと、自分は何か江戸川乱歩を連想しちゃうんですが乱歩的なイメージのその世界観みたいなのはあながち外れてはいないと思う。
この話には2つの見せ物小屋が出て来ます、一つは芸もなく女の裸や性交を見せて高額な料金を取る小屋と、もう一つは身体じゃない芸を見せるんだっていう小屋。
後者に出てくる見せ物小屋の小人の女性、出番は多くないんだけどそういう台詞が凄く印象的。
清廉潔白な若旦那と不遇の身の上で育った両性具有少年の恋はどこまでも綺麗。

「絶唱」は田舎の山村で本家の跡継ぎと分家の青年の話で、文章と物語の力にぐいぐい引き込まれます。
作品としての完成度はこちらの方が高いです。
本家と分家、古いしきたりや山の神への祈りの儀式、そして禁忌中の禁忌。
おそらく赤江瀑作品を好きな方はこれはきっと好きだと思うなあ。
美しくも雄々しくどこか泥臭い悲劇、あの感じ。

自分は耽美やJUNE系は萌えの好みから言えば(やっぱ基本平凡受萌え~なので)そんなに大好きって訳ではないんだけど、こういう作品を読んでしまうと、やっぱりこれはこれでしか味わえない良さがあるなあと思い知ってしまう。
消えて欲しくない、出来ればこういう作品がもっと増えて欲しいとしみじみ感じた一冊でした。

3

けなげでせつない耽美小説

両性具有、見世物小屋、報われない恋・・もう耽美小説の要素てんこ盛り!
懐かしい昭和の匂いがします。BLではなく、JUNEって感じです!
見せ物小屋でお客のまえで性交を強いられるのが嫌で逃げ出した類。
両性具有を見せ物にするのではなく、綱渡りとか、短刀投げで身を立てたいと密かに練習を重ねている類。
祭があるところに旅をしては、見せ物小屋を立てて暮らしている類たちだったが、半月ほど興行主となる三州屋の二代目は、父親が倒れたので帝大受験をあきらめて家業をついだ普通の青年慶一。
類たち見せ物小屋の芸人を差別することなく対等にあつかってくれる。
そんな慶一に認めてもらいたいと練習を重ねていたとき、足抜けした元の見せ物小屋の店主に見つかり、再び連れ戻されことに・・。
お客のまえで性交を強いられ、そんな姿を慶一に見られ、絶望を味わう類。そして、救い出しに来た慶一を命をかけて守ろうとする類の健気さ。
同時収録「絶唱」わたくしこちらの方がおすすめです。
山の中の小さな村、因習と伝統に縛られ家を存続するために親の決めた妻をめとるという昭和はじめの頃のお話。禁忌のなかで燃え上がる恋、切なく悲しいラストに胸がいたみます。

1

ズシンと響く小説

答姐トピでご紹介いただきました。いつまでも印象に残るだろうなぁと思う、これまで読んできたBL小説とは一線を画す作品でした。

表題作の他に、閉塞的な村を舞台にした「絶唱」が収録されています。どちらも大正時代~昭和初期のお話です。

自分は中学生の頃にお祭りで実際の見世物小屋を初めて見て、あの独特の雰囲気に圧倒されました。おどろおどろしいというのか、禁忌の香りがすごいんですよね。「怖いもの見たさ」という感情も覚えた今でも中に入る勇気がありません。表題作は、そんな「怖いもの見たさ」にも似た緊張感を味わいながら読みました。完成度の高い文章とメリハリの効いたドラマ展開とは裏腹に、物語の主軸は結構シンプルで良かったです。慶一は頼りがいのある素敵な青年で、類はこれから目いっぱい大事にされて、幸せになってほしいと思いました。

一方の「絶唱」は悲恋モノです。時代が時代だけに、そして二人の関係ゆえに、結末自体は途中で想像できるのですが、その見せ方が巧い。唸りました。悲恋モノは好きじゃないのにグイグイ惹き込まれて読みました。

ズシンと響く小説が読みたい方にオススメの一冊です。

1

昭和初期の独特の世界観

現代設定では絶対に書けない話が前半。
両性具有の話はいくつかあると思うけど、その時代背景とか都会ではないどこか田舎風の設定で余計になんだか淫靡な感じです。
とりあえず健気な受けが幸せになって良かった。
個人的には牛蔵がその後どうなったか気になったんですが。
あとで牛蔵に邪魔されなかったんだろうか?(笑)

後半の「絶唱」絶唱というとどうもあの文学作品の絶唱を思い出してしまうのは古いでしょうか?
でも何となくあの絶唱を踏まえてる気がしたのは気のせいかな?
地主の跡取りと山番の……と来ると同じ路線か?と思いながら読みました。
もちろん同じではないのですが、悲劇という意味では一緒ですね。
正直言って、恭介が太一のことをどう思っているのか途中よくわからなかったのが不満だったのですが……

現代物あまあまBLに飽きた方にお勧め!

3

耐えて忍んで報われる

大正~昭和初期の匂いが漂う、あのけだるげな雰囲気を背負って耽美に進む、日本が舞台のメロドラマ。
これではかなげさや、健気さがなければBL版"花登こばこ"の根性ものになるところだな、、とかすかに思う。

その美貌と、ふたなりといわれる両性を併せ持った体の為見世物小屋で太夫をしている類は、その体を売り物にするのではなく、誰もしたことのない技を得得して認められようと、努力している。
そこで出会ったのが、香具師の元締め三州屋の頭の慶一。
類をさげすまない態度の慶一に惹かれ、自分の体を恥じる類。
そんな時、逃げ出した"あやめ座"に見つかり連れ戻され、再び恥辱の見世物をし、更に悪徳香具師の大松の慰み者にされ、嘆く類。
そんな類を助けようと、慶一が動く。

物語は類のありさま、そして彼の心でつづられていきます。
両性具有であることの悲しさ、その運命から逃れられない辛さ、切々と訴えてきます。
最後に慶一という、それまでの過去を許してくれる優しい初めての存在と知り合い、そして結ばれるという、悲惨な運命を救う展開にしていてくれるのが救いであります。

そして、同時収録の「絶唱」は、上記作品のハッピーエンドの真逆を行く、切ない愛の終幕を綴ります。

対極の二つの愛が味わえる作りは、絶妙な組み合わせだと思います。

3

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