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kaze sobae
大正時代を舞台にしたファンタジー+ミステリー小説(非BL)です。タイトルに「妖」の文字が入っていますが、妖や妖怪はほとんど登場しません。
主人公は大学で民俗学を研究している榊慶吾(おそらく20代)と、天才少年絵師・御影。御影は慶吾が初めて愛した女性の弟です。慶吾は御影の衣食住の面倒を見ていて、御影が厄介事に巻き込まれると助けたり、「ばかたれ」と注意します。つかず離れず、二人は一緒にいました。
彼女を救えなかった罪滅ぼしのため、弟である御影の面倒を見ているのか。それとも、何か他の感情のためなのか。慶吾自身にすら、御影の側にいる理由が分かりません。
一方、御影は自分が慶吾の側にいることは彼の枷になると思って、離れるべきだと考えています。しかし、慶吾は姉以外で唯一、御影の妖を見る能力を認めてくれた人…。御影にとって、慶吾は素の自分を出せる唯一の存在なのです。甘えとは知りつつ、慶吾と共にいました。
そんな二人が殺人事件に巻き込まれ…。
二人の感情の縺れはなかなか面白かったです。御影は天真爛漫な性格ではなく、自分の醜さや卑怯なところにも気が付いており、慶吾の側にいることで自分が精神的に肉体的にも楽をしていることも理解しています。人の好い慶吾を利用している…と、冷静に自身を分析します。
非BL作品なので、友情以上の関係には発展しませんが、想像の余地はありました。
しかし、物語のベースとなる事件や謎解きはつまらなかったです。この程度の謎を解決するのに、時間がかかりすぎかと。また、主人公は民俗学研究員なので、民俗学を事件に絡めたり、民俗学の視点から事件の真相を探ったりする描写があってもいいと思いました。せっかくの職業設定が生かされていません。文章も読みにくく、会話のシーンでは誰の発言なのか分からなくなることがありました。