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aokoi
たけうちりうとさんの殆どの作品は、BLに区切られる作品ではないと思う。
この作品の本編と短編も、描写の中に官能濡れ場シーンは、ほぼない。
無いけれど、恋情描写が丁寧に描かれていて、とてもエロチック。
挿絵は、高階先生。・・電子版は絵入りじゃないようなので、試し読みの後、
挿絵を観たくて、紙本中古を購入。
よくある絡みエッチ描写を求めている人には、面白くないと思うけど、文学的な恋愛描写を読みたいなら、この作品はお薦め。
青鯉の鱗。
七瀬亮の体臭がある日、変化。・・魚臭い・・なんと、鱗がびっしり出ていた。
川辺に住む老人から、「プールに行け」と言われる。
そのプールで、同じ体質を持つ匠と出逢う。
この二人の水中のふれあいがとてもエロチック。
ラストシーンの消えていく青い老人(水の仙人)、〆が余韻ありの耽美風。
★この物語の「青鯉」は、青い水の星=地球のことを意味しているようだけど、
調べたら実際に「青い鯉」が存在して、「幸せの鯉」と呼ばれている。
幸せの青い錦鯉 【変わり鯉】令和錦 塩田養鯉場(塩田鯉屋)
★鯉の「雌性発生」
「雌性発生」が起きて、コイ科の魚の精子を受けると、刺激となり卵を産み、孵化できる
銀ブナが有名。
平凡なサラリーマンとして暮らしていた亮は、ある日突然自分の体臭が変わったことに気づいた。
周りの人や妻に顔を背けられ、途方に暮れる亮は、川辺に住む老人からプールに行くように助言される。
藁にもすがる気持ちで訪れたプールで、彼は一人の青年と出会う。
それは言葉では表せないような、軌跡のような邂逅だった……
JUNEっぽい世界観にはどこか懐かさを感じた。
ごく普通の妻子持ちのサラリーマンが、水の中では輝く鱗を持ち雄雌で惹かれ逢うそんな生き物である自分に目覚める。
裏表紙のあらすじの「もしかして、私は。臭っているのではないだろうか。」は秀逸(笑)
奇抜で大胆な設定だけど、あらがえない衝動や二人が強烈に惹かれていく様子は切なくて良い。
どんどん匠との逢瀬にのめり込んでいく亮に、なんて奥さんが不憫なんだと思いながら読んだけれど、そのあたりもちゃんとフォローされていてびっくりした。すごいね。
同時収録の『デリート』
吸血鬼モノは、いいのだが……
かなり盛大にひっくり返るラストに結局なんだったの?感はぬぐえないまま終ってしまった。
まず裏表紙のあらすじ読んでびっくり!
なんたって「宇宙を巡る奇跡のロマンス、誕生-」ですよ。
正直これはトンチキ系ハズレの可能性もあるなーと不安な気持ちもあったんですが、好き作家なたけうちさん作品だしどうにも気になって読んでみたらこれが名作!!
妻子もいる普通の会社員、亮は突然、身体が激しく臭い始めます。
仕事にも生活にも支障をきたす程の強烈な異臭なんですが、何故か海やプール等の広い水に入ると3日は消えるんですね。
そのプールで亮は匠と出逢います。
彼は偶然にも亮と同じ体質を持っていてしかも今回が初めてではなく中学時代にもなっていた時期があり、この現象に付いての経験からのアドバイスもくれて彼等はプールで待ち合わせる様になり、同時に身体に他人には見えない鱗状の模様が現れる事、そしてその鱗紋は亮は雄で匠は雌である事等が少しずつ分かってきます。
どうやら鯉の血族だという訳ではなくランダムに現れる特別変異体質らしいのですが、水が大きく関わってくる彼等の体質はすい星に関係しているのではないか、との仮説を立てます、その辺が最初のあらすじと繋がってくるのですが。
そして雄である亮と雌である匠は水中で触れ合うと激しい快感を得る事が出来、水中で彼等が触れ合う描写は観念的ですがエロテック~。
特にホテルの誰もいないプールで2人が両端から泳いで行って、真ん中で出会い触れ合うシーンは美しくそして官能的。
水中で泳ぐ2人の姿と、触れ合う身体、解け合う鱗と立ち上がる水泡、観念的疑似セックスなんですがこれが素晴らしいったら!
最後に意外な伏線もあって、いや名作でした!
「星のもとで君が」は匠の義父からの手紙方式で短い番外編。
「デリート」これは一応吸血鬼物なんですがテンプレな吸血鬼ではなくこれもまた観念的な吸血鬼的存在として描かれてます。
他人の血を見ると欲情し相手の生気を奪う霧原はその体質の為に、パートナーを定期的に代えます。
彼にとってパートナーは必要であるけれどそこに愛という概念が無く、そして天使を追い求めています。
助手として彼の元へとやってきた天野は恋愛体質で相手をとことん愛しぬくタイプ。
霧原はその血に反応して一度は抱くものの、彼の性格はパートナーとしては合わないと拒絶しますが不思議に天野は諦めません。
天使が、窓が、物体がさらさらと消えるシーンがこれまた美しい。
最近では珍しい雰囲気の話だなと思っていたらこれ、青鯉は98年にJUNEに掲載された作品だったのですね。
ああ、成る程とそこで納得。BLというよりJUNE時代の香りを色濃く感じる作品です。
若い読者には新鮮に、そして昔からの読者にはある種の懐かしさやデジャヴ感を持って感じられる作品だと思います。
高階佑さんの挿絵はもう文句無しに奇麗、奇麗なだけじゃなくて水の感じやとも鱗の描写もよく出てます。
表紙絵ももっそい印象的で、思わず手に取りたくなる表紙ですね、これは。
はちみつさん、はじめましてそしてコメントありがとうございます。
あらすじ読んで、と、トンチキかもと買うのに勇気いったですが読んで良かったとしみじみ。
水の中の彼等のシーンは美しくて文章に酔わされるってこういう事なんだなーと実感したです。ホント名作でした!
SHYNOVELSより、たけうちりうとさんの「青鯉」です。
普通の生活をしていたリーマンが出てきたりするので現実的な話かと思って読んだのですが、どちらかと言うとファンタジー路線でしたね。
収録されている作品は大まかに分けて、「青鯉」と「デリート」の二作品。
どちらも自分にとってたった一人の相手との運命的な出会いを描いた話だと思います。
ただ、ちょっと抽象的な部分が多すぎて好みが大きく分かれそうですね。
「青鯉」
こちらは鯉の化身…というか魂元が鯉…って事になるなのかな。鯉って元々メスしかいないのですね、でシーズンになると子孫を残し繁殖するためだけに性転換する生き物なんだなんて全然知らなかったです。
主人公は普通の結婚をして妻も子もいる妻帯者。
ずっと何年間も普通の人間として普通の生活をしていたのに、ある日突然自分の身体の異変を感じて自分が周りにいる人間と違う人種なのだということに気づくんですね。そして偶然運命的な出会いを果たしたのが自分と同じ人種の青年だった…
なので不倫もののようにも取れるので、うまくまとめてはいるのですが、高坂的には少々わだかまりが残りました。
「デリート」
こちらはまた青鯉よりもずっと抽象的。「天使」に恋焦がれる男の話。血を見ると性的興奮を覚える霧原の状態を表現する言葉が無いので、吸血鬼と言う言葉を使ってますが、これはまったくの比喩ではないかと高坂は思っています。
だって、吸血鬼…なんていう割りに人間くさいんだもん。霧原に愛されたいと願う天野の執着の方がよっぽど異常で怖いよ。うん…でも、結局のところ、霧原の天使は天野だって事なんですよね?天野は最初からそれがわかっていたから、だからこその執着だったのか……。
天野の執念が霧原の氷の心を動かした
「女の一念岩をも通す」
……そんなお話です。や、天野は女じゃありませんけどね^^;)